LIFULLが取り組むUXリサーチ文化の醸成について(RESEARCH Conference 2024 登壇記)
こんにちは、不動産・住宅情報サイトの「LIFULL HOME'S」でUXリサーチャーを務めている恩田です。
この記事では、プロダクト開発チームにUXリサーチ文化を根付かせる方法についてご紹介します。
LIFULL HOME’Sでは、サービス開発においてプロダクトマネジメントを取り入れていますが、その中でも、UXリサーチャーとUXエンジニアが共創し、ユーザー中心の開発を推進しているプロジェクトがあります。
このプロジェクトの取り組みについて、2024年5月18日に開催されたリサーチをテーマとしたカンファレンス「RESEARCH Conference 2024」で「プロダクトに命を吹き込む:UXリサーチとエンジニアリングの共創」と題しUXエンジニアと共にお話してきました。今回は、登壇内容の中でも特に、UXリサーチに焦点を当ててご紹介いたします。
※UXエンジニア視点での登壇内容はこちらからご覧いただけます。
お話した内容について
カンファレンスのテーマ「ROOTS」には「リサーチを育む根を張る、そもそものリサーチの成り立ちや進化から学ぶ」という意味が込められています。そこで、UXリサーチの結果をどのようにプロダクトの価値に変換し、チーム全体で取り組むUXリサーチ文化に醸成していくのかについてお話ししました。
リサーチチームの編成について
LIFULL HOME’SでのUXリサーチの活用度合いはプロジェクトによって異なりますが、今回のマーケットに関しては過去にUXリサーチを活用した事例は多くありませんでした。
そんな中、プロダクトオーナーが「ユーザーの課題を何としても解決したい!」と呼びかけたことで、プロジェクトが発足し、職種を超えたリサーチチームが結成され、プロダクトオーナー、UXリサーチャー、UXエンジニア、およびデザイナーの4名が先行してリサーチを開始しました。
その後、施策検討段階で開発チームのメンバーも加わり、プロジェクトはさらに推進していきました。この時が、UXリサーチャーと開発チームが初めて顔を合わせる機会となり、新しいチームでの取り組みがスタートしました。
開発チームへのUXリサーチの導入
リサーチチームでは、探索インタビュー・コンセプトテスト・定量調査・カスタマージャーニー・ペルソナ作成・ユーザー体験設計・ユーザーストーリーマッピングの作成を実施しました。
その後、リサーチ結果を基に施策を検討する段階で、企画メンバーを含む開発チームを巻き込んでプロジェクトを推進していくことにしました。
この段階では、リサーチチームの誰よりもマーケットに精通した企画担当者に、リサーチデータの信頼性を感じてもらうことが重要だと考えていました。そこで、UXリサーチャーが架け橋となり、ユーザーが課題を生々しく話しているインタビューの動画を一緒に視聴し、ユーザーに思いを馳せる機会を設けました。
動画視聴後のディスカッションでは、ユーザーが具体的に課題を語る姿を見ることで、自分たちが漠然と思っていた課題が明確になり、企画担当者もリサーチデータに関心を持ってくれました。
その後、リサーチチームが作成したカスタマージャーニーやペルソナに基づき情報を共有することで、共通の認識のもとで会話が進むようになりました。「百聞は一見に如かず」という言葉通り、この取り組みを通じて、開発チームもリサーチの重要性を理解し、共感を得ることができました。
開発チームの変化
ユーザーやリサーチデータへの関心が高まる中、開発チームはユーザーを招いて実施したプロトタイプテストにも積極的に参加し、テスト結果について意見交換を行うことで、チームの一体感も一層強まりました。そして、ユーザーからのフィードバックを得て、開発チームが自信を持ってプロダクト開発を進められる段階に達した瞬間でもあったように思います。
初めはUXリサーチャーがリードしていたリサーチ活動ですが、今では開発チームが主導で進めるようになっています。リサーチデータを基にした共通の会話が結果としてチームビルディングを促進し、効果的なプロダクト開発が実現してきています。
発表資料はこちらからご覧ください。
終わりに
LIFULL HOME’Sでは、プロジェクトごとにUXリサーチの活用度は異なるものの、リサーチデータに基づく共通の視点を持つことでチームが強化され、プロダクト開発の質が向上することを実感しています。
カンファレンスに登壇された他の企業や団体のリサーチへの取り組みから多くの刺激と学びを得たので、この新しい視点を大事にし、さらにリサーチ活動に力を注ぎ、プロダクトチームにしっかりと根付かせていきたいと思いました。
登壇を通じて、今後もリサーチがより多くの領域で活かせるように取り組んでいく決意を新たにしました。貴重な機会を創出してくださったカンファレンス事務局の皆様に感謝いたします。ありがとうございました!!
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