見出し画像

革のおはなし-10

革関連のお店には大抵金具コーナーがあるし、手芸店にも金具のコーナーがある。でもプロを目指す人たちは専門の卸店を使う。一つはもちろん価格の問題。卸値と小売値では場合によっては10倍も価格が違う。もちろん質については価格によって全く違っていることもあるけれど、初心者が使うのにはほとんど支障はない。

金具にはさまざまなメッキや塗装が施されている。これらは金属の腐蝕や劣化を防止するための処理でもあるけれど、革の色に合わせてどの色が合うか、どれが好みなのか?によって購入するときに決めておいた方が良い。

良く使われているメッキには「ニッケル(銀)」「ゴールド(金)」「アンティックゴールド(いぶし金)」「黒ニッケル(艶あり黒)」「ヨゴシ(ムラのある黒)」などがある。金に関しては「白金」「赤金」「青金」など色味によって呼び方が違う。

次に覚えておかなくてはならないのは製造方法による形状に違い。

例えば、一本の針金状の金属を曲げて作った環状の金具は「線管」、鋳造して一体化した金具類は「キャスト」と呼ぶ。(これ以外にも呼び方は様々)

止め金具には「差し込み」「前錠」。ベルトとベルトを繋ぐ金具は「美錠」(バックル)、長さ調節に使われる「一本線」など様々な用途と名称を覚えておく必要がある。

ファスナーに関しては両側から出ている噛み合わせるための小さな突起を「ムシ」、開いたり閉じたりするときに引っ張る部分を「スライダー」(これらにも別の呼び方がある)と呼んでいる。スライダーにも様々な種類があり、ムシとスライダーの組み合わせによって「両開き」「片開き」など用途が違ってくる。このほかにも「前ドメ」「後ドメ」形状によって「X(エックス)ドメ」など。詳しくはファスナー専門店で聞いた方が良いだろう。

プロであれば長尺の5m程のファスナー本体を買って、使用する長さに切って、個別に買ったスライダー、前ドメ、後ドメを組み合わせて自分でファスナーを作ることもできる。

また「カン(管)」に関しては「角カン」「D(ディー)カン」「丸カン」などがあり、そこにベルトなどを取り付けるのに使う「ナスカン」や「鉄砲カン」「カニカン」なども必要になる。

そして、やはり覚えておいた方が良いのは「カン」や金具のサイズはやはり3進法が使われていると言うこと。カン類の内寸は大抵3で割り切れるサイズで作られていると言うこと。

例えば角カンの内寸は小さいものから9mm、12mm、15mm、18mm、21mm、24mm、27mm、30mmという具合になる。ということはこのカンにベルトを通すのなら、ベルトの太さもこのサイズに合わせておいた方が良いということ。

(最近はこの3進法を無視したサイズのものも販売されている)

鞄のサイズといい、金具のサイズといい3進法が使われている理由は次の章でご説明しよう。

いいなと思ったら応援しよう!