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革のおはなし-15

革を縫製するときに特徴的なのが「革漉き」。

革の縫製する部分を縫いやすくするために薄くする作業。

いわゆる縫い代部分を漉く場合は革の厚さの半分程度の厚さに漉く場合が多い。

例えば1.6mm厚の革なら半分の0.8mm厚に。ただし漉き方は「斜め漉き」という革端を薄く内側を厚くする漉き方を使う。こうすると、縫い代(漉き幅)の中央で縫えば0.8mm×2で縫い部分の厚みは1.6mmになる。

もう一つの利点は内縫いの場合、縫い部分がひっくり返るので(革の硬さによるけれど)返し部分が美しい曲線で膨らんでくれる。

斜めではなく同じ厚さで薄くする「ベタ漉き(または平漉き)」は革を折り曲げたりする場合に使用。革全体をベタ漉きするのを「割り」と呼んだりする。

職人や業界によって少しずつ呼び方が変わるので気をつけた方が良い。

革を「漉く」理由はたくさんあるけれど、縫製するときに縫製部分の革同士は薄い方が縫いやすい、という理由が多いと思う。

あるいは斜め漉き同志を違い違いに重ね合わせると繋いだ部分が同じ厚さになってくれる、という意味もある。

薄くすることで革の柔軟性が高くなって折り曲げやすくなったり厚みがある硬い革も薄くすることで袋物などの加工をしやすくなる。

逆に厚みを増すためにわざわざ芯材を入れたり、革同士を張り合わせたりすることもある。

革のどこをどのように加工するかで、漉き方や漉く部分、面積などを変えながら目的の作品を作りやすくする。だから色々なものを作ることで「漉き」加工の技術や漉き幅、漉き厚などを革の種類に応じて覚えていかなければならない。

これらを実現してくれる「漉き機」はデリケートな調整が必要で、革を割るための「刃」がついたドラムは常に研いで置かなくてはならないし、このドラムの回転軸がズレていると革の漉いた面が波打ったようになり部分で厚さが変わってしまう。

革の厚みを変える「押さえ」も幅や形状で目的が異なる。

使う機械の構造は単純だが「革漉き」自体は熟練を要する技術だと言える。

革鞄を作るとき、適当に進めるのではなく、「目的」の形状があって、それを完成させるために必要な様々な技術を全て習得しなくてはならない。

どこにでもあるような鞄一つに様々な技術が必要で、思った以上に手間がかかることを知ることになる。

基本は「革」に合わせて「鞄」や「財布」を作るのではなく、「作るもの」に合わせて「革」を選ぶことが必要だということを初心者の段階では理解できない。

まず「好きな」革に目がいってしまって、その「革」をどのように加工するかを考えずに買ってしまうことが多い。

鞄を作るのであればその鞄の形状に加工するためにはどんな革を使えば良いのかを考えるべきだと思う。

同じブラウンカラーの革にも硬さや厚み、伸び、手触り、シボ(皺)の入り方、重さが違って仕上がりにはかなり差が出る。

仕上がった作品が本当に自分が作りたかったものなのかを吟味する必要がある。

工場や工房では既に素材も形状も決まったものを決まった技術で仕上げていくが、自分の作品を作る場合は試行錯誤の繰り返しで完成に近づけてゆく。

革は手強いと知っておいた方が良い。

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