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100円のパンプス-4
夜間高校通てるときにな、彼氏が出来たんや。バイク転がしてて革ジャン羽織ってかっこ良かったんや。
彼氏のバイクに二尻《ケツ》でうちら有頂天やったわ。
いつも夜学校が終わってから南港の周回道路を何回も周ってた。埠頭の入り口に仲間がぎょうさん待ってて、歓声あげとった。
マッポが来たら蜘蛛の巣のように散らばってな、あっかんべーしたった。
・・・・・
その日は私の誕生日やってん。彼氏から連絡が来て、埠頭の横にある公園で待ってるから来いや、って言われたんや。
公園のフェンスにな、穴が開いとってそこから岸壁に出れるんや。
そやけどこの時はバイクで今度働く工場を見にいこうって言われて、工場の横の公園のベンチに座ってた。そや、今はいつもお弁当食べてるあのベンチや。
周りにはちょうどええ具合に木が植っとるし、道から死角になるからほんまドキドキして二人並んで座ってたらな彼氏が肩に手えまわしてきて、私のことベンチに押し倒してきたんや。
「来た、来た、来たで〜」って心の中で叫んどったら、彼がな、私の両手掴んで後手に縛り始めたんや。
え〜っ?そんな趣味あるんかいな!ってびっくりしとったら、彼がな、
「ほら、お前らもうええで、出てこいや」って言うんや。
ほんならな、後ろの茂みから見覚えのある顔の奴らが出てきよった。いつも埠頭で見る人相の悪い奴らや。
「今日はお前の誕生日や。あいつらがお前へのプレゼントやからあんじょう相手したってや」
彼氏が言うなり、二人が私にのしかかって来たんや。
なんちゅうアホなんやろ、私。一人の股グラ思いっきり蹴ったったとこまでは良かったんやけど、か弱い乙女や。一人が両手掴んでもう一人がパンツに手え掛けてきよった。半ケツにされて「あかん、もう終わりや」と思った時やった。
別の茂みから顎髭生やした仙人が長い杖を持って飛び出してきたんや。