次の一手-4
いよいよ本格的な不況の入り口に立った。
これからどんな手を打てば生き残って行けるのだろう?
どんな風に業態を変化すれば時代に取り残されないのだろう?
そして今回の不況はこれまでの不況とどこが違うのだろう?
●過去に学ぶ
日本はこれまでも多くの不況に見舞われてきた。
それはどんな不況だったろう?
第一次、第二次オイルショック。
オイルショックは原油の高騰によって原材料が不足し、物価が上昇するであろうという庶民の暮らしを直撃する不況だった。
インフレ、品不足、エネルギーや原材料の不足という点は現在のウクライナ危機から派生している状況に似ている。
オイルショックの時代に起こったのは「トイレットペーパーの買い占め」など経済不安、物価高騰を見越した社会現象だった。
リーマンショックは日本のバブルの崩壊に似ている。
好景気が続くと思い自分たちの経済を過信して不動産を買い占め、銀行は湯水のように融資を吐き出したが、債務超過を起こし不動産は暴落、融資は全て不良債権となった。米国は不況に陥った時、他国に債務を押し付け、自国の経済を下支えさせようとする。特に日本はお金がなくなった時の貯金箱のように、ハンマーで割られ、溜め込んだ小銭を吐き出させて家計の助けにしようとする。
しかしバブルの崩壊は日本が自国を過信して起こし、助けてくれる者も貯金箱も持ち合わせていなかった。だから20年もの間賃金は上がらず、庶民は不況に悩まされ続けた。
今回の不況の原因は二つ。
新型コロナウイルス感染症の蔓延による経済活動の鈍化。
そしてウクライナ情勢とインフレによるエネルギー価格、食料価格の高騰。
この二つをどうやって回避し乗り切るかが課題となっている。
●過去と現在の違い
10年おきに大きな不況が来る。
それが現実であるということをまず認識しなくてはならない。
しかし問題はその10年間に「好景気」が来るとは限らないということである。
そして今後も長期にわたって好景気が来るとは考えられない。
アメリカのGAFAのようにデジタル系の企業が急成長したのは、インターネットという新しいインフラが登場し、その権利を誰が手中に収めるかという覇権争いだった。
GAFAも全てがデジタル企業から始まったのではありませんが、何らかのインフラを手中にして成長してきたことは確かだ。
不況が起こる原因については「過剰投資」と「債務回収が不可能になる」というこの二つが原因だと言える。
企業は利益が上がるときに「稼げるだけ稼げ」と過剰に投資を続けるが、景気が減速し始めても、ユーザーに対して「まだまだ大丈夫ですよ」と話を持ちかけ続ける。人間は良い時期を経験するとそれを引きずり続ける。
企業が大きくなるには投資が必要だが、どこで投資を行い、どこで回収するのかを考えておいた方が良い。
●タイミングは一つ前倒しにする
普通投資を行うタイミングは好景気で企業が体力があって債務を返済する能力のある時期になる。
でも注意しなくてはならないのは最も好景気の後には不況が来るということだ。
つまり融資を受けやすい時期というのは返済が始まる頃に不況になりやすい、ということだ。
では、どういう時期に融資を受ければ良いかというと、「不況が終わる直前」ということになる。しかし、不況が長引く時代であれば、自分たちの事業が安定して利益を出している、あるいはこれからも利益を出し続けることが出来る時期ということになる。
不況が終われば債務の返済が早く終わる可能性もあり、返済を何度も繰り返すことで金融機関から信用を勝ち取ることが出来る。
融資ではなく投資を受ける場合はもっとシビアにタイミングを図る必要性がある。採算が合わないと判断されば投資家は即座に投資を引き上げてしまう可能性があるからだ。
しかし「不況が終わる直前」が本当に不況が終わるのか?長引くのか?を判断するのは非常に難しい。
●現在の不況は「不況」とは限らない
一般的な不況については解説したが、現在起こっている不況はもっと複雑に絡み合っている。
元々がエネルギー不安に関しては以前からあった問題であること。ロシアからのパイプラインの問題だけではない。
食糧危機に関しても同じことが言える。食料の高騰はこれからも続く。
多くの事象が絡み合って突然吹き出したように見えているが、実はいずれは起こるべくして起こった問題だとも言える。
つまり、今回の不況の原因は一つではなく長引く可能性が高いということだ。
世界中でこぞって再生可能エネルギーや自給自足について考え始めるだろう。だが日本政府は時代を逆戻りするような施策を考えている。
出来ることは、国内だけではなく国外も視野に入れて「利益の出る体質」に企業体質を変えるしか方法はない。
●企業体質を健全にして乗り切る
利益の出る体質、つまり「無駄な投資をしない」。「原価率(仕入れ・人件費)」を抑える。これまでよりも「高価格で販売できる市場」に参入する。
現在は円安だから諸外国から見れば国内での生産は原価率が低くなる。ならば「高価格で販売できる市場」に参入する、が方法として浮かび上がる。
日本人が持つ先入観を捨ててアジアやアフリカのかつての後進国にヒントはある。
まずは視線をそこに向ける必要がある。