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食べるということ-3

この記事を書こうと思ったきっかけになった出来事がある。

三十代半ばを超えた頃から少し血糖値が高めだった。体調は良好だったし、病気もほとんどせず、血糖値もギリギリ正常値の範囲内だった。と思っていた。

4年前の冬。仕事は多忙を極めていて、新しい事務所を開いたところだった。

奈良と大阪を毎日のように行き来する日が続いていた。

帰りのホームで待っている時間が長くて、時には30分近く寒い吹きさらしのホームで帰りの電車を待った。

2月の終わりの頃、少し偏頭痛を感じた。

偏頭痛は以前からひどくなることが度々あったので、この時も以前と同じような偏頭痛だと思っていた。以前ひどい偏頭痛が4日間も続いて、一度脳外科で検査を受けたことがあった。この時は何も原因がわからず、そのまま頭痛薬をもらって飲んで痛みを散らしているうちに自然と治った。

この時も偏頭痛は3日間続いていた。

3日目に熱を出して、インフルエンザが流行っていたので内科医に行ってインフルエンザの検査を受けた。結果は「陽性」で頭痛はインフルエンザのせいだと思った。けれど内科医は一応頭部のMRIを撮ったほうが良いですよと言われて、脳外科を紹介してくれた。

その脳外科医でMRIを撮った後で「くも膜下出血を起こしていますね」と言われた。

青天の霹靂とはこんな時に使うんだろうな。思いもよらない結果に驚いたが、驚いているだけでは済まない。

「緊急入院になりますので、総合病院を紹介します」と言われて、慌てて準備を始めた。インフルエンザも陽性なので「隔離」になりますと言われた。

入院時に血液検査を受けて、さらに衝撃を受けた。血糖値が300を超えていて、ヘモグロビンA1cは11(正常で5前後)。血圧は190を叩き出した。とんでもない数値。もちろん治療が必要。血糖値から言うとインシュリン注射が必要な数値だった。

血糖値も血圧も自覚症状はあまりないので、悪化していることに気づかずにいた。

幸い「くも膜下出血」の方は体に障害が出ず、自然治癒をしたが、血糖値と血圧をコントロール出来なければ、また出血しないとは限らない。この二つがくも膜下出血の引き金になったことは疑う余地はない。

経過観察入院を1週間した後、無事に退院出来たが、今後は血糖値と血圧の治療に入らなくてはならない。まずはとにかく食事を制限する必要があった。

「糖質を抑える」「塩分を抑える」「運動をする」「間食をしない」

簡単に聞こえるが、食品に対する知識がなくてはなかなか難しい問題だった。

ある程度の知識を持っていたが、それが本当に正しいかどうかを確認する必要があった。

総合病院までは遠くて通えないので近隣で専門医を探した。幸い電車で3駅ほどの駅前に優秀な専門医があった。

それでも通い始めるまで2週間あったので、その間から食事療法だけでも始めることにした。

朝の食事は6枚切りのパンを半分。バターは塗らず、副菜はサラダと目玉焼きのみ。

昼は白いお米200g。丼一杯の茹で野菜と鶏のささみまたは胸肉をポン酢で食べる。お腹が減ると間食が欲しくなるし集中力がなくなるので、量だけは食べた。夜は19時までに野菜中心の食事。炭水化物(米・パン・麺類・小麦粉)は一切摂らない。

調味料は白糖は使わず、ラカント(0Cal)で、醤油の代わりにポン酢。カレー粉(小麦を含まないもの)、大豆はOK。

揚げ物は基本食べないが、そのままでは食生活が貧相になる可能性があって、量は満足でも気持ちが満足しなくなると考えた。倒れてから2週間後、専門医で血糖値と血圧を測った。

血糖値は130、A1cは8に下がっていた。医者も首を捻るほどの下がり方だった。

どうやらインシュリンの分泌はある程度あるようだった。

ここからは工夫をする必要があった。そう、心の満足感を考えたギミックな調理の仕方を考えるようになった。

「美味しく食べる」「満足感がある」「見た目も美味しそう」

美味しさはやはり出汁とスパイスの使い方、満足感は食物繊維が多くて消化がしにくい(腹持ちが良い)、見た目は食べ慣れているもの、ボリューム感のあるもの。

幸い料理に関する知識はあったので、この頃から低カロリーでタンパク質が豊富、満足感のある料理を色々と考えるようになった。

次章から少しずつご紹介したいと思う。

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