近未来の話をしよう-18
仕事の仕組みというのはどんな分野であっても、市場の規模が違っても基本は同じ仕組みの上に成り立っている。
まずはユーザー側の需要がある。ユーザーが個々のエンドユーザーであっても大企業であっても、そこに需要があって消費しなければそこに資本の流通は起こらない。
でも本当は間違ってはいけないのは、大企業の需要のピラミッドの底辺はやはりエンドユーザーであるということ。大企業の需要というのはエンドユーザーの需要の総意と思っても良い。
供給する場合の方向性はユーザーの需要の傾向を考えることから始まる。ユーザーという人間の基本は生存本能であり、特に「食」に対する欲求は消えることはない。「衣」「食」「住」の中で最も生存に近いところに位置している。そういう意味では「性」への欲求も生存に近いと言える。
需要が存在するマーケットの中でどの分野が存在し続けるか?と考えると自ずとどのマーケットなのかは察しがつく。そしてそれは世界共通である。
人類が宇宙に飛び出そうが、滅亡の危機に瀕したとしても「生存欲求」は消えることがない。
人が他の生物とは違う欲求を持っているのは生命体として「生存」すること以上に余裕を持って、「生存」以上の欲求が拡大したからだと考えられる。
ただ「食べる」のではなく「よりおいしく食べる」。ペアとなる相手を探すだけではなく、より多くを「支配する」。「寒さや暑さから身を守る衣服」ではなく「より目立ち「着飾る衣服」。種を増やすための「性欲」ではなくより大きな「快楽を得るため」のSEX。「敵から身を守るための住居」ではなく「より快適に過ごすための住居」。
必要最低限の欲求ではなく、それ以上の欲求を人間は持っている。
そのおかげで文明は発展をしてきたが、その欲求の大きさは自然を破壊するところまで拡大し続けてきた。
欲求が拡大する限り、そこには需要が生まれ、供給することで資本が流動する。
しかし、限界を超える拡大の中では欲求も需要も制御しなくてはならない。
人間は自分を制御することがとても難しいということを知っている。例えば感染症が広まったときに、マスクを着用することを強要されたとしても「マスクを着用したくない」という気持ちが強く、自分を制御できない。大声で話すなと言われても「大声で話す」ことをやめられない。
結果感染症は広がり続け、多くの人が死亡する。自分が感染するリスクを知っていても制御できないというのが現実。
次の人類の課題は「いかに人類を制御するか?」になると思える。映画マトリックスで脳内の別の世界で個々の欲求を満足させて現実の世界では人類に影響を与えさせないというバーチャルリアリティの世界はかなり現実に近づいている。
かつてアメリカ大陸を発見したようにフロンティアに飛び出すか、自己制御をしながら環境を維持し続けるかという二者択一はそんなに遠くない将来、決断しなくてはならなくなるかもしれない。
その過渡期にはこれまでとは全く違うタイプのビジネスが生まれるだろう。