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『秘密』 下

「世の中の大金持ちには、大抵ウチらみたいな存在がおるねん。」

「言うてはった、隠し子って事ですか…?」

「いや…そうやねんけど…、隠し親やねん。ウチらは」

おや?

「関係性で言う親って事。誰かの隠し子は、誰かの隠れ親になり得るって事」

よくわからなくなって来た。

「俺の隠し子にならへん?かって事」

全く…わからなくなった。
会社の紹介の話はどこに行ったんだろう?

「株式会社の代表取締役社長にならへんか?」

「スンマセン、全然理解が追いついてないんですが、どんな会社ですか?」

「どんな会社でもええねん。」

「あの、先輩…」

「ブラック企業を従業員として経験して来た人間しか出来へん会社をやってもいい!…人に多少迷惑かけてもいい!迷惑系YouTuberちゃうでっ!自分が元気になる事をやればいい!消費とか投資とか、分けんでいい!分けてもいい!元気が…元気があれば何でも出来る。誰かのパクリになってもええねん!」

パイセンは泣いていた。

「パイ…先輩、ひょっとして僕に出資してくれるんですか?」

「せえへん。」

「え!…隠し子にならへんか?ってのはどういう意味やったんでしょうか?」

「なんかあったら、何もなくても、ウチに来ればいい…生活の面倒はみるでって事。」

泣くのは自分の番な気がした。

「ライフラインてあるやん?国家がやってるやつ。福祉とか生活保護とか呼ばれてさ…呼び方変わったら利用する人増えそうやけど、ライフラインやん完全に…。皆ライフワークライフワークは言うけどライフラインになかなか意識行かんからさ…。」

「俺な、国から雇われてるねん。生活保護を受ける必要がほんまにあるんか見極める役、らしいけど…。実際にはこうやって働く事に真剣にぶち当たってる人には先に言うてるねん、ライフラインがあるでって。何かあったらウチにおいでって」

国はさ、大金持ちを作って、超貧困層は作りたくない、これが本音。ブラック企業と似てると言えば似てる。スター選手を作って、そこを目指して平均以下の給与で馬車馬の様に働く母数を増やしたいねんな。

俺の勤めはさ、馬車馬の様に働けなかった人に、異常な劣等感を抱かせんことやねん、起業かライフラインか、ってのは極論やけど…。サラリーマンが1番しんどいケースもありますよ!結構仕組まれてますよ!って話やねん。

絶対誰にも言うなよ、て何の事ですか?って?

絶対誰にも言うなよ、って言うたら…真剣に聞くやろ?


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