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「いいインタビューができますよ」京都ライター塾第11期レポ(25.2.1.)

 京都ライター塾のプログラムは、講義の回とワークの回とを織り交ぜた全12回。今回は、ワークの回で全体としては4回目となった。
 今回のテーマは【自分の価値観、判断軸を知る】。お互いがやってきた課題を元にディスカッションをする、zoomのブレイクアウトルームを使用したペアワークだった。今回ご一緒させていただいたのは、チューターの彩理さんと、途中から合流され彩理さんとバトンタッチする形で入られたKAOさん

 その字の如く、自分の軸になるものを知るためのワークの時間であったが、それはライターとしての聴く力・話を引き出す力が求められる時間でもあったと感じた。今回もレポートをまとめてみる。


まずは前回の課題についてのフィードバック

 主宰の江角さん、チューターの彩理さん、そしてメンバーの面々が次々と画面に出揃い、第4回目の講義がスタートした。まずは、前回の課題について、江角さんからのフィードバックがあった。

誰が発言しているのか

 毎回、レポ記事の提出が課題となるが、その記事の中で「誰が発言したことなのか」「誰の感想なのか」といった主語を明らかにする必要性についてのアドバイスがまず最初にあった。学びの場では、複数の人間が発言をする。講師からは自身の経験談を交え、それによって得た気づきや大切にすべき考え方などの共有もあるし、受講生からも質問や感想が寄せられる。それをレポ記事にまとめる際に、〝誰発信なのか〟が不明な文章が見受けられる、とのこと。

読者に負荷をかけない文章

 誰の発言か、誰の考えか、出どころがわからない言葉は、全体の文章に混乱をきたす。読み手は、それが講師の発言なのか書き手本人の発言なのかがわからず、迷ってしまうこともあるだろう。今回は、ライター塾生のレポ記事だと把握した江角さんが、その背景も理解した上で読んでくださっていることと、レポ記事を目にするであろう塾生仲間もその場の状況をほぼ理解しているため、大きな誤解は生まれないかもしれない。しかし、全くの部外者がその文章を目にした時はどうだろう?講師の発言を書き手本人の言葉と受け取られかねない表現にした場合、講師の経験や学びから得た知見を横取りした文章にもなりかねない可能性をご指摘くださった。いずれ仕事としてインタビューさせていただく立場もあるだろう、という未来を想起させる、大先輩ライターの立場からのアドバイスが沁みた。

・読み手に余計な負荷をかけないこと。

・話し手の発言を正確に伝えること。

・書き手からの言葉であることが明確であること。

今後も気を付けていきたい。


ペアワーク

 続く60分間のペアワークの時間だ。これまでペアになったことがないかどうか?の確認の後、ブレイクアウトルームに放り出される。(これは投げやりな意味ではなく、受講生の力量を信じて宇宙に放り出す、愛ある方法だという意味でこう表現した)


 彩理さん、KAOさん、と時間差でお二人と話せた私はラッキーだったと思う。お二人それぞれの視点から、私の価値観を深掘りするワーク内容についての感想を伺って、気付けた点は二つ。

・細かな事象が思い浮かばなくても、価値観の根幹には気付けていた

・自分の価値観の表現にすら、武装しようとする自分がまだいた

「自分の好きがわからない」

 嬉しいこと、夢中になってやっていたこと、将来の夢、充足感が得られること・・・。これらについて事前に書いておくワークが、私はからっきしダメだった。「〇〇が好きでした!」「〇〇を嬉しいと感じます!」がテンポよく出てこないのだ。好き、ってどれくらいのレベルのことを挙げたらいい?誰かにされて嬉しいことより、されて嫌なことの方が浮かぶんだけど・・・。質問内容に相対する言葉で、スムーズに答えられない自分がもどかしい。
 結局、予定調和が苦手で、体験一つ一つに発見や驚きをみつけられることが好き、という漠然とした概念しか書くことができずに臨んだペアワークだった。
 ・・・が、チューターの彩理さんが「もう見つけていらっしゃるんじゃないでしょうか?」とおっしゃる。価値観のてっぺんを手に入れる手法として、好きなことや嬉しいことを具体的に挙げ、それら複数の中から共通点を見出した時に、その共通点こそがその人の価値観になりうる。「あきよさんの場合は、共通点を見出す段階はもう済んでいて、その先のご自分の価値観に気づいていらっしゃるのではないですか」と。
 このワークが目指す工程が、頭の中で図解化されたような気持ちだった。わかりやすく、なおかつ、「あ、これでよかったんだ」というスッキリした気持ちになれた。


二層になっている自分

 そして、嬉しさを言語化するワーク。ここで私が真っ先に挙げたのは「サプライズ」だった。するのも、されるのも嬉しいし楽しい。予想不可能な先にあるワクワク感が好きだと書いたのだけれど、この質問の時にペアになったKAOさんの答えを聞いて、私の心の方がじんわりと反応してしまった。KAOさんは、「そのままでいいよ」と言われている状況の時、と書いたそうだ。「あ・・・、それ、いいですね・・・!!ていうか、私もそう言われたい・・・!!」と思った。

自分が二層になっている

その時、思わず描いたイラストがこれだ。表層に見える自分は、〝元気で楽しい明代さん〟で「予測不可能なことだって楽しんじゃうよ!」と言っている。それも嘘ではない。しかし、その中にいる私は、元気であろうとなかろうとそのままを許され、ホッとしたいのだった。子供の頃から、周囲の期待に応えるように振る舞っていた自分が、まだここにいた。自分をポジティブなイメージで武装しようとする癖に気づけた瞬間だった。どちらが良くてどちらが悪い、ということでもない。両方の自分を認めて受け入れることは、今後も意識していきたいと思った。

教えていただいた本

 そんな中で、自分の好きがわからないと話す私に、チャット欄から「無」という本をご紹介してくださった方がいた。

非常に興味深い!早速ポチった。ありがとうございます。


まとめ

 今回も、「ブレイクアウトルームの組み合わせをするAI、すごい!」という結果になった。子育て中のお母さんに対してカウンセリングをされているというKAOさんが、これまでの人生の岐路にたびたび子供の存在が出てきた私の話を上手に引き出してくださった。「ドレスコードは黒だったか?」というくらい、真っ黒な服の二人が画面に並んで、会話の中からも共通点を見出しては爆笑する時間もまた楽しかった。(ゼロ百思考とか、まさに!!!)

「いいインタビューができますよ」

 今回のワークの前後、終了後の雑談タイム中にも、江角さんが何度かおっしゃられていた言葉が印象に残っている。

「いいインタビューができますよ」

今回はたまたまお互いの価値観をテーマに話をする、という時間だった。誰だって自分の価値観には興味がある。それが他人との会話によって引き出されるとなれば、なおさらだ。お互いが、お互いにとって興味のあるテーマに沿って、深く入り込んで会話を重ねる。自分の興味と相手の興味とが合致する部分に頷いたり、新たな発見に身を乗り出したり・・・。
 このワークで江角さんが意図したことは、いずれ仕事としてインタビューをする際に、〝相手への関心120%で臨むこと〟の大切さだったのではないだろうか。それを体験したであろう受講生たちに「きっと、今後もいいインタビューができますよ」と声をかけていらしたように見えた。聞き手の態度や事前の準備によって、インタビューされる本人ですら気づかなかった相手の本質を引き出す力も発揮しうる、という体験をさせていただいた60分間だったのだと思った。


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