【後編】アジア初のブルーフラッグ!湘南発、一人の情熱から広がる海とわたしたちの未来
【片山 清宏(かたやま きよひろ)】NPO法人湘南ビジョン研究所理事長。神奈川県藤沢市出身。2011年に湘南ビジョン研究所を設立し、海の環境問題に取り組む。翌年には、市民主体のまちづくりビジョン「湘南都市構想2022」を策定し、マニフェスト大賞(優秀賞・審査員特別賞)を受賞。海岸の国際環境基準「ブルーフラッグ」の認証取得を推進し、2016年に鎌倉の由比ガ浜海水浴場でアジアで初めてのブルーフラッグを取得した。2019年「かながわ地球環境賞」受賞。
今回登場してくれるのは、「海を守り、未来をつくる」をテーマに活動を続けるNPO法人湘南ビジョン研究所・理事長の片山 清宏さんです。
(前編はこちら)
後編では2013年に NPO法人「湘南ビジョン研究所」を設立した片山さんが推進されているブルーフラッグ取得に向けた活動やそこにかける想い、未来に描いているビジョンをお届けします。
アジア初の「ブルーフラッグ」取得を推進
海のごみの問題を解決したいという気持ちの一方で、「どういう街をつくりたいか」というビジョンがなければ、活動がただのごみ拾いになってしまうと片山さんは考えます。
そこで、環境や海に特化した市民主体のまちづくりビジョン「湘南都市構想2022」を策定。そのなかの取り組みのひとつが、海岸の国際環境基準「ブルーフラッグ」の認証取得推進でした。
今だからこそSDGsへの注目が高まり、企業や行政そして個々人でも積極的に海洋保全といった環境問題に取り組もうという流れが見られますが、当時はそのような風潮はなく、声を上げても一緒にやろうと言ってくれる相手はなかなか見つからなかったそう。そのなかで唯一片山さんの熱い想いに反応してくれたのが、鎌倉市の由比ガ浜茶亭組合長の増田元秀さんでした。
増田さんの協力を得て片山さんの活動は広がっていき、鎌倉市の由比ガ浜海水浴場は、2016年にアジアで初のブルーフラッグを取得します。
失敗経験から学び、メンバーそれぞれの想いと大切に向き合う
湘南ビジョン研究所のメンバー集めでは、片山さんが一人ひとりと向き合い、相手の話を聞き、つくっていきたい理想の未来への想いを伝え、口説いていったそう。「しつこいな」、「わかったよ入ればいいんだろ」などと言われながら、仲間ができていった思い出も話してくださいました。
メンバーはサラリーマン、定年退職された方、学生のインターンと、年齢や背景もさまざま。片山さんのお話からは、一人ひとりと向き合い、その人の状況や強みを活かして役割をお願いするなど、とても丁寧なコミュニケーションの様子がうかがえました。
ただ、その背景には、過去にたくさん経験した失敗があったそう。合理的にプロジェクトを仕切ろうとしてうまくいかず、プロジェクトを何度もつぶしたこともあるのだとか。
「仕事ではなく、1人ひとりの熱い思いで集まった仲間。それぞれの思いを汲み取り、実現に導くのは、ある意味仕事よりも難しいかもしれません。お金を払えば終わりという訳にはいかない。でも、だからこそ楽しいし、やりがいも感じます。」
そう言って笑って見せる片山さんの笑顔の奥に、たくさんの経験から刻まれた強い意志を感じました。
目標は、日本にブルーフラッグビーチを100ヶ所
片山さんに今後の目標についてもお聞きしました。まずは日本にある約1100ヶ所の海水浴場の上位10%、100ヶ所にブルーフラッグ取得を広げていきたいと、力強く話してくださいました。
さらに、環境問題で取り組んでいく先にあるものは、人の意識、つまり教育であると語る片山さん。海の環境教育の場所として、市民大学の設立へのビジョンを聞かせていただきました。
「”海が好き”につながる原体験があれば、”海を守ろう”という意識につながると考えたんです。”海を守り、未来をつくる”人材を育てる学校をつくりたい。そんな想いから湘南VISION大学をつくりました。」
2030年までに、ブルーフラッグを日本国内で100ヶ所。その目標に向けて片山さんがこれからの活動にワクワクされている様子がとても伝わってきます。
実現したい理想の未来を描き、発信する
片山さんは、環境技術によって、日本の産業を活性化できる可能性もお話してくれました。
日本の環境技術は、世界へ貢献することができ、平和にも貢献することができると教えてくださいました。
「環境技術は日本の武器になる!」
力強く、楽しそうにお話しされる片山さんとお話しているうちに、取材していたわたしたちもきれいな日本の海や街のイメージが浮かび、一緒にその未来をつくりたいと思う時間でした。
きっとこういう力強さやビジョンにたくさんの応援者が集まってきたのだろうと感じずにはいられません。
わたしたちも発信を通して、たくさんの人の「ストーリー」を力強く伝え、読んでくださった方の毎日の選択の幅が増えたり、いつも見ていたモノの見方が変わるきっかけになるよう、これからも発信していきます。
※この記事は、LIFESTYLE More(web版) からの転載です。
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