中学受験で育む、見えないスキル〜リケジョな子育てVol.21〜
noteマガジン『東工大飛び級ママの「リケジョな子育て」』/第21号です。
このnoteマガジンは、発行人・福所しのぶが日経xwoman Terraceブログに投稿したオピニオンのうち、「子育て・教育(STEAM教育含む)」テーマのものをピックアップし、一部再編集してお届けしています。
今回は2023年8月28日の投稿から。では、どうぞ!
我が家の娘が小学4年生の夏を迎えたときの話です。
それまでも塾を利用していましたが、中学受験に向けての本格的な夏期講習。子どもには大変だったかもしれませんが、成長も感じられる夏休みでした。
メタ認知が大きく発達し始めると言われる10歳。中でも成長を特に感じたのは、自分で勉強のスケジュールを意識できるようになってきたことです。
実は、夏休みが始まるまでは宿題の進捗管理はほぼ私。次の通塾日に宿題が終わっているように、どの宿題をどの日にやるかを整理していました。
一方、夏休みになるとそのサイクルが短くなり、数日のうちにこなせばよくなりました。「スケジュールどうしようか?」と本人に聞いてみると、「宿題の管理は自分でできそう!」というので、夏休み前半の進捗管理は本人に任せてみたのです。
すると、今日はこれをやる!と自主的に取り組んでいます。よしよし。
…と安心するもつかの間、二週間ほどたったある日「そういえば、宿題ってどのくらい終わってるの?」と聞いてみると、「算数と理科はあとちょっとで、社会はまあまあ、国語はやばい」。
あらら〜、ちっとも具体的じゃないし、苦手科目は塩漬けにしちゃったね〜。
こんなときは「見える化」です。まだ先を見越して計画する経験が少ないので、できないというよりやり方を知らないのかも。「なんでやってないのー!」となるところをグッと抑えて、管理のしかたのアドバイスが必要だなと思い直しました。
そこで、その時点で終わっていない宿題を子どもと一緒にリストアップしてチェックリスト化。(チェックリスト自体は知っていても「自分ごと」にするにはきっかけと繰り返しも必要でした…)
すると、苦手科目も含めて期限までに宿題をコンプリートできました。これが達成感となったようで、後半はこの方式でいく!と。
そんなこんなで、前半とくらべて後半は「先を見越して計画する」「自分で計画したことを実行する」という意識が格段に高まったのを感じました。
個人的には、勉強を通じて身につけたいスキルは、成績もさることながら、そういった見えないスキルも含めてだと考えています。そんなスキルは見えないけれども物事を自ら遂行していくためには必要な力で、大人になってからもいろいろな場面で通用するからです。
というのは、私は前職が弁理士で、同業者は国内外をみても名だたる大学出身の方が多いのです。多くの情報を記憶して的確に処理したり、法律のルールに照らして「正解」に近いものを提案することが仕事の主力で、学歴を得るために養ってきたやり方をそのまま仕事につなげやすい職種ということもあります。
にもかかわらず、同じような学歴を持っていても、仕事で伸びる方、停滞する方がいます。その違いは何かというと、やっぱり試験の成績には現れてこないスキル。言われたこと、教えてもらったことの「その先」を自分で考えて応用できるか、ということです。
例えば、お客様Aに対して、以前にaという提案をした。次にお客様Bの対応をするとき、お客様Aと似ているがちょっと違う状況xもある。では、どういう対応をするか?という場面です。
「残念だな…」と思うケースは、
・お客様Aに似ているという点をもって「aの対応をすればよい」と考えてしまう、
・ちょっと違う状況xに目が向いて「これは全く関連性のない案件なので対応がわかりません、教えてください」と立ち止まってしまう、
など。
一方、「おっ、なかなかやるな。この人は伸びる」と思うのは、
「お客様Aのケースに近いので、aの提案の方向で考えていますが、別の状況xもあるのでこの点を加味してXXの提案も織り込もうと思うのですが、どうでしょうか?」
と、分析と対応の提案をもって相談にくる場合です。
成績を伸ばすだけの受験や、テクニックだけで受験を乗り切ろうとすると、思わぬ弊害に悩まされることになるかもしれません。
子供の受験をサポートするときも、成績や合否だけをゴールにしてしまうのではなく、知識を広げることの楽しさ、自分を向上させていこうとすること、そして自分を律する経験、それらの力を育てる手段として捉えていきたいと思っています。
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