産業理学療法士が「健康を大切にする文化を育む」ことについて考えてみた
こんにちは!猛暑の日が続きますが、体調はいかがでしょうか?
7月末から8月いっぱい、life storyにとって試練の月になります。
それは小学生の子どもたちの夏休み。
幸い自宅での仕事が多い我々は、子どもが家にいても仕事はできます。
しかし、集中できない、お昼ご飯を用意しなければならない、「つまんない」攻撃に耐えなければならない、そんな日々が40日間続く・・・。
同じように頑張っている方々もたくさんおられるのでは・・・。
仕事をしつつ、life story の子どもたちが楽しめるイベントも考えている今日この頃です。
理学療法士、中村が産業の世界に飛び込んで2年。
今回は、最近気づいたことや、「健康を大切にする文化を育む」ことについて考えていることをお話ししようと思います。
先輩セラピストと話をしていて気づいたこと
今は産業理学療法士として働いていますが、少し前までは整形外科クリニックで働いていて、毎日一人ひとりと向き合って施術する日々を送っていました。
その頃一緒に働いていた先輩や後輩とは、施術の悩みを共有したり、仕事の話をしたり、時には一緒にバーベキューしたり、今でも仲良くさせていただいています。
ある日、そんな先輩と、とある「腰痛予防プロジェクト」の中で用いる「身体機能評価の項目」について話をしていた時です。
先輩は「〇〇の機能評価は、腰痛の一側面しか分からないし、やるなら△△も、□□も、●●もやらないと腰痛リスクを正確に評価できないと思うし、そもそも人によって違うから、1つに決めて数値化して前後比較するなんてのは難しいよ」というようなニュアンスのことを言っていて、その言葉が心に残りました。
というのも、この言葉、まさしく以前の私が、腰痛体操とか一般の人への研修に抵抗を感じて避けていた理由じゃないか・・・。
どうして私は研修を大切にするようになったのか
先輩の言葉はその通りで、一人一人腰痛になる原因は違うから、痛みや機能不全を回復させるには一人一人を評価しなければいけない。これは一人一人に真摯に向き合ってきたセラピストから出てくる本当の言葉。
でも、今産業の世界で働く私は、以前の私と違って、こういった集団に対するプロジェクトや一般の方に向けた研修も大切だと思って取り組んでいます。なんでだろう?
内省を進めていくと、大切にしたいことや視点が少し変わってきたんだなぁということに気づきます。
以前は「その人の痛みを取り除くこと、機能不全を回復させること」が大切で、それは今も大きく変わりません。
その上で、更に大切したいことは「健康を大切にする文化を育む」ということ。一人一人の施術を行っている中で、「下流に流れてくる痛い人を対処的に施術するだけではダメなんじゃないか」という感覚が拭えなかった私の次のミッションです。上流から抑える!そのためにプロジェクトや研修はとても必要なこと。
「健康を大切にする文化」って?
いつの日からか「健康を育む文化」とか「健康文化を育む土壌」という言葉が私の口から出てくるようになりました。
初めてこの言葉を聞く人からは「なんだそれ?」という顔をされるので、少し深く掘ってみたいと思います。
まず、「健康について」。
life storyにとって「健康」の捉え方は、また別の機会にお話しできればと思っていますが、おそらく一般の感覚よりも、かなり広い。
そして、WHOでさえ、「健康とは、単に病気や虚弱でないということだけでなく、身体的、精神的、そして社会的に完全に良好な状態にあることをいう」と定義していますし、皆さんの実感としても「体が健康だったら健康」ではないことは十分理解できるのではないでしょうか。
そして、そんな広い意味での「健康」は自分だけで作り上げられるものではないし、自分は周りの人の健康にも寄与しているということもまた十分理解できると思います。会社においては、会社の風土、文化が健康に大いに関与します。
例えば、あなたが日々、「疲れて当たり前」「運動する暇がない」「経営者の価値観に縛られて自由に発言できない」と思いながら働いていたとします。苦しい。
でも、転職を決意。これから働く会社が、「疲れたら休む、疲労を管理しながら働くのが当たり前」「運動する習慣があるのが普通」「多様性を感じながら、あなたも私も大切にし、されているのが当然」という風土・文化だったらどうでしょう。今までよりも広い意味で「健康」になれる気がしませんか?
私は、後者の会社のような、一人一人がヘルスリテラシーを高め深めているだけではなく、それぞれの関係性においても、健康に良い影響を与え合っているような状態をイメージして「健康を大切にする文化」と考えています。(言葉にすると薄っぺらいし、まだまだ更新されていくんだと思いますが、まず言葉にすることも大切)。
健康を大切にする文化を育むには?
この問いの答えは出ていません。
ただただ研修を重ねても、文化としては育たない場合も多い。
課題や学ぶべきこともたくさん。
それぞれの集団にはそれぞれの個性があって、実績をたくさん積まないと分からないこともあるだろうなと思います。
でも少なくとも言えるのが、
「人それぞれだし、一緒にするのは難しいからやらない」ではなく
「簡単で続けられること、少しでも共通することを定めて楽しく実行する」ことを選ぶこと。
腰痛プロジェクトにおいても「身体機能を表す指標を1つ定めて腰痛リスクを定量的に評価する」ことはとても難しいことだけど、それでも「簡単で続けられること、少しでも共通する有用なことを定めて楽しく実行する」ことを選ぶ。それが「健康を大切にする文化を育む」入口になるはず。
私たちは様々な臨床経験を積んで、いろいろな患者さんと向き合ってきた産業医と産業理学療法士です。だからこそ見える世界があると自負しています。
そして、「健康を大切にする文化を育む」とか言っちゃって、ちょっと面白いことをやっているlife story だからこそできることがある、なんて思っております。
そんなlife story の取り組みについて、どんどん発信していきます。
今後ともよろしくお願いいたします!