ストレングスファインダーを使ってみよう① ~前提理解編~
こんにちは。合同会社LifeStocksの佐藤です。このnoteでは人や組織に関するテーマで書いています。
さて、今回のテーマは「ストレングスファインダー」です。(※現在、正式名称はクリフトンストレングスとなっていますが、本コラムでは認知度の高いストレングスファインダーと表記します。)弊社LifeStocksでも、マネジメント強化やチームビルディング、メンター育成など様々なご支援をさせていただいていますが、その際のツールの一つとして活用しているのがストレングスファインダーです。
本記事ではGallup認定ストレングスコーチでもある私が、どんな場面で使うにせよ「このツールの良さを引き出すため、この点に注意しましょう」ということをまとめてみました。実際にストレングスファインダーを受けたことある方も、これから受けようとしている方も、ぜひ読んでみていただき、効果的な活用に繋げていただけると嬉しいです。
そもそもストレングスファインダーとは?
Gallup社のサイトを筆頭に、色々な方がストレングスファインダーについて記載していますので、ここでは簡単な説明にとどめておきます。一言で言うと「強み心理学の観点から才能を測定するwebベースのツール」のことです。下記の本を書店で見たことある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
ストレングスファインダーは強みに基づく能力開発を行うことができますので、自分の強みを活かしながら、働くことや生きることを後押しするツールとも言えます。ちなみに、この診断で分かるのは「強み」ではありません。明らかになるのは、強みの源泉である「資質」と言われる「才能」の分類です。世の中にはたくさんの才能に溢れていますが、似たような才能を34個に分類して整理したものを「資質」と言っています。そして、才能に投資して磨き上げて強みにしていくわけです。
おそらく、ストレングスファインダーを「強みが分かるツール」だと思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか?これはあくまで一例ですが、ストレングスファインダーはこのようにある意味で誤解されていることも多いのではないかと思っていて、それが故にもったいない利用方法になっている場合もあります。それらの誤解を少しでも払拭できればと思いますので、さっそく本題に入っていきましょう。
①資質の名称に引っ張られてしまう
資質は「社交性」「ポジティブ」「未来志向」などその資質の特性を表すラベリングがされています。しかし、その言葉から受ける印象は人それぞれだと思います。
例えば、私は上位TOP5の中に「収集心」という資質が入っているのですが、一見、収集癖がある人のように感じませんか?確かに、この資質を持っている方には実際にモノを集める形で行動に表れている方もいますが、この資質は英語ではInputと表現されており、その本質は好奇心だと言えます。そう聞くと、少し印象も変わりませんか?
このように名称から受ける印象だけで判断してしまうと、すごく表層的な捉え方になってしまいます。また「運命思考」「回復志向」など聞き馴染みのない言葉だと、運命論者なのか?とか、健康に興味ある人なのか?とか、変な妄想が進むこともあるでしょう(笑)
そうならないように、まずはしっかりと資質の説明を読んで、ベースとなる情報を得るとよいと思います。読んでみると「なるほど!そういう才能のことなのか」と理解も深まると思います。さらに、英語が得意な方は、原文にリーチするとより正確にニュアンスも掴めるのではないでしょうか。
加えて、資質はあくまで似たような才能の集合体なので、同じ資質を持っている人同士でも、才能の粒で見ると異なります。そして、その違いこそが利点なのです。資質の説明に書いていることが全て当てはまるわけではないですし、書いてあることが全てでもありません。大事なのは、資質を出発点として、自分の才能を明らかにすることだということも忘れないようにしてください。
②占いのようにとらえてしまう
「これ、すごく当たっている」「自分の結果はあまり当たっていない」と、こんな感じで診断結果を見ている方はいませんか?これがダメなわけではないですが、これだけで終わってしまうと大変もったいないと感じます。
冒頭で記載したように、これは強みを開発していくためのツールです。結果として出ているのはあくまで才能なので、それが十分に開発されていないと自己認識できていないこともあり得ます。(一方で、自然な行動としてポジティブにもネガティブにも出ている可能性は高いので、コーチングを進めていくとそれらは明らかになっていきます。)
ストレングスファインダーは、200万人以上のデータを検討し開発しているツールなので、診断結果に一定の信頼性はあるかと思います。なので直感的に自分の認識に反する資質であっても、その才能があると仮定して、深堀りしていくとよいと思います。そうすると、最初に診断結果を読んだ時にはしっくりこなかった資質も「そういうことか」と腹落ちする瞬間はあると思います。(コーチングをやっていると、TOP5の資質の中にもしっくりこない資質が含まれている人も一定数といらっしゃると感じます。)
③レッテル貼りをしてしまう
これは①や②を自分ではなく相手に向けてしまったパターンだと言えます。その人の強みや特性を把握するという観点では有効ですので、チーム内で共有することはとてもおすすめしています。しかし、それは「Aさんの上位資質は未来志向」「Bさんの上位資質は活発性」と資質の名称を知るということではなく、具体的なエピソードなども共有しながら、才能や強みのレベルで共有することにこそ意味があります。
そうじゃないと「Cさんは上位資質にコミュニケーションがあるから、話すのが得意だ」など勝手な先入観や決めつけが横行する危険性があります。また逆に「Dさんは責任感が下位資質にあるということは、責任感がないのだろうから大事なお願いはできない」など全くの誤解や誤解による機会損失が生じてしまうと悲惨です。
そうならないようにするためには、①②で述べてきた資質の本質的な理解に加えて、人は複雑で多様性に富んだ存在であり、資質は中立で優劣はなく、その人そのものを表すものでもない、という大前提を忘れないようにすることがとても大切です。
④弱みから目を背けてしまう
ストレングスファインダーは「強みにフォーカスする」と言っているので、時として「弱みを無視する人」が出てきます。確かに、従来の能力開発手法である「強みはそのままにして、弱みの克服に努力する」というものに対するアンチテーゼ的に、「強みを活かすことに専念しよう」というメッセージを発信しています。
ただし、これには続きがあります。「弱みは適切にマネジメントする」というものです。これは強みによって、弱点をカバーしましょうと言っているということです。弱みの克服に投資するのではなく、強みの開発に投資するのが成功の道だと言っているのですが、弱みを無視してよいとは言ってないのです。(と、私は解釈しています。)
また余談ではありますが、弱みに向き合わず放置し続けた結果、強みを活かそうとしても、弱みが足を引っ張ることが起こり得ます。特にマネジメントを担うようになればそれが顕著になります。下位資質を上位資質にしようとする必要はまったくないですし、それは難しいと思いますが、自分の弱みを理解し、向き合おうとする姿勢は持ち続ける必要があります。
⑤やらない理由にしてしまう
④の発展形として生じるのがこのパターンです。また診断結果を表面的な「向き/不向き」と捉えてしまうと起こるパターンとも言えます。例えば、コミュニケーションが下位資質になっている人が、「自分には向いていないから」もしくは「自分の弱みの部分だから」と、それを理由にプレゼン役やファシリテーターを拒んだり、内省が下位資質になっている人が、同様の理由で考える行為を放棄して、人に提案書や企画書作成を丸投げしてしまったり…とそんな状況です。
もちろん、チームメンバー同士が強みで互いに補っていくことは重要です。そういう意味では上記の例でも、役割分担としてお互いの強みを活かして生産性を上げているなら問題ありません。ただ、そんなに綺麗に役割分担できることばかりではないですし、全体最適で考えた際に苦手であっても、向いてなさそうでも、自分でやらねばならない時は多々あるでしょう。
その際に意識してほしいのは、ストレングスファインダーは「何が向いているのか」よりも「どのようにアプローチするのがよいか」を考えるための材料だということです。何かしら乗り越えるべき壁が生じた際に「資質的に自分には向いていない」と考えるのではなく、「持っている資質をどのように使えば、一見向いてなさそうなこともやり切れるのか」と考えるものです。資質から紐解いた才能を、強みという自分ならではの武器に変えて、その武器でどのように戦っていくかを考えていくということです。
まとめ
①資質の名称に引っ張られてしまう→資質を才能レベルで理解しよう
②占いのようにとらえてしまう→直感に反しても深堀して開発してみよう
③レッテル貼りをしてしまう→資質は中立。その人そのものではないと知ろう
④弱みから目を背けてしまう→強みで弱みを適切にマネジメントしよう
⑤やらない理由にしてしまう→持てる資質でどうアプローチするのかを考えよう
ストレングスファインダーは決して万能ではないですが、面白いツールだと思います。せっかく受講したのであれば、楽しみながら効果的に使って強み全開の世界で生きましょう!
ストレングスファインダーの活用に関しまして、ご相談やご不明点等がございましたら、お気軽にお問い合わせフォームよりご連絡ください。