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【KX物語 第10話】kさん、「5つのコンセプト」と向き合い始める。
タブレットの画面には、もう何も映っていません。ただの真っ白な画面です。
その画面に先ほどまで映し出されていた薄暗いログハウス風の小部屋と、どこからともなく発せられていた3人の声が重なったような声。そのいくつかのフレーズが、kさんの心を捉えて離しません。
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いつのまにか、自身が創り上げた
カイシャという幻想に支配され、
想いを、そして自分らしさを失ってしまっています。
「会社で働くって、そういうこと」だと、
自身の心の中にあるわだかまりを
封印してしまっています。
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でも、カイシャという実態はありません。
そこにあるのは人のつながりだけです。
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一人ひとりが蛹から蝶へと変態し、
人生の主人公として、自分の人生を
ワクワク、楽しいものにしようと、
新たなアクションを起こしていくことです。
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そんな声を頭に思い巡らせていると、タブレットの画面に新たな画像が浮かび上がってきます。青い蝶が、開かれた本の上に止まっています。そこには、こんな文字が刻まれています。
私からはじまる、KX
画像を、そしてこの文字を見つめながら、kさんはしみじみと考え込んでいきます。
・・・この蝶は私だ、ということなんだな。飛び立て、ということなんだろうな。いや待てよ、私は蝶になってはいないのかもしれない、、、私は、まだ蛹なのかもしれない、、、
そんなkさんの様子を見ていたマスターは、タブレットを再び机の上に戻すと、kさんに話しかけます。
「いいえ、kさんはもう蝶になっているように思いますよ」
「・・・あなた、なんで私が考えていることがわかるんですか? さっきからなんだか気持ち悪いですねえ、、、」
「でも、自分の中で、何かが変わっている気がしているんじゃないですか?」
「いやいやいや、そんなことよりなんで私の名前を知っているんですか?」
kさんの狼狽えぶりを穏やかな表情で見つめながら、マスターはその質問には答えずに話を続けます。
「ご説明を続けましょう。お手元にある紙に書かれている言葉についての説明です」
そういって、マスターは再びタブレットを手に取って、画面をスワイプします。現れた画像には、
KXを実現する5つのコンセプト。
という文字が書かれています。
続いて現れたのは、こんなビジュアルです。
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・・・あ、さっきの紙にあったビジュアルだ! このわがままとか変態っていうのを、5つのコンセプトと呼んでいるわけね。
このビジュアルが消えると、次に現れた画面には、“わがままセントリック”と大きく書かれています。そして、例の声が画面の中から聞こえてきます。
会社のメンバー一人ひとりが、
自分らしく、あるがまま、素の自分で
いられることを大切にしてほしい。
“わがままセントリック”であってほしい。
会社という幻想から、
自身で創り上げてしまった前提や思い込みから
自分を解放することから、
KXは始まるのです。
その画面には、さらに5つのフレーズが書かれています。
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kさんは、それぞれのフレーズを心の中で唱えてみます。【自分を感じよう。自分を信じよう。】と【「人生の主人公は自分」と囁き続けよう。】というフレーズが心に残ります。
・・・もやもやしていることを放っておいちゃダメなんだよな。自分に対して無責任だってことなんだよな、、、
画面が切り替わると、次に現れた画面には、“旅の仲間バラエティ”と大きく書かれています。そして、例の声が画面の中から聞こえてきます。
会社のメンバー一人ひとりが、
自分とは個性も持ち味も異なる、様々な仲間と
出会える環境を大切にしてほしい。
旅の仲間バラエティであってほしい。
人は、ひとりでは変わることはできません。
何事もなせません。
探索の旅に出るためには
旅の仲間が必要なのです。
この画面の5つのフレーズは、こんな内容です。
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kさんは、それぞれのフレーズを心の中で唱えてみます。【ひとの人生に口出ししよう。】というフレーズが心に残ります。
・・・そんなことやったことないし、やれないだろうけどなあ、、、
画面が切り替わると、次に現れた画面には、“つながりリデザイン”と大きく書かれています。そして、例の声が画面の中から聞こえてきます。
会社のメンバー一人ひとりが、
自分の居場所と思えるコミュニティに所属し、
豊かなつながりを得られるようにしてほしい。
“つながりリデザイン”してほしい。
会社とは、つまりは《関係》の場。
つながりとは、会社そのもの。
そして、つながりで、人は変わるのです。
この画面の5つのフレーズは、こんな内容です。
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kさんは、それぞれのフレーズを心の中で唱えてみます。【《会社の一員》というレッテルを剝がそう。】というフレーズが心に残ります。
・・・いや、ホントに今の部署の誰のことも知らないよな。前はそうじゃなかったんだし、、、
画面が切り替わると、次に現れた画面には、“想いドリブン”と大きく書かれています。そして、例の声が画面の中から聞こえてきます。
会社のメンバー一人ひとりが、
仕事や生活についての
自分自身のさまざまな想いが
かなえられていることを大切にしてほしい。
“想いドリブン”であってほしい。
一人ひとりの想いの表出こそが、KXのドライブ、
そして、事業創造の、経営のドライブなのです。
その画面には、さらに5つのフレーズが書かれています。
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kさんは、それぞれのフレーズを心の中で唱えてみます。【未来の話をしよう。青臭い話をしよう。】と【一人ひとりが“想い”に気づける場にしよう。】というフレーズが心に残ります。
・・・愚痴ばっか言っててもしょうがないんだよな。でも、青臭い話かあ、、、できるかなあ、、、それに、いま、私は何をしたいんだろう。私の想いって、何だろう、、、
画面が切り替わると、次に現れた画面には、“変態インフィニティ”と大きく書かれています。そして、例の声が画面の中から聞こえてきます。
会社のメンバー一人ひとりが、
仕事を通して新たな自分へと変化し、
成長し続けていくことを大切にしてほしい。
“変態インフィニティ”であってほしい。
人生100年時代とは、
変わり続け、学び続ける時代。
それができる会社を、
人生100年時代は待望しているのです。
この画面の5つのフレーズは、こんな内容です。
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kさんは、それぞれのフレーズを心の中で唱えてみます。【未来を見よう。変わり続けよう。】というフレーズが心に残ります。
・・・そうか。私は、未来に飢えていたのかもな。でも、それをつかむことができないから、心を閉ざしていたのかもしれない。
改めて、手元の紙を見ます。-73というKXスコア。バランスの悪い花びらのようなグラフ。ここまでの説明は大体わかりましたが、この紙が表わしているものを、どう解釈していいものか。kさんは、少し困った様子でマスターの方に視線を泳がせます。
(つづく)