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33才 課長になる
31才で建設会社に採用され、最初は総務の仕事を覚えるために電話に出たり、書類の整理など慌しく働いた。
出社して1週間くらい経った頃、社長から会社から2時間の距離にある工事現場の応援を頼まれた。
朝7時に出社して支給された作業服に着替えて会社から電車とバスを乗り継いで2時間かけて現場に向かった。
現場では20代前半の若い現場監督が他業種の職人に小間使いのように命令され右往左往していた。
現場内の各業種の職人たちは、その日の自分の仕事さえできればイイという人がほとんどで、各自が出したゴミまで監督に片付けさせていた。
かなり現場は荒れていた思った
一方で若い現場監督は職人になめられたくない気持ちでが強く、双方が一触即発状態のようにみえた。
私は前職の現場監督経験は僅か2年間であったが、職人とのコミュニケーションを常に大切にしていたので、現場内は現場監督と職人たちのコミュニケーションは良く、双方が協力的だったので工程監理はスムーズであった。
職人はおおよそ個性的で自己主張が強いので、相手の言い分をよく聞いて笑顔で接するだけで工事が円滑になることを知っていた。
入社して1ヶ月で3棟の現場をサポートした。前職の失敗経験は新しい会社ですぐに役立った。
入社して3ヶ月くらいしたある日、社長の営業に同行した時に経営について相談された。
会社は下請け専門で、元請の都合で入金される場合があり、頻繁に資金繰りが厳しくなることがある。繋ぎの融資で切り抜けているが利息がの負担が大きい。何か良い方法はないかという相談だった。
私は下請けから脱却して元請になることを提言した。そうなると営業力が必要だと社長はいう。
私が提言したことで、それ以降私は総務と営業を掛け持ちすることになった。
今つくづく思うけど、私は運が良かった。
ほどなくしてあの伝説的な、“バブル期”が到来したのだった。実際には大した営業をしなくても下請けから元請になり、受注ラッシュで売上は2倍3倍と怖いくらいに急成長した。
31才で営業と総務を経験して、32才で経理を経験して、33才で人事を経験することができた。
30才の時にノートに書いた夢と希望を、転職して3年で経験して、同時に課長という役職に就いたのである。
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