湯を沸かすほどの熱い愛 に想う
夫に家出され、パートに励む女性は娘と二人暮らし。突然倒れた彼女が余命2ヵ月と宣告された。彼女は残された日々で「絶対にやっておくべきこと」を実行していく。
余命宣告を受けてから、「死にたくない、生きたい」と思える瞬間までのマラソンのようだった。
そのマラソンの中で「今まで全部が幸せだった人生」にしていくことが、最後に人間がやる仕事なのかもしれない。
誰が産んだとか、誰から生まれたとか、
誰に育てられたとか、誰も育ててくれなかったとか、
そこにこだわってきた人生を変えていく。
自分の人生は、やっぱり自分で作っていくしかない。
新しい家族を作ることだってできる勇気がここにはあって、
それは 湯を沸かすほどの熱い愛 にしかできなくて。
子どもは親の犠牲になる。
その親はその親の頃犠牲になっていたかもしれない。
その子どもも親になって子どもを犠牲にするかもしれない。
それはもうそこに存在しているだけで
みんなそうなんだって思った方がいい。
みんなそう、言わないだけ。
この映画の中の世界は決して特別じゃない。
だから、自分で人生を作る。家族を作る。
自分から優しさを届けていく。
これからの家族のカタチがここにはたくさんあった。
それから、キャストが抜群によかった。
宮沢りえさんの神がかりが、世界に届くよう願うほどの美しさと深さ。
オダギリジョーさんの、ちょうどいいダメさにずっと救われた。
クライマックスの、銭湯に富士山がかかれた、はなむけの場所がうつくしすぎた。
細部に渡ってぜんぶ、よかったです。
熱い愛を知ってる人と知らない人の人生は違うから。
社会的意義のとても高い作品でした。
喜びます、ありがとうございます。