40歳を目前に出逢えてよかった小説:山本文緒(自転しながら公転する)
最近、ビジネス書ばかり読んでいて、正直少し長編小説を読むのは時間にめちゃくちゃゆとりがないと無理だよなーなんて思ってましたが、読んでよかった、いや、読まなかったらヤバかったなとすら思った本。
この本の感想の前に、私の山本文緒さんへの気持ちを綴りたいと思います。
私が大学生の時は、毎日のように山本文緒さんの本を読んでいました。私は田舎の実家から大学に通っていたので片道2時間公共交通機関を乗り継いでいたのでその間ずっとお世話になっていました。
その中でも、
「きっと君は泣く」「絶対泣かない」は何度も読んでは友人やアルバイト先の後輩に語っていたし、ブックオフに行く度に山本文緒さんの本を見つけては買い、「これは読んだ方が良い」と配るという勝手な謎の布教活動をしていました。
しかし、社会人からバリキャリを一直線に駆け上がることを必死でやってきた私はビジネス書ばかりを読むようになり、その後も自分磨きや育児書、その後のキャリア復帰に役立つ情報ばかりを収集する日々を送ってきたのですが、突如目に飛び込んだ「山本文緒さんの新書!自転しながら公転する」に、「わたしの先生が!新書を出していらっしゃる!」と20年前の気持ちがこみあげて即購入、夢中で読みました。
そして思い出したことは、私は大学生の時にずっと山本文緒さんのことを「私の人生の先輩先生!」と呼んでいたのです。そう、ドラマチックな小説なのにリアルさに自分を重ねてはこの先の自分の人生の転機を考えておくきっかけをくださっていたんです。
で、「自転しながら公転する」もまさしくそうでした。
私は来年40歳になります。その、目前に読んでいて本当に良かったと思いました。40歳からの「夫と娘との人生」について私は考えたことがありませんでした。ただ、漠然と思っていたことは、女性はいつも20代をピークに30代、40代、50代と「できていたことが、できなくなっていく自分」と折り合いをつけながら生きていかなければならないと思っていました。
でもこの本で、この先の人生の思考体験をさせてもらうことができ、どこかほっとしました。漠然と恐れていた更年期障害の話や、娘が社会人になってからの関わり方、日々の延長線では想像できなかった日常を覗き見させてもらえて自分自身のことを考えることもできました。
そして何より、都(登場人物:娘)の葛藤や成長、桃枝(登場人物:母)のもう一度人生をつくるバイタリティに元気と勇気をもらいました。そしてそれぞれが吐き出す感情に、自分自身のなかで「今、もやもやしている感情」が整理された気がしました。私自身が一人娘であり、今一人娘の母親でもあります。だからものすごく入り込んで久しぶりに、「え~!」「まさかの?」「そういうこと?!」「わかる~」と声を出しながら興奮して読み進めました。
山本文緒さんは、やっぱり人生の先輩先生でした。最高の本でした。漠然と30代、40代からの人生を不安に思ったりする女性におすすめです。近いうちに私に会う友人のみなさまにはプレゼントしていきたいと思います。