放送大学で卒業研究をやってみた-2 テーマ選び
【きっかけ】
卒業研究をやってみようと思ったきっかけは、放送大学の友だちが前年度に卒業研究をやっていたのを見たからです。もちろん大変そうなこともいっぱいありましたし、不安でしかありませんでしたが、まずは「研究」というものをやってみたいと思いました。
それに加えて、わたしは地元の学習センターで客員教授のゼミに参加しており、そのゼミでレポートを書いていくうちに、これをもっと発展的にやっていけないかなと思い始めました。そのゼミの先生は臨床心理学が専門でしたから、ゼミに参加するうちに臨床心理学に興味も湧いてきました。毎月の課題の中に「直面化」というのがあり、その時、何人かの知り合いにインタビューを行なってレポートを書いたことがありました。当時はなんの気なしに行なったインタビューでしたが、まさかこれを卒業研究で行うことになるとは思いもしませんでした。ゼミでは先生がインタビューについて褒めてくださり、なんとなくいい気分になっただけでした。
そしてもう一つ。放送授業や印刷教材で知った一人の教授にぜひ指導してほしいと思ったのがきっかけです。その先生はとても人気があるとのことで、卒研申請が通るとは限らないという噂も聞き、ますますやる気が出てきました(笑)。客員ゼミの先生と一緒に、担当教官の専門領域に近づいていけるよう、自分のテーマを決めていくことになりました。
【テーマを決める】
最初はゼミの先生に、卒研のテーマをずらずら書いて見てもらうことから始まりました。最初に考えたのは「老年的超越」でした。人は100歳を超えると多幸感を得るというもの。どんなに体が衰えて、周りの親しい人が死んでいったとしても、超高齢者(100歳以上)は幸せを感じるというのです。こんな境地に早くなれたら、人生楽しいんじゃないかと思いました。じゃあ、どうやったら老年的超越を早い段階で達成できるのか、調べてみたくなりました。ゼミの先生は「あなたはインタビュー研究が向いてるから、方法はインタビュー研究にしたらいいよ」とアドバイスをくれましたので、ではそうしましょうという感じで決めました。
若くして老年的超越に達している人にはどんな人がいるのかということを、ぼんやり考えていくうちに、各年代の老年的超越をしているような人にインタビューをしてみて、年代ごとにどんな違いがあるのか、年を経るに従って老年的超越に近づいていくのか、それとも個人差なのかということを調べてみたくなりました。老年的超越についても並行して調べていったところ、マズローの「自己実現」にとても近いような気がしてきました。だったら、老年的超越 ≒ 自己実現と考え、若くして自己実現している人にインタビューしたらいいんじゃないかと思いつきました。これはいい!と思い、マズローについてや人間性心理学について調べていきました。
【挫折】
しかし、そこまでの進捗を「卒研質問箱」なるものに投稿したところ、希望する指導教官からなかなか厳しいお答えが返ってきてしまいました。老年的超越とマズローの自己実現は似ているように見えて全然違うものだから、それは研究とは言えないよと。本当にその通りで先生は間違っていませんが、わたしは落ち込みました(笑)。さてどうしよう…と立ち止まってしまいました。
ここから新しいテーマを考えるのは時間がなさすぎる。質問箱は、卒業研究申請の前に細かいところを詰めていくために設定されていました。だとして、これから全く新しくテーマ選びをしていたら間に合わないなと考えました。そこで考えていくうちに浮かんできたのが「高専生」です。高専というのは「高等専門学校」の略で、中学校卒業後に5年間の一貫教育を行い、大学とほぼ同等の専門教育を行う高等教育機関です。たまたま身近に高専出身者が多かったことから、高専生活と学生の心理的発達になにか関係があるのではないかと考えました。たまたま希望する指導教官は、思春期・青年期の心理的発達について研究している方でしたので、領域としてもピッタリ。ようやく気持ちが前向きになってきました。