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ヒストリー⑧始まりの前に・2001年10月,12月

実現した自死遺児たちと首相の面会


2001年10月23日、清水康之ディレクター(現ライフリンク代表)が制作したNHK番組「クローズアップ現代」の「お父さん死なないで ~親の自殺 遺された子供たち」が放映されました。

自死遺児の一人が顔を出し名前を明らかにして出演し、自分の言葉で取材に答え、自らの死別体験を語りました。

その覚悟と決意は多くの視聴者の胸を打ちました。
反響は想像を超えるもので、様々なところへと波及し、事態を動かしていきます。

そして、放送から40日後の12月3日、10人の自死遺児たちが首相官邸を訪れ、小泉純一郎首相に「自殺防止の提言」を陳情したのです。

その日、7人の遺児は実名を公表し、顔も隠さずに記者会見を行いました。連続シンポジウムの蓄積と、清水ディレクターの思いに遺児のひとりが共鳴し、自ら一歩を踏み出したことが大きなうねりを起こし、事態を劇的に変えたのでした。

 この時に行った「自殺防止の提言」は「自殺は社会問題であり、人権問題である」と明確に定義づけました。

その上で「急増する自殺は、個人の問題ではない。弱肉強食の社会で問題を一人に背負わせ、死に追いやる。遺族は、偏見や差別に一生苦しむ。社会全体で自殺に向き合おう」と呼びかけました。

具体策としては①自殺統計の早期発表と実態調査の実施②働き盛りの自殺防止のためのセイフティネットの確立③すべての医療機関が連携してうつ病対策をー-を挙げました。理念と方策を見事に整理した特筆すべき内容でした。

 NHKは12月24日のクリスマスイブ、その年に話題になった番組を特集する「クローズアップ現代スペシャル」が放映され、「お父さん死なないで」がそこに選ばれました。

遺児の一人もイブを楽しむ友人たちとともに生出演し、笑顔で国谷裕子キャスターと言葉を交わしました。
                  
=続く  次回は、⑨2002年2月、11月編「行政は動き出したのか」です。


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