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きょう心にしみた言葉・2024年12月3日

回復するということは、出会っていくことです。鎧をまとって生きてきた自分と出会い、仮面の裏の自分と出会い、自分の内なる自然に出会い、生きたいと欲する生命力に出会うこと。このようないくつもの層の出会いのプロセスが回復です。

回復するということは、身体、意識、無意識、そして魂をひっくるめての自分という存在をいとおしみ、大切にし、付き合い続けていくのは自分以外にないという現実に直面することです。その現実を見つめながら、なおかつ自分の闇を他人と共有しようということに他なりません。

苦しみの多い人生を生きてきた人はその分、長年抑圧されてきた生命力がとめどなく奔流し始める可能性をたたえています。

「虐待・親にもケアを」(森田ゆり・編著 築地書館) 


虐待してしまう親に向けた支援プログラム「MY TREE ペアレンツ・プログラム」。 2001年にこのプログラムを開発した森田ゆりさんは、米国と日本で児童虐待防止の人材育成に関わってきました。プログラムは全国の児童相談所などで実践され成果を挙げています。
森田ゆりさんの編著書「虐待・親にもケアを」の副題は「生きる力をとりもどす MY TREEプログラム」です。プログラムの実践例が詳細に紹介され、自分の過去の傷と向き合いながら参加者たちが変わっていく様子が描かれています。虐待の加害・被害を超え、人間そのものへの信頼とあたたかなまなざしが全編から浮かび上がります。

「子ども虐待とはこれまで人として尊重されなかった痛みや悲しみを怒りの形で子どもに爆発させている行動です」
プログラムは虐待をこう定義します。
そして
「自分の苦しみに涙してくれる仲間がいるという、人とつながれることの喜びは、本来誰もが内に持つ健康に生きる力を輝かせるのです」
と提起します。

この本の中では、いくつもの言葉が定義されています。そのひとつ「人権」の定義を紹介します。

生きる力は外から大人が身につけさせるものではなく、子どもの内にすでにあるものです。周りの大人たちから一つの個性として尊重され大切に扱われることで輝きを増す、生まれながら持っている力です。
それを別名「人権」と呼びます。

章立ての小見出しにも、心にしみる言葉が並んでいます。
「気づきとは何か――自分がヒーローの物語を生きるために」「共感力とは『味方になること』」「内なる変化――過去が過去になる」「私が私を取り戻した」‥‥。

「生きる力」を取り戻すための言葉です。


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