ヒストリー㉘その先へー・2016年4月
自殺対策基本法さらに強く広く
2016年4月1日、改正自殺対策基本法が施行されました。
自殺対策基本法は、最初の施行から10年を経てさらに強力な法律になりました。まず、自殺対策は「生きることの包括的な支援」と明確に位置付けられました。
さらに都道府県だけでなくすべての市町村に「自殺対策計画」の策定が義務付けられました。これに伴い、すべての都道府県と政令指定都市に「地域自殺対策推進センター」が置かれることが定められました。地域センターは、市町村の自殺対策計画策定や研修会の開催等を支援する「エリアマネージャー」の役割を担います。
また、子どもたちに向けては、SOSを言い出せるための教育や啓発の推進が盛り込まれました。
学校で「SOSの出し方」を学ぶ「自殺予防教育」を実施していくことになりました。
15~34歳の死因で自殺がトップの国は、先進7カ国の中で日本だけでした。フランスやドイツ、アメリカは2位、イタリアは3位でした。
特筆すべきは、自殺対策の地方自治体への交付金について、恒久予算化が実現したことです。
これまでは補正予算の中で計上されてきましたが、当初予算の中に位置づけられることになりました。
財政基盤が安定したことにより、市町村は自らの「自殺対策計画」に基づいて中長期的な視点で対策に取り組める態勢が整いました。
2015年の自殺者は、2万4025人と2万5000人を下回りました。
2005年比で自殺者を20%減らすという数値目標も1年前倒しで実現しました。
しかし、それでもなお毎日平均50~60人が自殺で亡くなっているのです。
「誰も自殺に追い込まれることにない社会の実現」には、新たな取り組みが求められていました。
=続く 次回は、㉙2016年9月編「韓国とスクラム組んで」です。
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