きょう心にしみた言葉・2024年7月10日
「Humankind 希望の歴史 人類が善き未来をつくるための18章」は、「人間の本質は善である」と繰り返し提起し、オランダをはじめ他の世界46カ国でベストセラーになりました。著者のルトガー・ブレグマンさんはオランダ出身の歴史家でありジャーナリストです。世界を見る時、圧倒的に多くの人が「性悪説」をとっていると思われます。この本はそうした風潮に敢然と反旗を翻し「性善説」を説得力をもって展開しています。イースター島文明の環境破壊による崩壊説、ネアンデルタール人のホモ・サピエンスによる殺戮・絶滅説、40人近い目撃者がいながらだれも警察に通報せず見殺しにされたとされるニューヨークのキティ事件など、「性悪説」による定説を多くの証拠から翻していきます。
「人生の指針とすべき10のルール」と題されたエピローグには、人間として生きる希望の言葉が並んでいます。
冒頭の言葉は、6番目のルール「他の人々が自らを愛するように、あなたも自らを愛そう」に出てきます。「愛は小さな愛から始まる。自己嫌悪に悩まされている人が、他の誰かを愛せるだろうか」と問いかけたうえで、冒頭の言葉へとつながります。
7番目のルールも興味深いものがあります。「ニュースを避けよう」と呼びかけ、SNSの危険性に言及し、「いいね」のようなプッシュ機能が副作用と中毒症状を招くと指摘しています。
10番目のルール「現実主義になろう」は、現実主義という言葉の意味を変えることを提言しています。他者を信頼し、善行を心がけ、自らの寛大さを恥じない「新しい現実主義」を始めようと訴えています。