ライフリンク・メディア報道・毎日フォーラム・2023年夏秋冬・2024年春夏号
毎日新聞社が発行する季刊誌「毎日フォーラム」に、ライフリンクの特集記事が掲載されています。2023年の夏号、秋号、冬号、2024年の春号、夏号とこれまで5回にわたって掲載されました。その内容を紹介します。
2023年夏号は、ライフリンクが進める自治体連携事業を取り上げています。自治体との連携事業は、ライフリンクのSNS・電話の相談窓口(#いのちSOS)に相談から寄せられた時から動き出します。相談者の思いを受け止めたうえで、やりとりを重ね、継続支援が必要と判断した場合は、「つなぎ支援」を担当する「コーディネーター」が、相談者の同意を得た上で、連携自治体の担当部署と情報を共有して対応策を練るというものです。自治体側も、組織をあげてより包括的な生きる支援を追求し、本人にとって最も適切な社会資源や居場所を見いだしていく仕組みです。
ライフリンクが自治体への連携呼びかけを始めたのは21年からですが、これに先立つ09年、東京都足立区と連携協定を締結し、足立区と協働して「寄り添い支援」 を続けてきました。その経験と実績を他の地域の自殺対策にも生かしたいと考えていました。22年以降、岩手県や京都府京丹後市などから連携に向けて次々と手が挙がり、2024年7月現在で29自治体が名前を連ねることになりました。
2023年秋号は、連携自治体のひとつで、長年先進的な取り組みを続けてきた岩手県の取り組みを紹介しています。
岩手県の自殺対策の礎となっているのは、2000年に岩手県久慈保健所管内(久慈市など現在合併し4市町村)で始まった「自殺予防プロジェクト」(久慈モデル)です。NHK朝の連続テレビ小説「あまちゃん」の舞台にもなったこの地域は自殺率が高く、その克服が大きな課題でした。「自殺対策は地域の住民、医療、行政を巻き込み包括的に取り組む」の理念の下、久慈保健所と岩手医科大学がけん引役になって対策の実践と理論化が進められたのです。
2023年冬号は、2009年にライフリンクと協定を締結し、全国の先がけとなる自殺対策を進めてきた東京都足立区の取り組みを紹介しました。足立区では、区長のもとに全庁の組織が一体となった自殺対策戦略会議を置き、ハローワークでのワンストップ相談や、区民や職員等の立場からSOSに気づき、つなぐ「ゲートキーパー」の育成、学校現場での「SOSの出し方等教育」などきめ細かな対策を切れ目なく打ち続けています。こうした「オール足立の自殺対策」の礎を築き、今も現場で指揮を執るのが、衛生部長の馬場優子さんです。自殺対策に携わって15年以上になる馬場さんに、現状の課題と展望を聞きました。
2024年春号は、連携する自治体の自殺対策担当者が集う意見交換会の議論を紹介しました。意見交換会は、1月22日にオンラインで開かれました。ライフリンクは開催当時、SNS等相談事業などを通じて全国の26自治体と連携協定を締結していました(現在は29自治体)。このうち連携する24自治体に加えて、協定締結を検討していた2自治体と厚生労働省自殺対策推進室がオブザーバーの形で参加し、計26自治体と厚労省の行政担当者62人、ライフリンクの職員11人の計73人が、自殺対策の課題について意見を交わしました。
2024年夏号は、自殺対策への思いを共有する全国の地方議員たちが進めるネットワークづくりについて紹介しました。地域の実情に沿ったきめ細かな自殺対策を進めるため、互いの情報を交換し、知識や知見を深めながら、政策提言力の向上をめざしています。ライフリンクも地方議員を対象にしたオンライン研修会を2回にわたって開催するなどネットワークづくりを支援しています。ネットワークづくりの中心を担う横須賀市議の堀遼一さんに話を聞きました。
毎日フォーラム2024年秋号は、9月中旬ごろに発行される予定です。
毎日フォーラムは、全国1800自治体とその首長、全中央官庁の全課長、東京都庁の全課長に配布されています。発行部数は4万部です。
写真は、東京都立美樹館主催「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」展図録から