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ライフリンク・メディア報道・秋田の取り組み③東京フォーラム・2017年11月

自殺対策の「秋田モデル」は全国から注目され、2017年11月14日、東京・内幸町の日本ブレスセンタービルで全国フォーラム「秋田モデルから考えるこれからの自殺対策」が開かれました。2017年11月15日・秋田魁新報ほか各紙、2017年12月5日・しんぶん赤旗、2017年12月15日・東京新聞特集面から紹介します。

主催者の秋田魁新報社、小笠原直樹社長のあいさつです。
2007年から紙面で『支え合ういのち』キャンペーンを展開しています。民間主導型で大学や医師会、行政を巻き込み、連携して自殺予防活動を推進する取り組みは『秋田モデル』と呼ばれ、自殺者はピーク時に比べて大幅に減少するなど効果も出ています。一方で日本では人口減、少子高齢化が急速に進んでおり、その先端を走っているのが秋田県です。秋田から見えてくる課題を全国の方々に知っていただきたいと思い、東京でフォーラムを開催することにしました

2017年12月15日・東京新聞特集面 2017年12月5日・しんぶん赤旗

基調鼎談には、清水康之代表自殺総合対策推進センター長の本橋豊さんNPO法人あきた自殺対策センター蜘蛛の糸理事長の佐藤久男さんが登壇しました。
清水康之代表の発言です。
秋田モデルは民学官だけでなく『民学官報』、つまり報道も大きな役割を果たしている。対策を進める上で最大の壁は、自殺に対する誤解や偏見。それをなくし、地域住民が自殺について理解を深める上で地方紙の報道は力を発揮した。それに対策に取り組む関係者の思いが熱く、人をどんどん対策推進の輪に巻き込んでいく力が秋田モデルにはある
自殺対策の一番の難しさは当事者がいないこと。どんな思いだったのか、どんな支援があればよかったのかが、なかなかわからない。語り手がいないために、自殺にまつわる誤解や偏見がつきまとう時代が長く続いた
これまでの10年間を振り返ると、やはり一番意義深いのは自殺問題が個人の問題から社会の問題として認知されたこと。改正法では理念も明確になり、全ての自治体が自殺対策計画を策定することが義務付けられた。生きることの包括的な支援を全国でくまなく実施していく土台がようやくできたというのが実感だ
特に十分に取り組めてこなかった若者対策を、今後10年の課題にしっかり位置付けたい。いま何ができるか、明日何ができるか、それぞれの立場で毎日歩みを進めることが大事だと思う

佐藤久男さんの発言です。
2002年に自殺対策のNPO法人を立ち上げた。『常設』『面談』『無料』で相談活動を実施してきた。自殺対策に名案はない。ただ、ひたすら、目の前の人を死に追い込まないという一点に絞って、相談にあたっている。それを軸に2006年には民間団体の「秋田・こころのネットワーク」が発足した。ネットワーク未加入も合わせると現在は60団体、計1500人が自殺予防に関わっている。自殺対策が県民運動に発展したことで、秋田県の16年の自殺者は240人とピークから半減した。難しい自殺対策でもみんなで力を合わせれば成果を上げることができるんだ、ということを実感している
本橋豊さんの発言です。
自殺対策白書が毎年公表され、地方自治体の自殺対策に関わる予算も恒常的に確保されるようになった。しかし、実際に地域で実効ある自殺対策を推進しているのは民学官であるということを再確認すべきだろう

秋田モデルの成果についても記事は指摘しています。秋田県の自殺者数のピークは2003年の519人で、自殺率は44.6(全国平均25.5)でした。それが2016年には53.8%減の240人となり、自殺率も23.8(全国平均16.8)に低下しました。2003年の自殺率は全国平均を19.1も上回っていましたが、2016年には7.0に縮まりました。一方で、秋田モデルによるきめ細かな対策によって40~50代の自殺者数はピーク時から6割超も減ったものの、高齢者と若年層にはあまり変化が見られないことが課題だと提起もしています。

次回も、このフォーラムの議論を紹介します。

写真は、富山市のガラス美術館にて。


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