ヒストリー㉕その先へー・2013年1月・3月
自殺者3万人を下回る
新年に流れたひとつのニュースが大きな話題になりました。
2012年の全国の自殺者数が、前年より2885人(9.4%)少ない2万7766人となり、1997年以来、15年ぶりに3万人を下回ったのです。
3年連続の減少でした。
警察庁が速報値として発表しました。
警察庁が新年早々に、その前年の自殺者数を発表するようになったのも、そのこと自体が自殺対策の前進と言えるものでした。
2006年に自殺対策基本法ができるまで、全国の自殺者数の発表は夏ごろまで待たなければなりませんでした。
しかし、法律の施行、自殺総合対策大綱の制定を受けて、月ごとに速やかに発表されるようになったのです。
各地各所で進められた自殺対策が実を結び始めていました。
ただ、減少し始めたとはいえ、3万人近い人が自殺している現状は深刻です。ライフリンクは、さらなる対策推進へと動いていきました。
警察庁の統計から、新たに見えてきた課題がありました。
「就職失敗」が原因の20代の自殺は07年の60人から2012年は149人に増えていたのです。
学生・生徒でみると、16人から54人に増加していました。
自殺未遂者は既遂者の10倍~20倍に上るとみられている中、年間1500人~3000人もの20代の若者が「就職失敗」を理由に自殺を図っている計算になります。
ライフリンクは、学生インターン9人とともに、就職活動中の大学生ら121人から聞き取り調査をしました。
その結果、7割が就職活動の現状に不満を抱いている現状がわかりました。学生たちの切実な生の声を紹介したことも大きな共感を呼びました。
不合格を告げる「お祈りメール」のしらじらしい文面、こっそりと仕組まれている「大学フィルター」など学生たちのつらい状況が浮き彫りになりました。
ライフリンクは「選考過程を明確にして不信感を解消する必要がある」と提起しました。
ライフリンクと学生インターンたちは、さらに追加の調査を行い、10月に改めて調査結果を公表し、学生を過度に追い込むことのない就職活動にするために、さまざまな観点から改善を呼びかけました。
=続く 次回は2013年10月・2014年9月編「WHOがライフリンクを評価」です。
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