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ライフリンク・メディア報道・秋田の取り組み②・2016年11月

2016年11月1日の秋田魁新報は、秋田県の自殺対策について、こう総括しています。
秋田県の自殺対策は、県内39団体の連合体である『秋田・こころのネットワーク』をはじめとする民間団体が主導し、公衆衛生学や心理学など専門的な立場で自殺予防を研究する秋田大学や、県医師会、県・市町村が一体となって推進してきた。民・学・官の連携で大きな成果を上げていることから、全国から『秋田モデル』として注目されている
「秋田モデル」について、秋田魁新報の記事を中心に紹介します。

「民・学・官」に秋田魁新報社が加わり、「民・学・官・報」で進めてきたのが「さきがけいのちの巡回県民講座」です。2013年10月から紙面掲載時の2016年11月まで、県内18市町村で開催してきました。専門医ら有識者による講演や、地元で自殺対策に取り組む民間団体代表らによるパネルディスカッションなどの活動を精力的に続けてきました。2017年秋までの最後の1年間で未開催の7市町村で開催すると告知しています。

2016年11月1日 秋田魁新報

2016年は自殺対策基本法施行10年の節目にあたり、また改正基本法が施行された年でもありました。これまでの10年、そしてこれからについて、清水康之代表のインタビュー記事が掲載されました。
清水康之代表の発言です。
基本法の本質を単純化すると、「自殺は社会の問題であって、対策は社会全体で進めなければならない」という1点に尽きる。ただ、法律ができてその点での社会的合意を得たものの、ではどうやって進めていけばいいのか、どこへ向かえばいいのかという道筋が見えていなかった。この10年は自殺対策に関わる広範な人たちが嗅覚を研ぎ澄まし、チャレンジを続けてきた年月だったと言える。その過程で方法論を感覚的に会得できたし、具体的な連携のあり方をモデル化することもできた
この10年で分かったのは、自殺者の多くは覚悟の上で死んでいるのではなく、死ぬしかない状況に追い詰められた末に死を選ばされているということ。支援が行き届けば多くの人が生きる道を選択するということも確信した。さまざまな経験を積んだことで道なき道を切り開き、進むべき道を照らすことができた10年だったと思う
自殺に追い込まれる人が少ない地域は、あるいは自殺の手前の段階で問題を解決できる地域は、誰にとっても生き心地のいい地域といえるのではないか。自殺対策を通じて地域づくりを進めていく。地域づくりの一つとして自殺対策を推進していくという視点は大事だと思う。そう考えると、自殺対策にはすべての人が関わっていける余地がある

秋田県健康福祉部の田中央吾部長は「自殺対策は特別な分野の人や専門家だけが行うものではありません。少しでも多くの県民が参加し、身近な人とつながること、孤立する人をなくすことが重要になってきます」と述べ「あなたもゲートキーパーになってください」と呼びかけました。

秋田県医師会の稲村茂常任理事は「つらい状態は長く続くわけではありません。大切なのはこうした症状を本人や周囲の人が気付くことです。適切な治療を受けることで元気を取り戻すことができますし、苦しい時期を乗り切れば再び生き生きとした日々を送れるようになります」と語りました。

写真は、富山市ガラス美術館にて。


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