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ヒストリー㉝あしたへー・2017年10月

「座間9人殺害事件」の衝撃


2017年10月30日、衝撃の事件が発覚しました。
「座間9人殺害事件」です。
ツイッターで「死にたい」「消えたい」とつぶやいていた若い女性たちは、ツイッターを通じて後に逮捕される男と知り合います。
男は巧みな言葉を使い、優しく親切な人物のように見せかけていました。
彼なら自分の苦しみを聞いてくれる。わかってくれる……。
そう信じた女性たちは、引き寄せられように座間にまで出かけてゆき、そして、殺害されたのです。

SNSが、史上まれな凶悪犯罪に利用されてしまいました。自殺対策の現場では、以前からSNSの危険性が指摘され、相談業務に加えようという意見はありました。ただ、テキスト交換だけの相談には、その効果を疑問視する声もあり、なかなか実現しなかったのです。
しかし、この壮絶な事件を前に、厚生労働省は早急に対策を打ち出すことを決めました。ライフリンクも加わります。

ライフリンクの活動にとって大きな転換点でもありました。それまでは、様々な場所での活動や関係者をつなぎ、現場の声を政策として具体化し、自殺対策の社会的枠組みの実現に専念する形で活動してきました。直接的な相談支援とはあえて距離を置いてきました。その方針を改め、自ら直接相談支援に関わることを通じて、自殺防止相談の社会的インフラ構築へと踏み出したのです。

2018年3月、「生きづらびっと」と名付けたSNS相談を始めました。すると、苦しさを訴え、救いを求める声が洪水のように押し寄せてきました。やはり、これほどの数の人たちが相談を求めているのか。相談インフラの構築に向けた決意が、さらに強固なものとなりました。

相談アクセス(ユニークユーザー)数は、2021年度は、毎月5000人~6000人台で推移しました。しかし、12月は1万2000人を超え、1月も8000人近くになりました。2020年度は有名な俳優の男女2人が自殺する事件がありましたが、その月はどちらも1万5000人を超えました

そして、コロナ禍の襲来です。活動休止に追い込まれる電話相談(民間団体)が目立ち始め、ライフリンクはそこにも強い危機感を持ちます。ITベンチャーの協力を得てオンラインで電話相談を受けられる全国ネットワークを構築し、電話相談「#いのちSOS」(2021年2月開始)も立ち上げました。

=続く 次回は、㉞2021年2月編「相談業務に踏み出す」です。

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