ヒストリー㉔その先へー・2012年8月
明記された異例の文言
2012年8月28日、自殺総合対策大綱が改訂されました。
2007年6月の策定以来、初めての全面的な見直しでした。
いくつも改められた点がありますが、とりわけ特筆すべきは、
「自殺総合対策大綱」の副題と冒頭に
「~誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指して~」
が明記されたことです。
政府がつくる大綱としては極めて異例のことでした。大綱の改訂には、ライフリンクの清水康之代表が深く関わりました。
新しい大綱では、増加傾向にある若年層の自殺対策を強化することも打ち出されました。
当時、大きな社会問題になっていた大津市の中学生いじめ自殺などを受けた対応です。
児童や生徒の自殺の原因にいじめの可能性がある場合、第三者が調査する方針も盛り込まれました。
また、人口10万人当たりの自殺者数を2016年までに、2005年に比べて20%減らす目標も掲げました。
2005年の自殺死亡率は24.2で、それを20%減少させると19.4となります。
後にわかることですが、2016年の自殺死亡率は16.8となり、2005年時点から30.6%の減少し、目標を10.6ポイント上回る減少を達成することになります。
具体策としては、24時間体制の無料電話相談や、インターネットを活用した支援策の拡充も明記されました。
さらに、自殺を「誰にでも起こり得る危機」と明確に位置付けました。
再び自殺を図る可能性が高い自殺未遂者に向けては、継続した支援体制の整備や、小規模事業所を中心とした職場でのメンタルヘルス対策の強化などを求めました。
東日本大震災の被災者については、ストレス軽減など行政や民間団体を支援する方針を盛り込みました。
「~誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指して~」の理念を広く深く浸透させるべく、ライフリンクをはじめ各団体はさらに活動を活発にしていきます。
=続く 次回は、㉕2013年1月・3月編「自殺者3万人を下回る」です。
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