ヒストリー⑯願いかなった日・2006年10月
自殺対策基本法ついに施行
自殺対策基本法は2006年10月28日に施行されました。
法律は、基本理念として「自殺対策を個人の問題ととらえず、社会的な取り組みとしてとらえる」ことを明確にしました。
これは「自殺は個人の問題」と考えることが多かった従来の社会認識に全面転換を迫る画期的なものでした。自殺の多くは、失業や多重債務などで「追い込まれた末の死」であり、世間で考えられがちな「身勝手な死」「意志が弱いゆえの死」ではないと、法律によって認め、定めたのです。
さらに、国と地方自治体、事業主、国民の責務を明示し、国には自殺総合対策大綱の策定と実施を義務付けました。都道府県と市町村には、地域の状況に応じた施策の策定と実施について責務があることを明記しました。。また、自殺の危険性の高い人の早期発見と発生の回避、自殺未遂者と自殺(未遂を含む)者の親族へのケアの推進を求め、自殺防止に取り組む民間団体の支援を定めました。
この1本の法律によって、自殺対策をめぐる環境は一変しました。
自殺総合対策大綱の策定が義務付けられたことにより、政府は省庁を横断した、まさに総合的な施策の遂行が求められるようになりました。
また、全国の自治体の中には、自殺対策の担当を配置するところも出てきました。「自殺対策」が「うつ病対策」と同義に近かった従来の行政からは、信じがたいほどの変化でした。
環境は整いました。しかし、法律をつくっただけで自殺者は減りません。法律は到達点でなく、出発点であることを改めて確認し、ライフリンクは新たな活動に乗り出します。
=続く 次回は、⑰2007年6月編「始まった全国キャラバン」です。