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きょう心にしみた言葉・2024年7月17日

いまの若者たちが気の毒だなと思うのは、自己責任論を深く刷り込まれ、それが内面化してしまっている点です。物事がうまくいかなかったり、十分な評価を得られないと、「自分が悪い。能力がなく、努力が足りないせいだ」と自分を責めてしまう。いまの若者たちは総じて自己肯定感が乏しく、自己評価も低いですけれども、それは幼い頃から単一の評価基準で査定され、格付けされ続けてきたからだと思います。

「生きづらさについて考える」(内田樹・著 毎日文庫)

フランス文学者であり思想家であり武道家でもある内田樹さんの著書「生きづらさについて考える」から紹介しました。
大学で長く教えている内田樹さんは「いまの若者たちはほんとうに厳しく、生きづらい時代を生きていると思います」と指摘します。すでにひびの入った「金魚鉢」のような狭い世界のルールに縛られ、窒息しそうになっていると憂慮しているのです。
学生たちがよく使う「コミュ障」という言葉にも警鐘を鳴らします。全面的な同意と共感を誇示することが「コミュニケーションの成立」と思い込んでいると見受けられ、そうであれば毎日が大変つらいものになっているだろうと推察します。
コミュニケーションとは異論との対話であるのに、少しでも疑義を呈されると批判だと受け止めて傷ついてしまう。まるで、ネットの匿名コメントで罵倒されたような気持ちになってします。また、友人関係の中で「キャラ」を決められたら、そこを抜け出すことができない‥‥。内田さんは若者の「生きづらさ」の背景を次々と解明していきます。
そして、「自分が機嫌よくいられる場所」を見つけようと呼びかけます。「生きづらさ」とは、武道の教えも紐解きながら、「正しい位置」にいないことで生じた心身の歪みがもたらす詰まりや痛みであると喝破します。自分が機嫌よくいられる場所はどこにあるのか、心身のどこにも詰まりやこわばりや痛みが生じない姿勢はどうすれば見つかるのか。それを探してほしいと助言しています。

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