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「大人がちゃんと見ていれば、子どもの『溺れ』は防げる」という思い込みについて。

シーズンの水辺での事故の報道を見ていると、「遊んでいたけれど、保護者が目を離した隙に姿が見えなくなった…」という言葉を聞くことがあります。この報道を聞くと、保護者が子どもを放ったらかしてしまっていたから溺れた…というように、保護者がちゃんと見ていれば溺れなかった…というように聞こえると思いますが、原因は本当はそこだけにあるのではないと思っています。

姿が見えなくなる…、または溺れる…ということは、どういうことかについて、少し考えてみたいと思います。

事故は、比較的静かな水面で「こんなところで溺れるの?」という場所で起こってしまうことがあります。そういった場所では、急に深くなって足がつかなくなったり、流れに身体が流されてパニックになってしまったりすることで、溺れてしまうのです。

そういった場合は、おそらく一瞬で沈んでしまったり、浮き沈みをしていたとしても声は出ず、数秒の間、水面を静かに上下した後に沈んでしまったりするということが知られています。つまり、近くにいても気づくことができないということなのです。子どもをじーっと見ていられればいいのですが、数秒目を離したら、さっきまでいたところからいなくなっている…ということが考えられるのです。

人間の身体は、息を吐くと沈みます。

人間の身体は、個人差はあるもののほとんどの人が、息をしっかりと吸っていれば浮くことができます。ただ、浮いている人間の身体で、水面より上に出るのは約2%です。水面より上に出るのはほんのちょっとで、身体のほとんどは水の中なのです。そして、多くの人は、息を吐き切ると沈んでしまうことがほとんど。つまり、沈んでしまうことがある…ということです。

よく、顔を水面より上に出して、バシャバシャと「助けて〜!」と叫んでいる…といったイラストを見ることがあると思いますが、実際にはそうはなりません。子どもたちが一瞬で沈んでしまったり、声もなく溺れてしまうということをしっかりとイメージして水辺で遊ばせてほしいと思います。

つまり、横でしっかりと見守っていたとしても、溺れてしまうことはあるということです。ずっと見守っている…ということはできそうでできないと思っておいた方が正解なのです。報道で「保護者が目を離した隙に…」ということが言われますが、それは事実だとしても、それだけが原因ではないのです。

水辺の安全のポイントは「浮いていられるか?」

ここまでお伝えしてきたように「子どもは沈んでしまうことがある…」ということをしっかりと想定して、水辺で遊ばせて欲しいのです。水辺の子どもたちを見守る時の安全のポイントは、「浮いていられるかどうか?」ってことです。

子どもたちの命を守るために、水辺での最強のアイテムは「ライフジャケット」です。「ライフジャケット」を着けていればカンペキというわけではありませんが浮きます。ちょっとやそっとでは沈まないのです。

ここで、もう一度初めにお伝えした報道の話に戻ります。事故が起こると「保護者が目を離した隙に…」と報道されますが、「ライフジャケット」を着けていれば、目を離しても沈むことはないし、溺れることを防ぐことが可能です。だからといって、放っておいていいという話ではなく、しっかりと見守っておくことは必須です。ただ、ちょっと目を離したから沈む、溺れるということは、ほとんどなくなってしまうのです。

事故があると、保護者がちゃんと見ていたか…どうかが取り上げられることが多いのですが、それよりも「『ライフジャケット』を着けていたかどうか?」の方が事故を防ぐポイントになると思っているのです。

水辺の安全の知識や、「ライフジャケット」そのものを充実させる方法を考える!

事故のほとんどは「ライフジャケット」をつけていない事例がほとんど。なので、事故が起こってしまった時に「ライフジャケット」のことを話題にすると、どうしてもネガティブな内容になってしまったり、当事者を傷つけてしまうことにつながってしまったりすることがあります。相当の配慮が必要だと思っています。

それよりも、例えば、事故を防ぐためには「ライフジャケット」が有効であることをポジティブに知らせることや、気軽に借りられる「ライフジャケット・レンタルステーション」の充実を図っていくことが求められると思っています。

例えば、香川県では企業からの寄贈で「ライフジャケット・レンタルステーション」を開設してくださっています。それまでは、「ライフジャケット」のことが亜あまり話題になっていた訳ではなかったのに「レンタルステーション」を開設したら、学校の水泳授業での活用のためや、子ども会での使用のためなどのために予約が殺到したそうです。

このことから、「意識を高める」ってことも大切だけど、「『ライフジャケット』そのものを充実させていく!」ってこともとても有効です。これは、これからの全国的な課題の1つだと思っています。誰にとっても、どこにいても、子どもたちが水辺に近づく時、「ライフジャケット」を着るってことがアタリマエの選択肢になっていくことを願います。

自然の中では、予想もしないことが起こってパニックになることがある!

最後に、今シーズン、「ライフジャケット」を着けさせて、見守る大人も「ライフジャケット」を着けていても危なかった!という話を伺ったので、ぜひ知っておいてください。

息子にしっかりと「ライフジャケット」を着けさせていました。まだ泳ぐことができず、危ないので抱っこをして遊んでいました。すると、子供と自分の間に、なんとクラゲが姿を現したのです。「手を離してはいけない…」と思っていたのですが、その瞬間、子どもを抱っこしている手に激痛が…。刺されてしまったのです。思わず手を離してしまいました…。浮いていたから、すぐに抱き抱えました。幸い息子は刺されませんでした。もしも、「ライフジャケット」を着けさせていなかったら…と考えると怖かったです。

本当に怖いですね。自然の中では、何が起こるか分かりません。いくら近くで見守っていても、何が起こるか分からないのです。「見守っていたら『溺れ』は防げる…というのは思い込みだ!」というくらいの気持ちで、水辺に近づく際には「ライフジャケット」を着けさせてあげてくださいね!


思いはただ1つ…子どもたちの命を守ること。

「子どもたちにライジャケを!」
http://www.lifejacket-santa.com/

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