日記 2020/04/10 地面に足裏をつけること
三島邦弘の『パルプ・ノンフィクション』読了。最初から最後まで直線に進むのではなくうねりにうねって、小説を読んでいるがごとくミシマ社のこれまでの歩みに引き込まれた。右往左往しながらも決めつけることなく突き進んでいく三島さんの文章を読んでいて、(失礼かもしれないが)たくさん笑ったし、とてつもない勇気をもらった。この時期にこの本を読んでよかった。
在宅勤務になって以降、ほとんど歩かなくなったから、できる限り毎日ヨガをするようにしている。
途中サボりながらとは言え、ヨガを開始した日から数えれば既に数年が経つ。あいかわらず小太りだし、ヨガをしているような締まった体型になっているとは言い難いが、少しずつ身体が柔らかくなってきていることを感じるし、普段の呼吸に意識を向けるようになったことで呼吸が深くなっているように思う。
ヨガのもっとも基本的なフローである太陽礼拝というものがある。
動画を見てもらえればわかるが、フローの中でダウンドッグというポーズになって5呼吸カウントする。このとき、両足裏が地面にぴったりとついているのが好ましい。だが、僕は身体の硬さゆえに、今まで両足裏をつけることができなかった。
去年からの課題が両足裏を地面につけることで、そのために先生指導のもとダウンドッグの姿勢を修正して、より足の裏がつきやすいようにした。また、ダウンドッグ中は足踏みをするようにして、できる限り足の裏を地面に近づけるようにした。
実は数日前からなんとなく足の裏が地面に近づいているような感覚があった。最近はそこまで熱心にヨガをしているわけではないのだが、なぜか足の裏がマットに少しずつ近づいていった。
で、ついに今日。今日の午後2時30分くらいのことである。両足の裏ともに地面についた。5回のダウンドッグ中最後の1回のみ。足の裏全体がピタッとくっついているわけではないが、ほぼ全面が地面についている。数年ヨガをやってきて、ようやくである。嬉しかった。
先日、ゲンロン5『幽霊的身体』を古本で購入して、そこの中で「人間は足から考える」というタイトルの鈴木忠志足のインタビューが載っていた。そこでは地面と足が接触することについて書いてあって、今の状況、つまりは常に家にいて外で歩くことすら難しい状況で、どのように足の裏で地面を感じるようにするかについて考えさせられた。
仕事をしている間は椅子に座っているから、地面との接触に意識を向けることは難しい。リラックスしているときは横になることが多く、なおのこと難しくなる。ヨガの時間というのは、足の裏に意識を向けるという意味においてもとても貴重な時間なのである。そのヨガのフローの中で、ダウンドッグで足裏がついているか否かというのはやはり大切だ。最近特にそう思うようになった。
ダウンドッグで初めて足裏がついた今日は、僕にとっては覚えておくべき1日となったように思う。
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