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結婚を考えるパートナーが障害を抱えていることを、自分の親にいつ言うか?どう言うか?

障害を抱えるパートナーと付き合ったとき、その後結婚を考えたとき、自分の両親にいつ、どう言うかは結構悩みどころだと思う。
両親は受け入れてくれるだろうか?
自分が選んだ相手なのだから気にしない、堂々と言えば良いと思う反面、やっぱり気になって仕方がなかった。反対すると言われたらやめるのか、という問いはなんども頭の中でグルグルしたけれど、結局答えは出なかった。多分やめなかったとは思うし、おそらくもう少し時間をかける、という結論になったとは思うけれど、それがお互いの関係性にどの程度影響するのか、説得をどれくらいの期間頑張れるのか、最終的に結婚しないまま付き合うという選択肢は私たちの中であるのか、それともそれなら別れるという選択肢になるのか、正直変数が多すぎて、予想は難しかった。
あまりに難しかったので、話してみた結果で考えよう、と途中でシミュレーションは諦めた。

ただ結論から言うと、私は付き合っているときは結局一言も(付き合っていることすら)親に言わなかった。特に付き合っている相手がいることを伝えると即結婚を期待されてしまう年齢だったので、その上障害のことがあるとあれこれ言わそうだなと思い、言う気になれなかった。
結婚すると決めたとき、「実は結婚したいと思っている相手がいる」と言って、相手はちょっと脚に障害がある、と伝えた。実際にはちょっとではないのだけど、障害に関しては先天性だという以上のことは伝えていない。オストメイトのことは旦那ができる限り言いたくないと言うので、今でも伝えていない。

基本的に父に関しては心配していなかった。これまで私の人生の決断はほぼ事後報告だったけれど、表立って反対されたことはあまりないから。
今回も、ちょっと脚に障害がある、と聞いた父親の第一声は「彼は車椅子なのか?」だった。今は車椅子ではないが将来はそうなると思うと伝えて、「そうか」と言ったきり、沈黙になった。その後は特に障害に関しては話していない。
経済的なことが気になるようだったけれど、旦那が定職に就いていることがわかると安心した様子で、加えて私が稼いでるのは知っているので、一応娘の意思を尊重することにしたのだと思う。ただ、いつでも離婚できるよう準備はしておくように、と言って、婚前契約の話や財産分与、各種手続きの話をしてきた。「今は3人に1人が離婚する時代だから」と言ってはいたけど、間違いなく我々が高リスクカップルであると感じているのだろう。母親はそれを聞いて「これから結婚する娘になんてこと言うの!」と怒り心頭だったけれど、私としては現実的な親心だな、と思った(ただし、旦那にはそういうアドバイスがあったとはやっぱり言えなかった)。

反応が未知数だったのは母親の方だった。日頃恋愛のレの字もなく仕事に邁進する私に対して、女性がそこまで仕事をする必要はない、女は結婚して専業主婦になって子育てをしてこそ一人前、と帰省の度に言い募る化石のような価値観の母で、全く話がかみ合ったことがなかったから、なんとなく障害に対しても前時代的な価値観を持っていると思っていた。
結果はちょっと予想外だった。
というのも実は母方の親戚に脳性麻痺の方がいて、その方は残念ながら若くして亡くなったらしい。それは初めて聞く話だった。子供の頃よく一緒に遊んでいたという母は、なので障害を持っている方に特別思い入れがあるようだった。また、不思議なことに「もし障害のある我が子がいたら…」と母親目線になってしまうみたいで、障害者である彼が結婚するということを我が子のことのように喜んでいた。自分が育てたわけでもないのに、彼の親御さんに失礼だと思うけど、母なりの受けとめ方なのかもしれない。そんなわけで意外にも反対はされなかった。もっとも、私がなんにせよ結婚をするという事実の方が、母にとっては大事だったのかもしれない。

その後旦那が正式に挨拶に来た時も、障害のことは見てすぐにわかったと思うけれど、こちらから改めて説明をすることはあえてしなかったし、両親が話題に出すことはなかった。

結局、私たちは障害について全部はカミングアウトしていない。ので、本当に受容されているのかはわからない。でも、障害について事前に話しすぎることで旦那に関する全ての情報が障害関係になってしまったり、必要以上に事前にステレオタイプ化されるのも嫌だったし、全てをいきなり「受け入れろ」と言われても難しいと思うから、結果的にはそれで良かったかなと思っている。

いつか障害の具体的な状況や、オストメイトのことを言う日が来るのかもしれないし、来ないのかもしれない。私たちが障害についてあまり話さないので、両親も気になりつつも一応根掘り葉掘りは聞かないことにしているのだろうな、と思う。どうなるかわからないけれど、とりあえず我々ができることは一緒にいて幸せそうな姿、楽しく生活している姿を見せて安心させることだなと思って、意識して日常の話題を送るようにしている。

障害の程度や家庭環境によっても色々だけれど、結婚という選択肢を考える以上は、家族との縁が切れていない限りどこかで向き合わなければいけない。正解はないし、現在進行形で引き続き試行錯誤しているけれど、少なくとも入り口で拒絶はされなかった我々はかなり恵まれている方だという自覚がある。
もっと普通に結婚するカップルが増えれば、カミングアウトや話すタイミングでここまで悩まなくて良くなるのになあ。



ご関心を持っていただきありがとうございます。サポートは、旦那と同じ障害を持っている方々を支援する団体に寄付させていただきます。