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生きること
花火の季節がやってきた
東京の花火大会は雑踏に紛れ込んで近くで見るか
数キロ先からコメ粒ほどの小さなものを見るかのどちらかだと聞いた
悩みに悩んでYoutubeで花火中継を見ることにした
動画で見ると画質が汚いなと思い音声だけ聴いていた
装填している花火が打ちあがった後、
空白の時間が流れる
「花火師さん、ありがとう」
まだ序盤なのにそんな声が聞こえて目が熱くなった
23年も生きていると子供のころ考えていたような希望を持てなくなる
夢や希望を持つことができず現実を見ることになる
時間が経つにつれ
焦り・憎しみ・悲しみ・恐れ・妬み・僻み・苦しみが膨らむ
人ごみに流され、社会にもまれ
自分の意思を貫けず、自分を見失う時がある
僕はそれが苦手で嫌いだ
久しぶりに会った中学の友人から
「変わったね」と言われたのは強ち間違っていないのかもしれない
社会人になる前、
あの時に見た
自分に覆いかぶさるほど巨大な花火を僕は決して忘れない