
それらはまるで隕石が落ちてきたかのように起こった。ただ、私はそれに飛ばされてゆくことは無い。①
私、40代。女性。難病持ちの現在無職。
息子、小学2年生。自閉スペクトラム症。
目立たぬ私たち家族の普通の暮らしに、
2022年4月、まるで隕石が落ちて来たかのようにしてそれは起こった。
約10年連れ添った夫が、突然発狂し家を出て行った。
怒鳴りながら物を投げつけ、
私を突き飛ばし、
傘で刺すような素振りをしていたらしい。
一部始終を見ていた息子が、警察の方にそう話していたようだ。
私はその時、暴れ狂う私の知らない
もう一人の彼が部屋から出てゆき
そのまま踊り場から飛び降りるのではないかと
気が気ではなく、
震える手でどうにか110番をしながら
警察に助けを求めた。
「警察に電話をすればいい。
俺はお前たちの奴隷じゃないんだよ!」
と、彼は何故か外に向かって大声で叫び、
私を突き飛ばした。
階段を転げ落ちるようにして、
走ってゆく彼の背中を今でも鮮明に
覚えている。