自由を手に入れた街 (エストニア・タリン)
ブリュッセル空港から直行便で、バルト三国のエストニアへ。
午後、空港に降り立ったときは明るかったのに、市の中心まで出てきたときにはもうすっかり曇り空。
中心部にほど近い宿に荷物を置き、さっそく町へ繰り出す。
弾丸で旅行を組んだので、実質この町にいる時間は1日だけ。
Old townの入口で、さっそく「太っちょマルガレータ」と出会う。
タリンは海にほど近い街なのだが、
その昔海からの攻撃にそなえて作られた砲台らしい。
名前は可愛いが、この太っちょ氏は、侵略と戦ってきたこの国の歴史を教えてくれるような気がした。
エストニアはデンマーク、スウェーデン、ロシア帝国、ソ連、ドイツなど近隣国に脅かされてきた歴史を持つ。
長いソ連統治の期間を経て、ようやく独立を宣言したのはなんと1991年。
こう書くと、ほどなく最近のことのように見えてしまう。
そんな歴史があるからだろうか、それとも曇り天気のせいだろうか、旧市街地を歩いててもどこか「シンプルさ」を感じた。
もちろん建物はパステルカラーで可愛い。
観光客がたくさんいる場所なので、旧市街地の中心に行くにつれて賑やかさやが増していく。
だが、海を越えたお隣の国、フィンランドのヘルシンキでよく見かけたようなビビッドカラーで施され物はあまり見かけず、どちらかというと落ち着いた色使いで、整然としているような印象を受けた。
ただ町歩きをしているうちに、ちょこちょこと、個性的な可愛い動物たちに気がつく。
たとえばこんな猫。陶器など、こういう絶妙に個性的な動物のデザインが多かった気がする。
そして町にのそのそと何体もいるハト。
そして上を見上げると、、
町には、ちょっとクセありの、でもおしゃれで、絶妙な線をついてくる動物がたくさん隠れていた。
それはエストニア人の秘めた遊び心を表現しているようで、とても面白かった。
きっとこの街は、個性やセンスなんて求められなかった時代を、経験している。
でも時を経て、自由を得た。ここにいる人々はエストニアという自分たちの国を作り上げてきた。
変えられぬ歴史と共に、変わりゆく街を見たような、そんな気分になった。
・・・
ところで、滞在中に、どうもハマってしまったお店がある。
Lido というビュッフェスタイルのレストランだ。
ヨーロッパの一人前は、まぁまぁ量が多いことがしばしば。
それが一度などならまだいいが、何度も続くとけっこうきついものがある。特に旅行期間が長ければ長いほど。
でも、現地の料理は食べたい・・・
そんな私の願いを叶えてくれた素晴らしいレストランなのである。
ショッピングモールの中にありとても綺麗で、かつ中は広いので席は見つけやすい。
しかも(ヨーロッパ在住者的には)比較的安価。
白状すると2〜3回ほど滞在中にここに行った。それくらい私は好きだった・・・
何がローカル料理なのか判別がつきにくかったので、常連さん風のひとたちのお盆の中身を参考にしたり、あとは自分が食べたいものを好きにとる。
デザートもビールもある。天国に見えた。
Lidoでお腹が満たされたら、旧市街を散歩しながら帰る。
石畳を歩くと、コツコツ鳴る。歩きにくいが、風情があって良い。
私も、自由で幸せな時間をこの街で過ごす。