龍戦記ドラグーンソール 第9話
嘆きの雨
龍戦記:ドラグーンソール
第9話:嘆きの雨 好きと……言いたい。
桂優香は、病院の廊下で泣いていた。
大好きな人が、ずっと守ってくれていたことに。そのことに気づかないで、護られていたことに。そして―彼の命が尽きかけようとしていたことの現実を認められないでいた。
出来事は、今から数時間前に遡る。
ドラグーンシルフと破壊の龍。ドラグーンシュテールンクとの闘いが激化していた。いや、戦いというよりも、一方的な暴虐といったほうがいい。
シュティールンクの攻撃は、一振り一振りが最強の必殺技の一撃だった。シルフが正中線をずらして、かろうじて致命傷を避けているが数分が限界だった。彼の攻撃は、奴にはかすりもしない。そればかりかわざと受けても傷らしい傷すらも与えられないという。絶望という名の恐怖が支配する。
「どうした? 女子(おなご)では全力出せぬおまえが、俺相手なら全力を出せるはずではないのか?」
大剣をゆらりと遊ばせて、破壊の龍が問いかける。シルフの息が上がり、言葉を紡ぐ。
「はー! はー・・・・! あんたは、何が目的、なんだ? そんな強大な力をもって、何を?」
鎧の隙間から、いくつもの赤い血が流れ落ち、血液が乾いている。辛うじて、ドラグーンシルフの力によって犬飼豪は生きながらえている。
せめて、相手の目的だけでもつかみ取り、親友である巽川龍介に伝えようとしている。
きっと精霊がどこかで撮影しているのだろう。例え、自分が倒れても情報は届く。
「いいだろう。若き人間よ。この世界において、戦う牙を持たぬ若人がここまで戦った礼を尽くそう。
俺は、今度こそ。宿縁のドラグーンソールを消滅させ、『姫巫女の魂』を持つ人間を取り込むのが目的だ」
「姫、巫女……?」
「輪廻転生。稀に他の世界存在が別世界に転生する。俺は、一度貴様ら戦士らに倒され、その際に核となる魂をこの世界の女性に転生させられたことを知った。その気配を辿ってきたが、貴様と戦っていた女ではないのは確かだな。なら、一つの可能性として―お前たちの関係する人間にいるかもしれん」
破壊龍は、龍眼を発動させて「シルフのこれまでの記憶を読み取る」それはまるで、一冊の本を読むかのように一瞬ですべてを読み。該当する箇所を見つけるとニヤリと喉の奥で嗤う。
そう。彼が探している姫巫女は――
「そうか。因果なものだな。太陽の龍が惚れた相手が俺の核である「姫巫女」であるということ。そう! 桂優香こそが、俺の目的の鍵だ!」
「なん、だと!? じゃあ、破滅の龍は! 貴様の本当の姿は! ユグドラシルを侵攻したのはおまえだというのか!!」
大切な親友の愛する人が、桂優香が。目の前の敵の完全体となる鍵となる存在だという事実を、シルフは衝撃を受ける。あんなに不器用で、必死になって守って、戦い抜いた親友の恋心を、彼は壊したくはなかった。
この事実を、いつかは知るかもしれない。だが、この目的を彼は伝えてはいけない。
それが、親友に対する「裏切りという本気の嘘」だとしても、ささやかな幸せを摘み取らせない!
「なら、てめーの自慢のツヴァイヘンダーをへし折って、一分一秒でも、あいつらの恋を長続きできるように、時間を稼ぐぜ……!」
シルフは丹田に呼吸を意識して文字通りの死力を尽くす。
「死ぬ気か?」
ピクっと大剣ツヴァイヘンダーがわずかに震える。
「死ぬ? バカ言ってんじゃねー。誰かが犠牲になってまで叶えるもんは誰得だ? 俺は、生きるんだ。
おまえという死神を乗り越えて、な!」
シルフの気力が限界まで高まっていく。己のすべてをかけて、目の前の死神に立ち向かう。義勇の風の龍。
男には、敵わないと分かっていても信じる友のために命を燃やす時がある。それが、その時だ!
「……すまないな。おまえを格下に見ていた。非礼を詫びよう――人間。おまえの名前は?」
「犬飼豪。ドラグーンソールの親友で、ささやかな愛を守る龍戦士だ!」
一陣の烈風となって駆けてゆく、その拳を右から放ち。人間と龍の力を合わせた一撃がドラグーンシュティールンクの鳩尾に叩き込まれるが、ほんの数センチ前。敵の左手で右手首をつかまれていた。
「俺に両手を使わせたことを認めよう。犬飼豪」
大剣を捨て、右人差し指でとんと彼の体を突くとシルフは膝から崩れ落ちて、倒れ伏した。
「やっぱ、ダメ……か」
そこで、彼の意識は途絶えた。
「止血のツボは打った。しばらくは眠れ。だが、お前の願いは叶えられないようだな」
彼が背後を見ると、太陽のように真っ赤に燃えている深紅の龍戦士。ドラグーンソールと青い龍のドラグーンアクアが立っていた。
「豪! おまえ! よくも……!」
ドラグーンソールは怒りに燃えていた。握りこぶしから骨が軋み、呼吸が乱れている。
「復活したのですね。なら、今度こそ!」
唯一、ドラグーンアクアの力と魂を持つ彩香が構える。
「コアのない太陽の龍が、俺に勝てるか? この男に免じて、この場は引く……が。それでは貴様らの溜飲がおさまるまい? 一撃で終わらそう。この大剣をもって!」
因縁の対決が始まる。太陽の龍を筆頭にした龍戦士と世界を破滅させた破壊龍の諸撃が幕を開ける。
両者の間に、いくつもの黒い染みが地面を濡らし。雨となって大地を濡らす。
ドラグーンソールとドラグーンアクアは動けずにいた。いや、動けない。何故なら、相手との力の差があまりに大きすぎるのだ。
彼らの現在の強さがコップ一杯分の水だとすると。破壊龍の強さは、世界中の海だ。その強大な力を持つ相手に、一度倒したとはいえ、何の知略も技術も持たない少年達には、終わりが見える闘いだった。いや、戦いにすらならない。もし戦えば、象が蟻を踏み潰すように容易に終わるだろう。
「アクアイリュージョン!」
霧を発生させて、視界を奪う。
「無駄だ」
シュティールンクが指を鳴らすだけで、霧が霧散。アクアの攻撃が無効かされる。だが、それでよかった。
ルーガルのセリアがハイエルフのリーシを背に乗せて、豪を連れ去った。すべては、このための布石だった。
「今だ! 遠慮なくぶちかませ―!」
「ソールソード!ソールクラッシャー!」
ドラグーンソールが刀を振るい、攻撃を仕掛ける。だが、ドラグーンシュティールンクの左手の手甲により受け流される。
「温い。まだ豪のほうが、骨がある。だが、ここまでだ」
大剣を逆手に構えて、柄をドラグーンソールの背中から心臓に目掛けて衝撃を浸透させた。
「が…」
その瞬間、ドラグーンソールの鎧が砕け散り。龍介の心臓の音も止まった。
しかし、ほんの僅かだが、敵は龍介の姿を視認した時ピクリと動揺した。だが、彼は悟られないように仮面の下で、唇を噛みしめた。
「龍介――!」
ドラグーンアクアは、すぐに彼の元に駆け寄った。
「貴様は、桂優香の親友だったな。なら、これでわかるだろう? おい。精霊どもすぐにデータをこいつに渡せ」
瓦礫の隙間から手のひらサイズの小人がガタガタ身を震わせながら、撮影したデータチップをドラグーンアクアに渡した。
「なぜ、優香の名前まで?」
アクアは、親友の名を出したシュティールンクに聞いた。
「それはな。―――――だからだ。そして、その『龍介は時を超える』その意味を数週間で知るだろう」
雷光が暗雲の中で輝き。映し出された無編集の映像を見せつけられ。
豪が龍介につこうとしていた嘘を彼女に話した。
「嘘よ……そんなの!」
ドラグーンアクアは両手を小刻みに震わせて、その事実を否定しようとする。
「犬飼豪の名に懸けて、今日は貴様らの命は取らん。さっさと行くんだな」
雷雨の中に破壊龍がその姿を消していく。
ドラグーンアクアは、大声で泣き出した。その声は、雷雨の中にかき消されていく。
そして今現在。病院で、龍介と豪の治療が行われていた。
桂優香は、泣き出して、心を乱して、親友である彩香を責めた。
何故、今までドラグーンソールの正体を隠していたのか。
何故、力があるのに。彼を助けることができなかったのかを。
それらがすべて八つ当たりなのは彼女自身も知っている。
だけど、大切なことはいつも、無くしかけないと気づかないことの自分自身の愚かさとたった一人で戦い抜いていた好きな人を今まで知らなかった自分自身が嫌いだった。
嘆きの雨が、彼女たちの心を代弁するかのように降り注ぐ。
桂優香は、自分の部屋に閉じこもっていた。頭からタオルケットを被り。虚ろな瞳で世界を見ていた。
「龍介、くん」
思いさえもまだ伝えていないのに、未だに彼は目覚めてはいなかった。命は助かったが、医療側で最善を尽くしているがあとは本人の意思にかかっているとのことだった。彼の両親から、カードホルダーを預かったが、
もう、どうすればいいのかさえわからなかった。
「こんなに、胸が苦しくなるくらいなら、「出会わないほう」が良かったのかな? そうすれば、傷つかずにきっと、独りで生きていけるくらいに強くなれたら」
涙が流れるたびに、これまで積み重ねてきた思い出が溢れてくる。
初めて彼を見たこと。再会して、恋することに怯えて、それでも近くにいたくて。
遠くて、それでも近い。心の輪郭が崩れるもどかしさに、乱されていく。
変身して、命がけで戦って自分と妹を守り。恐怖心も超えて戦った小さな英雄。
「英雄なんて、いらない。ただ、好きな人と一緒に歩いていきたいだけなのに」
ただ手を繋いで、ゆっくりと歩いていきたい。テレビや雑誌みたいな恋人同士じゃなくて、何気ない日常で笑ったり、怒ったり、愚痴をこぼしたり、一緒に乗り越えられると信じていたい。そんなささやかな夢を見ていた。
「どうして、勇気が出せないんだろう?」
ドラグーンソールのカードを握り締めて、優香は呟く。
『最初から誰だって完成されたヒーローではない。違う形のただ一つの小さな星なのだ』
カードを通じて、優香の心に声が届く。
「誰、ですか?」
『失礼。私の名は、ドラグーンソール。君の魂に眠る私のコアだ』
「え?」
カードが輝いて、ドラグーンソールが実体化して。彼女前に片膝をついて頭を下げる。
「初めまして、というべきかな? 本来なら、君の想い人を私の代わりにこの場にいればよかったのだが」
澄み切った青い瞳が優しく優香を諭す。
「い、いえ! それよりも。どうして? 私の魂に眠っているのがあなたのコアだって」
「すべてを話そう。あれはユグドラシルに攻めてきた破滅の龍ルインを倒した時のことだ。
この世界は一つではなく地層のようにいくつもの世界が並行して存在している。だが、奴を倒すことはできても
時間をかければ復活してしまう。そこで私は、奴の核を肉体から分離した。
核を私の魂と結び付けこの世界に桂優香として転生するように仕向けた。
だが、奴はユニオンという傀儡組織を作り出し。ユグドラシルの生物や住人をカードにしてこちらの世界に移住させるというとんでもない方法を実行していた。そしてエッダの巫女に私たちの力。ドラグーンシリーズをこちらに流させ、これまで戦ってきたということだ」
穏やかな声で、優しく。わかりやすく彼は説明した。
「私は、コアを君の魂に眠らせ。防衛システムとして確立していた。しかし、奴らは龍介が持つカードと君の中に眠っていた私に気づいて襲い掛かってきたのだ。それが、最初の戦いだ」
ドラグーンソールはゆっくり立ち上がり、光の球体でこれまでの戦いを見せた。
「彼は、異形の化け物と罵られる覚悟で君を守った。たとえそれが、一方的な思いであっても好きな人を守れればそれでいいとあの時は思っていた。だが、これまでの戦いを通じて自分を捨ててまで守るのではなく。
自分も守らなければ、君を悲しませてしまうという自己犠牲を超えた強さを獲得していった。
人間は、確かに弱い。だが、愛する誰かがいるというだけで、何千、何万という力を発揮することができる。
私たちの力を扱えるのも、そうした思いの力によるものだ。桂優香。君が愛した少年は、必ず目を覚ます」
ドラグーンソールは優しく微笑んで、答えた。
「本当、ですか? 本当に、彼は、龍介君は目が覚めるんですか!」
「ああ。私の名に懸けて、彼を助ける」
優香の瞳に、うれし涙が溢れてくる。
「よかった。本当によかった……」
「だが、目覚めるだけは君を護り抜くことはできないだろう」
「そんな! もう。戦わせなくても!」
「君の心はわかっている。傷ついた人を戦いの場に送りたくないことも。痛いほどにな。だが、龍介は君を護るために戦うことを選んだのだ。その決意を、戦ってきたことを無下にしていいわけではあるまい?
俺という太陽は、消えるだろう。だが、君を護り抜く新しい太陽が彼なのだ。彼が戦うのは、桂優香。
君自身が安心して、笑顔でいてくれることを望んで戦ってきたんだ。君という月がいるから、あの少年は
何度も跳ね返されても、立ち上がり、生き抜いてきたんだ」
ドラグーンソールは、これまで一緒に彼と戦ってきた。戦いの中で悩み。苦しみ。それでも、彼の心の底にあるのは、この世界で守りたいと思うたった一人の女性「桂優香」を何度傷ついても幾多の敵と戦ってきたのだ。
信じるものがあるから、護りたいと願ったものがあるから幾千もの戦いを生きて帰ってきたのだ。
「その言葉は、あなたは自分の命を。いえ、肉体を龍介に捧げると言うのですか?」
優香は、ドラグーンソールの言葉である「新しい太陽」の意味を訪ねた。
「その通りだ。私は長く生きた。魂は既に君のものだ。なら、彼が助かるのなら私の生きてきた分をあげるのは
それだけの男であることに違いはないだろう? 君が惚れた男は、必ず助ける。それが、太陽の龍 ドラグーンソールである私にできる使命だ」
ドラグーンソールは、一枚のカードを生成した。それは、「「太陽の鳥」ソールバード」という新たな武装カードだ。効果はソールソードの強化。及び強化鎧となっている。
「このカードを彼に渡してほしい。これから先の戦いで役に立つだろう」
「……あの!」
優香は勇気を振り絞って、彼に尋ねた。
「今度は、今度は、私が彼を助けたい! だから、あなたの力を私に貸してくれませんか!?」
翌日の晩。優香はこっそりと龍介の病室に忍び込む。
昨日聞いた話で、目覚めさせるには彼の深層意識に入り込んでそのままゆっくりと浮上させるというものだ。
しかし、注意することがある。それは、他人の深層意識に入るということは長くなればなるほど「どちらかの意識と同化してしまい。時間を無視してしまえば、二度と桂優香として戻れなくなる」ということを指摘されたのだ。だが、彼女の意思は固かった。
―――好きな人を助けることができなら、戦います! 今まで、護ってもらっていただけでは、女としてもカッコウがつかないじゃないですか?
誰かの命を奪うだけが戦いではない。誰かの命を助けるのも戦いなのだ。彼の手を握り締めて、乙女は祈る。
「お願い。ドラグーンソールさん。私に、好きな人を助ける勇気と力を」
窓辺から月の光が差し込み、優香の体を照らす。
「あなたに、力を」
月の光がカードに集まって、彼女の意識と龍介の意識を繋げる。
暗い何も見えない海の中を沈んでいく。
「どこに、いるんだろう?」
ソールソードが彼女の手に添えられて、一筋の光の道を作り出す。それは、この世界で一番好きな人へと続いているたった一つの道。
少女は走る。今まで待っているだけで、臆病だった自分と別れて、ただひたすらに真っすぐな想いを絶対に、伝えるために。彼女は駆ける。何もできないかもしれない。無力かもしれない。それでも、好きな男の子の傍にいたいから、その手を掴みたいから。
桂優香は、息を弾ませて走っていく。
あなたの痛みを、私に分けてほしいから。今度は、もう。独りで戦わせない。あなたの痛みを私が癒したい。
だから!
「今のあなたは、どんな時も。傷ついている時も! 私があなたの心にいるから……! だから――」
光の道の先に、横になっている龍介を見つける。
優香は、弾ませた息を整えるために、深呼吸を一回して瞳を閉じて。ゆっくりと瞼を開ける。
「私は、あなたのことが好きです。例え、世界中の人があなたを傷つけようとしても」
一歩ずつ、近づいていく。彼に、この言葉が届くように。この想いだけは、永遠に続くように。
小さな勇気と小さな祈りを重ねた言葉を、たった一人の好きな人に伝える。
「私を、あなたの傍にいさせてください。龍介君」
そっと両手で、彼の左手を握り締めて口づけをする。
その意味は、愛する人への偽りのない気持ちを誓約として捧げる。
少女の想いが、彼の魂を蘇らせる。
ゆっくりと、龍介の目が開く。
「ゆか、さん……? どうして? あれ? ここは」
ゆっくりと体を起こして、周囲を見る。
「よかった……っ 本当にっ」
優香は歓喜のあまり、彼の体を抱きしめる。
「ちょっ?! あえ!? あの?!」
赤面して、状況が掴めていない龍介は目を白黒させながら胸の鼓動が暴れているのに自覚している。
「しんぱい、したんですからね。三日以上も、寝坊して。ずっと、私たちを守っていたことも黙っていたことも。
怒っているんですからね……」
涙に濡れた声で優香は龍介の耳元で想いを零した。
その言葉で、自分の正体が彼女に知られたこと。そして、戦って負けたことを知った。
彼女の体が震えていることに気づいて、そっと彼女の頭を優しくなでた。
「ごめん、なさい。ずっと、黙っていて。ずっと言えなくて。逆に心配かけてしまって」
最初は、自分が嫌われても彼女を助けたかった。だけど、自分の正体を言ったら、彼女にまで被害を及んでしまうと思っていた。だから、ずっと言えなかった。
「優香さん。このままでいいから、聞いてくれるかな?」
「はい……」
「僕は、僕はね。太陽の龍 ドラグーンソールに変身して、ずっと戦っていました。ずっと言えなくて、黙っていて、ごめんなさい」
彼女の返事は、ぎゅっと抱きしめられる強さで答えていた。
「それから、もう一つ。僕は、桂優香さん。あなたのことが好きです……!」
ビクッと優香の体が震えた。
「本当なら、もっと気の利いたセリフを言えたらいいんですけど……でも、これだけは言います。
あなたの傍にいさせてください。あなたの心の傍に僕を置いてください」
二人は強く抱きしめあって、心を通わせた。きっとこれからの困難も。重い未来への扉も。
二人なら、きっと大丈夫だと。信じることができるように思えたから。
「僕を、あなたの恋人にしてくれ、ますか?」
心臓の鼓動が重なり合う。熱の帯びた言葉と潤んだ瞳からは、歓喜の涙が止まることなく流れていた。
優香の体がゆっくりと離れて、彼の正面から顔を見た。
「……はい。私を龍介君の恋人にしてください」
ドラグーンソールのカードが輝いて、二人の恋を祝福していた。
病室で、龍介と優香は目を覚ました。
「優香、さん」
「龍介くん」
左手には、彼女の両手とカードが握られていた。彼は、すぐに身を起こそうとするが彼女が制止する。
「ダメです。心臓が止まっていたんですよ? 今は、今だけは休んでいてください」
「それと、私がドラグーンソールのコアを持ったままこの世界に生まれたみたいですので。その、わ、私を!」
優香が焦って説明するが、龍介は止めた。
「ううん。コアがなくても強くなってみせるよ。俺の命も君の命も。守り抜いてみせる。太陽の龍になれなくても、俺が君を護りたいんだ。そ、それに」
かぁっと、赤く染めて、思いの丈を言葉にする。
「好きになって、夢中になって、しょうがないじゃない!?」
「そ、そうですね。好きでしょうがないから仕方ないですよね!?」
恋人に成り立ての二人の思考回路は、ショート寸前であり。いや、既に熱暴走が起こっている。
だが、ようやく二人の長い時間をかけて育んだ恋心は、この世界においては尊いものだろう。
この二人がここまで作った軌跡は、誰にも壊せない。
「あの。朝が来るまで、ずっと手を握っていていいですか? 今まで、戦っていたのをいえ、握らせてください」
優香から少し押して、指先をそっと絡めて今まで戦い、傷ついてきた小さな手を守るように握り締めた。
その手を壊してしまわないように、愛おしくも。小さくて、大きな手を。ありったけの想いを込めて。
(きっと、あなたの深層意識に潜った時と違って、「言葉にしないと伝わらないかもしれない」でも、守らせてください。あなたが今まで私を守ってくれたように。これからは、ううん。今からはあなたの心の隣で守りたい)
温もりを通して、伝わってほしい。けど、言葉にはできない思いを知られたくない。これは、桂優香がこれから紡ぐ物語だから。
リーシとセリアは、早朝から病院の喫茶店で話し合っていた。敵である破壊龍を倒す手段を。
「現段階では、アクアとシルフの二つしかコアはない。けど、戦闘面においては、ソールしか戦えない。
力の差が大きすぎるのよ。あいつんと対等に渡り合えるのは、ドラグーンソールの全盛期で彼の力が必要だった。だけど、今の状態では、全滅」
「そうじゃ。だが、方法はなくもないだろう?」
リーシとセリアは話を重ねて、現状を打開するための策を提示する。
「3体の龍戦士を一つの戦士に融合合体させる」
そう、一つの力ではダメなら、融合合体させるというあり得る方法を提示する。
「だが、コアの2つで安定を図るとはいえ、「太陽」「風」「水」の3つのエレメントで安定しかつ誰が核となるのだ?」
リーシは、シルフとアクアのカードを預かっており、調整をしている最中だった。
「私としては、龍介だ。彼しか出来ぬと思っている。奴の規格外の戦闘能力に対抗するには、伝承にあった「龍武帝」になるしか他はあるまい。だが、どのドラグーンの合体によるものかは断絶されており、現代では再現が不能と言える。だが、ソールの最終形態で本来の姿である「神龍帝」への進化は別の方法で探さねばならぬ」
破壊の龍を倒すために戦う手段としては、3つのエレメントの融合合体。だが、危険性はある。それは、適合者の人格が龍に文字通り食われるか。龍戦士達が融合したままの状態になってしまうかという2つの危険だ。
結論から言えば、戦いに勝つために危険を承知でその手段を取るか。それとも敗北し、桂優香を奴に渡すかの二択となるだろう。だが、それだけでは終わらない。ついにわかった。ユニオンの目的。
「それだけじゃない。『境界線の破壊』もどうにかしないと。それが、あの番組の放送の理由。人の深層意識にアクセスして、意識集合体の書き換え。早い話。人間の脳をハッキングして私たち異界の人間入り込んですり替わるというのが、ユニオンの目的」
リーシは、豪に助けられた美奈子から、みなみが調査したことの報告を全て聞いて確信する。
そう。ユニオンがカード化した理由は、電子媒体及び世界を飛び越えるための移動アイテムであると同時に人間の心と体を書き換えることができるかの人体実験をしていたのだ。
「異世界からの次元を超えるには、莫大なエネルギーが必要となる。だが、最小単位の存在であればすんなりと通るといえる。そう。カード1枚の厚さに圧縮された存在なら「誰でも超えることができる」だが、カードを解凍させるには、適合する人間の欲。または世界に最適された媒体を得ないとならない」
これまでの敵で、カード化された時とカード化されていない時の実験結果は、「適合する人間がいる場合といない場合では、どちらがよりこちらの世界で安定した自我を保ち元の世界での力を行使することができるか」というものを正確に測るためのものだった。だからこそ、ルー・ガル―とハイエルフの二人が「あえてカード化されずに実体化できるままでこちらの世界で力を行使することができるか?」という謎が残るがそれは?
「しかし、私たちが超えた理由は、「誰かが意図してそうさせた」としか言い表せないのよね?」
「そうだ。だが、かなりの高位存在が手を貸しているとしか言えん。だが、「ジョグレスエヴォルド」は複数の龍戦士の合体だ。アクアよ。 その辺の成功率と危険性は?」
『もしも、3体の龍戦士が合体した場合、0.0003%の成功率。
2体の場合でも0.002%。限りなくゼロ。
ジョグレスエヴォルドは、ドラグナー同士の心身の信頼。勇気。友情。の3要素が合致して初めて成功します。
ですが、先の戦いで同性なら何とか可能ですが、異性。つまり彩香との組み合わせは精神同調という視点で考えると危険すぎます。自我の崩壊。もしくは取り込まれるか、どちらかの人格が完全に消えた廃人となるかの危険があります』
アクアから再度説明されて、セリアとリーシは瞳を閉じて沈黙する。このことを龍介と豪に説明するかどうかが悩む。「勝つための手段は現状ではこれしかない」だが、成功率が五万分の一となるとあまりに分が悪すぎる賭けだ。
『合体システムだけなら、既に全ドラグーンは搭載してありますが、最終的には彼らの意志と肉体が持つかどうかです』
アクアが冷静に語る。そう龍と人間では寿命も肉体構造も全く違うのだ。人間の体が紙コップならば、龍の力は、大量の水だ。その水をずっと紙コップに流し込み続けてしまえば、溢れて紙コップはふやけて潰れしまう。
そう。ドラグーンソール、シルフ、アクアの力を完全に流し込んでしまったら、龍介達の肉体は既に朽ち果て、二度と普通の人間としての幸せをつかむことができないのだ。
既に人智を超えた力を彼らは手にしている。ここまで戦い、死を経験し。セリアとリーシは、10代の少年少女たちがここで戦いを放棄しても責めはしないだろう。彼らは戦いから退いても、温かく見送るだろう。青春の時を過ごす彼らを守るために自身の命を賭すだろう。誰にも知られることもなく、誰からも称賛されることもなく。それが、名もなき英雄達の戦いなのだから。
「ならば、我らだけで何とかするしか―」
「それは、できない。何故なら、これは、俺達の戦いだからだ」
喫茶店に、入院している服装で龍介と豪。そして優香と彩香が入ってきた。
「聞いていたの? なら、あなたたちはもう充分すぎるほどに戦ったじゃない! ここで引いても、私たちは、責めはしないわ! むしろこの場から退いて!」
リーシは、涙目になって感情を吐露した。血だらけになって、豪の名を叫びながら手術室まで見送ったことを今でも鮮明に彼女は覚えている。そのことを思い出しただけでも、胸が張り裂けそうになるほど、痛むのだ。
「そうだ。もう、もう。いいんだ。戦わなくても、我らだけでも!」
セリアも同じだった。心停止状態の龍介を見て、この世の終わりかと思ったのだ。
あたりまえと思っていた日常が壊されることの、怖さと。彼がいなくなることの喪失感近い思いはもう、味わいたくはないのだ。
「俺は、いや、俺達は全部を知ったうえでここにきている。龍介と優香さんの幸せを長引かせるために嘘までつこうとしていたんだ。だからこそ、親友に胸を張れる男でいたいんだ」
豪がドラグーンシルフのカードを手に取る。
「豪……」
「あたしも、怖がっていた。優香に嫌われてしまうことも。彼女の好きな人も守れなかったことに悔しかった。
だけど、今度こそ。守り通したいんだ。私たちの力で」
彩香がドラグーンアクアのカードを手に取る。
『……彩香』
「俺は、今まで好きな人だけ守れればいいと思っていた。だけど、今は違う。優香だけじゃなく、俺の命も一緒に守らなきゃいけないってことをここまでの戦いで知ったんだ。最初は、憧れだった。でも、今は違う」
龍戦士になった彼らが目を真っすぐに見据える。
「未来を掴むために、必ず勝ち残る!」
それは、後ろ向きの言葉ではなく。未来を勝ち取る挑戦者の言葉だった。
病院の外から、悲鳴と爆音が聞こえてきた。
「龍介くん」
優香は、預かっていたカードを彼に返した。
「どんなに離れていても。私の心は、あなたの隣にいます」
龍介は、そのカードを受け取り。頷いて答えた。
「必ず。ここに帰ってくるから!」
戦意を宿した龍戦士に選ばれた少年少女が、逃げ惑う人々をかき分けて敵地に駆けていく。
黒煙が車から立ち上り、破壊龍ドラグーンシュティールンクが吸血鬼の女王フェリスと戦っていた。
「どけ。古の吸血鬼フェリス。貴様が肩入れするほどの男であることを俺も知っているが、ここであいつらと戦わねば、「すべての流れが生まれない」のだ」
黒いドレスを着た。流れるような金髪のストレートヘアの女性、フェリスが微笑して答えた。
「そういうことか。すべての始まりの原点はこの日の為。いや、宿命を変えるには今日しかない。だけどね?
小さい男の子が、好きな女の子を守り通す話を最後まで陰から見届けるが年上のお姉さんの役目よ? 今はあの子たちとは出会っていないけど。だからこそ、今度は私が護る番なのよ! 女がカッコウつける時を邪魔するな!」
ドレス裾を引きちぎって、縦横無尽に両手、両足からの連続した攻撃を繰り出す。金色の髪は流れるように舞う。アスファルトで舗装されたリンクを滑るように彼女は踊るように戦う。
「邪魔だ。いくら、吸血鬼の女王といえど。俺の敵ではない。覇王弾丸剣」
複数の短刀を宙に浮かせると、弾丸のようにフェリスの体を四方八方から貫いた。
「くぅっ! まだよ! まだ!」
全身から血が流れ落ち、彼女の白い肌に赤い線が走る。だが、吸血鬼にとって血は重要なエネルギーであり、その血が失われるということは、その分だけ彼女のエネルギーが失われているということだ。
「そこまでだ!」
駐車場に辿りついた龍介達が横一線に並び立つ。
「来たか」
ドラグーンシュティールンクが大剣ツヴァイヘッダーを担いで彼らを見据えた。
「彩香は、女性の手当てを頼みます。
「わかった!」
「豪! 準備はいい!?」
「ああ! 行くぜ! 親友!」
3人は、カードを握り締めて変身する。
「ドラグーンアクア!」
「ドラグーンソール!」
「ドラグーンシルフ!」
青、赤、、緑の光が収まり、3人の龍戦士が現れる。
「水の龍戦士! ドラグーンアクア!」
「風の龍戦士! ドラグーンシルフ!」
「太陽の龍戦士! ドラグーンソール! 地球の平和を乱す化け物め!」
「俺達、龍の戦士が!」
「倒して見せます!」
3人は、三方に飛び。アクアは吸血鬼の女王フェリスを救助し。すぐに手当てをする。
「アクア・リセッション!」
水の球体に彼女を包みいれて戦闘による傷を修復している。
ソールとシルフは、2人係りで力任せにはるか遠くへとドラグーンシュティールンクを追いやった。
「ソールナックル!」
「ウインドナックル!」
赤と緑の攻撃が漆黒の鎧に叩き込まれるが、ほんの少ししか攻撃にしかならない。
「くっ。やっぱりダメか!?」
「だが、いや。龍介!」
太陽と風の龍戦士が顔を見合わせて、覚悟を決める。
合体の危険性は既に知っているならば、切り開くのは「勇気」だ。
「もしも、俺がダメになったら。ううん。違う! 行こう! 未来を勝ち取る為に!」
「ああ! 五万分の一の確率だろうと! 乗り越えて見せる!」
赤いオーラと緑のオーラに包まれた太陽と風の龍戦士が限界を超えたその先の未来を掴むために立ち上がる。
赤と緑のオーラが二つの螺旋を紡ぎ、蒼天に大きなリングとなる。
「行くぜ!」と2人の声が重なる。
「太陽の龍戦士! ドラグーンソール!」
赤く体を発光させて、エネルギー体となる。
「風の龍戦士! ドラグーンシルフ!」
緑色に体を発光させて、エネルギー体となる。
「ジョグレスエヴォルド!」
蒼天にできた大きなリングに吸い込まれて、二つの存在が融合進化する。
陰に覆われた人影は、日輪の輝きによってシュルエットを映し出す。
鋼鉄の壁さえも粉じんに変えてしまう赤い手甲。緑色の上半身の甲冑。右肩には、緑色の龍の頭部。左肩には、赤い龍の頭部の方の鎧。紅の二枚の翼が生え。二つの銃を腰に携えている。胴から太ももは黒く。下半身は赤い鎧に覆われ、つま先は鋭いナイフのように爪が生えており、大地を踏みしめていた。頭部は、赤いラインの入った武将を思わせるような兜に覆われていた。
「ジョイントエヴォルド! 龍武人ドラグ―ンレゾン!」
太陽と風の龍戦士が合体したドラグーンレゾンと破壊龍ドラグーンシュティールンクが視線を合わせ、音速で何度も拳を交えた。
「いくぞ。エスグレース」
手甲から先のとがった杭を展開して、両腕手で攻め立てる。
「少しはやるようだな! レゾン! だが、これならどうだ!」
幾十もの短剣が展開され、レゾンに襲い掛かる。
「ファーストインパクト!セカンドブラスト! ツインバルカンモード!」
二丁の銃を手にもって連結し、ライフル銃に展開して短剣の雨を一掃した。
その戦いを見守っていたドラグーンアクアが驚いた。
「ここまで。シンクロさせている? いえ、それよりもあの姿は」
そう、この姿で戦うことにより、桂優香とレゾンは過去に飛ばされるとこの間、告げられたのだ。
駐車場の入り口を見ると、優香とセリア、リーシが走っているのが見えた。
ドラグーンシュティールンクは、内心微笑んでいた。そうだ。あともう少しで「過去の自分だけでも助けられる」と。過去に行くことで改変されるのだ。
(もしも、俺が消えたとしても後悔はない。ドラグーンソール―「龍介お兄ちゃん」あなたがくれたソールバードのカードがあったから、私はあなたの世界まで迷わずに、生きてこれた。だから、今のお兄ちゃんが知らなくても、好きな人を奪うだけの存在であっても構わない。この想いに気づかれなくても)
悲壮な覚悟を抱いた。シュティールンクは、黒いソールバードのカードを優しく握りしめた。
「この私を忘れるなー! サンダービースト!」
「お姉様! 無茶しすぎです!」
ドラグーンジュピターが雅の瞬間移動の能力で、乱入してきた。
「! おまえまで来たか! だが、本来の時間軸とは違うがこれですべてのカードはそろった!」
シュティールンクは、大剣を一振りして、ドラグーンジュピターの攻撃をかき消した。
「ちっ! やっぱ無理か! でも! 豪! 一気に決めちゃいなさい!」
「龍介!」
ジュピターとアクアの技カードがレゾンに投げ渡される。
「ありがとう! 2人とも! カードスロットイン」
カード挿入口を開いて、4人分の技カードを入れてエネルギーの弾丸に変換する。
「いくぞ! ギガデリンガーモードチェンジ! ファイナルモード! エネルギーチャージ!」
ギガデンリガーをバルカンからキャノン砲の銃に変換させて、緑・黄・青・赤の4色のランプが点滅しエネルギーを一点に集中させる。
「来るか! 現時点での最強の技を! ソールバードチャージイン!」
黒い太陽から、黒い太陽の鳥が飛来し、大剣に憑依合体する。
「エネルギー充填OK! マキシマムファイヤー!」
「黒い太陽風!」
砲身から打ち出された四つの龍戦士の力と大剣から放たれた黒い太陽の風が衝突し、時空間を歪ませるエネルギーを発生させた。時空嵐が巻き起こり、周囲のものが吸い込まれていく。
「しまっ! うああああ!」
レゾンが時空嵐に吸い込まれそうになる。
「ええい! 女は度胸! あんたも来なさい!」
「ええ!? ちょ!?」
ジュピターは、考えるのが面倒になりドラグーンアクアの腕をがっしりと掴んでレゾンを助ける為に空を駆ける。
「龍介君! 犬飼くん!」
優香が時空嵐の近くまで駆けてきた。
シュティールンクは、ソールバードの羽を4枚左手にもって、手裏剣のように投げた。1枚はドラグーンレゾンに。2枚はドラグーンジュピターとアクア。最後の1枚は優香。4枚の羽は彼らの体内に入り込んだ。
「これで、はぐれることは、ない! ああああ!」
時空の嵐が吹き荒れ、5人を飲み込むように口を大きく開くと彼らの姿が消えた。時空の嵐も何事もなかったかのように消えて、残されたセリア、リーシ、雅、フェリスは、時空の嵐があった空間をただ見ているしかなかった。
「お姉様!」
「大丈夫、よ。彼らは、過去に飛ばされたわ」
吸血鬼の女王フェリスは、ゆっくりと立ち上がって答えた。
「ふぇ、ふぇりすさま?! お、お許しください! 今しばらくの時間と弁解の余地を!」
「落ち着きなさい。雅。それに、セリアとリーシ。貴方たちに知る権利があります」
フェリスはパニックになっている雅を見て微笑んで。セリアとリーシの方を見ていった。
「すべての始まり。そう、ドラグーンソール、アクア、シルフ、ジュピターが誕生した理由を」
「ドラグーンシリーズの誕生した理由だと?」
「でも、ドラグーンシリーズは私たちが知る通りのものでは?」
フェリスは首を振って答えた。
「いいえ。「この時代のソール達が過去に行かないとドラグーンシリーズは誕生しない」と答えたほうが正しいわね。すべてをお話しします。1人の幼き少女と異世界の未来から来た人間たちとの名前も知らない英雄譚を」
あとがき
やっと、やっと終わったよ……クララが立ったくらいに終わったよ! あしたのジョーみたいに燃え尽きているよ。というわけで、いよいよ核心編に突入します。
さらっと本来のネタ晴らし。2010年代では、本当は桂優香が破壊龍の意志に飲み込まれ世界を滅ぼすことを確定し、龍介君がたった一人で世界を敵に回して添い遂げるというお話でした。(壮大なネタ晴らしだな!)
本当は12話で終わらす予定のはずで、アクアもシルフもジュピターもセリアもリーシも登場はせず。むしろ敵となって戦うだけでした。(夢ぶち壊しの鬱展開だよ。兄さん!)
当然官能シーンのフランス書xに。(それ美少女文庫??)と入れようともしましたが。
ここでお知らせを、ニチアサ対抗シリーズと名を打っていますが、制作の時間を考えると毎週更新というのは難しいことをこの場で頭を下げます。実際色々と手を伸ばしているからねぇ。
過去編のヒロインとして、黒髪ポニーテールで、淡い青色のワンピース姿。そして紫色の瞳をしたロリ少女(10歳)のドラグーンシュティールンク。「ルティア」ちゃんが登場します。 本当は男でこのラスボスをフルボッコする展開のはずがどうしてこうなった。ええ、これもまほー工房さんの作品を買った影響です。
では、感想をお待ちしております。 レミーより 2016 3・13
投げ銭していただけると、喜びます(´っ・ω・)っ「創作関係に投資」(´っ・ω・)っ今さら編集できることを知る人・・・(天然すぎぃ)