野鴨の哲学 「個人力を伸ばす意義」
以前、澤円著「個人力 やりたいことにわがままになるニューノーマルの働き方」を読解しました。読んでからは、個人で生きる術を持てるようにいろいろ取り組もうと思いました。
個人力の必要性を裏付ける情報がいろいろと目に留まるようになりました。その中で面白いお話を聞きましたのでご紹介です。
野鴨の哲学
野生の鴨は餌を求めて季節ごとに長距離を飛行し、湖から湖へと渡っていく。その距離は1万キロに及ぶそうですが、野鴨は平気です。野鴨の群れがある湖に飛来したとき、一人の老人が野鴨を労って餌を与えます。最初のうちは野鴨は餌を受け取りません。
しかし、何度も老人が餌を与えるうちに野鴨はついに餌を受け取るのです。そしていつしか、野鴨はその湖に住み着いて、老人がくれる餌のみ頼りに生活をするようになりました。
そこから数年たち、野鴨はすっかり太り飛ぶことができなくなってしまうのです。しかし野鴨はそんなことは気にしません「この湖にいれば勝手に餌がもらえて、つらい長距離飛行をしなくて済む」とそう考えるようになってしまっていました。
しかし、野鴨が飛べなくなってからしばらくして、餌をくれる老人が死に、野鴨は食べるものがなくなります。そんな状況に追い打ちをかけるように氷河が融け、湖に鉄砲水が襲い掛かります。
飛べない野鴨を尻目に、ほかの水鳥たちはさっさと避難してしまいますが、飛べない野鴨は逃げられず、そのまま濁流にさらわれてしまうのでした。この話は、コペンハーゲン生まれの哲学者、セーレン・キェルケゴール(1813-1855)が残したものだそうです。
このサイトに非常にわかりやすくまとめてありましたので、興味のある方はご一読をどうぞ。
教訓は、個としての力を強く保つこと
この話の教訓は、"個の力を強く保ち続ける"ということに尽きるのではないでしょうか?一つの環境に依存した野鴨は、彼らが持っているはずの飛行能力を失ってしまいました。
その環境がそのまま永続的に続くのであれば問題ないのかもしれませんが、実際にそんなことはあり得ません。先行きが不透明になった昨今では、既存の環境が移り変わりやすくなっていることは明らかです。
一つの環境に依存せず、個人で生き抜く力を持つこと。これを強く思わせる物語でした。例えば会社に入れば安泰と思わず、その組織の中で個人の力が伸びるよう常日頃から勉強を欠かさずやっていく姿勢が大切だと感じます。
ビジネスシーンでも同様のことが言われている
ビジネスにおいて、必要なのは野鴨のような存在である。そして、われわれは野鴨を飼いならすことはしない。こう宣言するのは有名なコンピューター関連製品の会社IBMです。
組織のいうままに動く飼いならされた人材ではなく、主体的に個人でビジネスを作り、遂行する人材を求めているということでしょう。おそらく、他のどの会社でも、程度こそ違え、このような人材を求めているはずです。
一度飼いならされた鴨は二度と野生には戻れない。一度でも会社に依存したら、自分の力でしっかり生き抜くことが難しいと言い換えられそうです。自分の生活を振り返って、会社にだけコミットしていればいいという考えになっていなかったかどうか、思わず反省してしまいました。
一つのマインドセットとして、このお話を心にとどめていただけたら嬉しいです。
ということで、本日も一日頑張りましょう。