【空想科学短編】アンパンマンが複数人いたとしたら…

 まず、私はアンパンマンが複数人いたとしたら、呼び方に困ります。

 アンパンマンはMan、すなわち単数形なのであります。そうした場合、複数いたとすると、「アンパンMen」になるのかな、なんて思ったり。

 でも、そこにいるのは何人いてもアンパンマン。やなせたかしの命が宿っています。決してMenをつけることは許されません。そんな時、私の携帯に電話がかかってきました。


声の主「もしもし…2丁目の長谷川ですけど、もりそば4人前と天ぷら盛り合わせをお願いします。」

私「はい、かしこまりました。11:30ごろのお届けになります。」


 ここで私は困った。なんで私の家にそばの出前の電話が届いたのだろうか。私は蕎麦屋ではなく、しがないサラリーマンだ。しかし、届かなければ嘘をついてしまうことになる。それは決して許されないことです。

 そこで登場するのがアンパンマンが複数いる光景です。この場合の最適解を複数のアンパンマンが話し合い、ベストアンサーへと導いてくれます。ここにアンパンマンが複数いるメリットがあります。

 何人いてもアンパンマンはアンパンマン。バイトが何人いてもバイトであるように、アンパンマンは自分の責務を全うする役割期待を背負いながら、アンパンメンでもタンタンメンでもない、唯一無二のアンパンマンであるのです。


 そんなことを南の空を見ながら考えていた、ある夏の夜。若さとは素晴らしいものです。嘘か本当かわからない、空想科学短編。次回は、「メジャーデビューしたばかりのアーティストは、はじめての印税で何を買うのか」をテーマに、深い空想科学の世界へお連れいたします。


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