あなたの名刺交換時のコストはいくら?
ども〜経理部長でっっす。
今回は異業種交流会や懇親会などでよく見られる光景、「名刺交換タイム」にかかるコストについて考えてみた。
あえて極端な例として、年収400万円のサラリーマンと年収2,000万円の社長が、同じ懇親会に参加したケースで比較してみる。
前提として、
・年収400万円=分収(1分当たり収入)30円
・年収2,000万円=分収150円
・リーマン名刺の作成代は一枚30円(一般的な単価)、社長名刺を一枚100円(ちょっと高級)とする。
・家から会場へは車で15キロの距離とする。
・リーマンの車はプリウス(燃費は20km/l)、社長の車はハマー(燃費は5km/l)とする
・名刺交換時の所要時間は一人との交換あたり5分とする(「何してる方なんですかー?」「そちらはー?」「えーじゃあ◯◯さんご存知ですかー?」的な時間)
・名刺交換する人数は10人とする
・懇親会の時間は120分とする
・懇親会の費用は6,000円とする
この前提でちょっと検討してみる。
ちなみに結果を先に発表すると、リーマン=616円、社長=1,353円が名刺交換1枚あたりのコストである。
細かく計算してみよう。そもそも、コストには直接費と呼ばれるものと間接費と呼ばれるものとがある。ナンノコッチャだと思うかもしれませんが、それぞれ順番に見ていこう。これは経営上の原価計算にも活きてくる考え方だと思います(優秀な経営者の方々は当たり前にやっている)。
まずは直接費について。
※直接費とは、その名前の通り製品やサービスに直接的に起因している費用のことを指します。
今回のケースでいうと、名刺交換という行為に直接的に該当するのは名刺そのものの原価代と自分自身の人工代。
・リーマンの場合
(名刺原価代)1枚30円×名刺交換10枚=300円
(人工代)1分あたり30円×1人あたり5分×10人との名刺交換=1,500円
(直接費合計)300円+1,500円=1,800円
・社長の場合
(名刺原価代)1枚100円×名刺交換10枚=1,000円
(人工代)1分あたり150円×1人あたり5分×10人との名刺交換=7,500円
(直接費合計)1,000円+7,500円=8,500円
次に間接費について。
※間接費とは、製造や販売といったものに直接かかる費用ではなくて、製品やサービスの製造、提供に付随して発生する費用のこと。
今回のケースでいくと、名刺交換その瞬間には関係ないけど、その経費がないと名刺交換ができない、そんな費用のことを指す。
ざっくりと以下のもの。
①会場までの往復にかかるガソリン代や高速代など、車に関する費用(今回はガソリン代だけ加味する)
②懇親会への参加費用
③お酒飲んで帰る時の代行代(これは車社会ならではかな)
順番に見ていくと、
①ガソリン代について
自分の車の燃費と、ガソリン代の時価が分かれば算定が可能。
(リーマンの場合)
・レギュラーガソリン代135円/リッター
・プリウスの燃費20km/リッター
・会場までの距離15km
だから、
135円 × 15km ÷ 20km = 101円(=会場までの片道ガソリン代)
往復だと2倍なので、202円。
(社長の場合)
・ハイオクガソリン代145円/リッター
・ハマーの燃費5km/リッター
・会場までの距離15km
だから、
145円 × 15km ÷ 5km = 435円(=会場までの片道ガソリン代)
往復だと2倍なので、870円。
②懇親会の参加費用について
こちらはリーマンも社長も6,000円。
でもこれは名刺交換してる時間も、ただ飲んでるだけの時間も、トイレに行ってる時間も、一服してる時間も含まれている。
ので、6,000円の内、名刺交換に充てている時間の費用を割り出す必要がある。
いろんな方法が考えられますが、今回は時間で按分してみようと思う。
・懇親会の時間は120分
・名刺交換に充てている時間は50分
なので、
6,000円 × 50分/120分 = 2,500円
つまり2,500円が名刺交換に充てている時間分の懇親会参加費となる。
これはリーマンでも社長でも同じとする。
③代行代について
車社会にはつきものの、運転代行代。
懇親会といえばほぼ出てくるであろうお酒。これを飲むとセットで要するのがこの運転代行代だ。
車種に関係なく、距離に応じて料金が決定するため、この費用はリーマンも社長も同額になる。
そして、15kmの距離を代行さんに依頼すると大体4,000円くらい。
こちらの経費についても、懇親会に参加してお酒を飲んだことに伴う経費全額であって、名刺交換時間に対応した経費ではないので、懇親会参加費用と同等に名刺交換分に対応する代行代をこれも時間で按分すると、
4,000円 × 50分/120分 = 1,667円
つまり1,667円が名刺交換に充てている時間分の代行費用となる。
リーマンも社長も同額。
これらの間接費を合計すると、
(リーマン) 202円 + 2,500円 + 1,667円 = 4,369円
(社長) 870円 + 2,500円 + 1,667円 = 5,037円
上記の金額が10枚分の名刺交換をするために間接的に要する費用だ。
そして仕上げに、直接費と間接費の合計を出そう。
これは上記で算出した直接費と間接費の合計を計算するのみでオッケー。
(リーマン) 直接費1,800円+間接費4,369円=6,169円
(社長) 直接費8,500円+間接費5,037円=13,537円
上記の金額が名刺10枚を交換する際にかかっているコストとなる。
1枚当たりに換算すると、
(リーマン)616円
(社長)1,353円
上記が、片道15kmの会場で開催される、会費6,000円の懇親会で、一人当たり5分をかけて、10人の方と名刺交換をした際の一回交換あたりのコストである。
結論
名刺交換自体を否定しているわけではなくて(前は不要なものだと思ってたけど)、
こういうコスト意識をもって名刺交換するマインドを持ちましょうよ、って話です。
それがあると今回の会合には自分が行こう、自分が行ったら割に合わなそうだからスタッフに行かせよう、今回は見送ろう、深い関係が築けそうな3人とだけ名刺交換しよう、そんな判断ができるのかなと思いました。
・616円払ってあの人に名刺交換に行く意味があるのだろうか
・相手に1,353円分の価値の出会いと思って頂けるか
そんなマインドをみんなが持つようになったら、手当たり次第の名刺交換タイムっていうのはなくなるのかなーなんて思った。
そして、浮いた時間を自分の単価を上げる時間や、大切な誰かとの時間など、そんな時間に充てることが出来たら素晴らしいよなー、そう思う次第である。