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カランカランカラン
私が生まれた新潟市の某神社は、毎年7月に縁日が出る。私はこれが大好きで必ず遊びに行った。中学2年の14歳の時、陶器で出来た白◯隊の人形を射的で撃ち落とした。底はなく中は空洞で鈴がぶら下がっていた。振るとカランカランと音が鳴る。
その日から、毎晩金縛り状態に陥った。訳がわからず、白◯隊の人形が守ってくれるかもしれない!と思ってベッドの枕元に置いてみることにした。
その夜は、寝ている足元から「カランカランカラン」と音が近づいてきた。私の部屋は2階でベッドの左手に窓がある。窓側を見ると閉まったカーテンはレールの辺りに、黒くて丸いものが2つ回っているのが見えた気がする。なんだあれ?
これは見ていてはいけない気がする。ベッドに潜った瞬間に、長い棒で頭をポカリと叩かれた。
犯人はお前か!!!! 人形は刀を携えている。だって白◯隊だもん。
人形を握りしめ1階に降りた。降りたはいいもののこれをどうしよう? 居間の本棚に父がどこかの旅行先で買ってきた小さなお地蔵さんの置き物が2つあったので、そこに挟むことにした。
以来、続いていた金縛りは収まった。
高校生になって、同人誌に描こうかなと本棚に安置した白◯隊の人形を再び部屋に持ち出したけど、もう何も起こらなかった。私の感受性が落ちたのか、お地蔵さんが何気に霊験あらたかだったのか、それとも全て気のせいだったのかは知るよしもない。
人形には念がこもりやすいと言う。あの白◯隊の人形は、各地のお祭りを巡ってきたのだろう。たくさんの人が集まる場を巡っていたら、なにか入ってしまうことがあるかもしれない。素人考えだけど。
ちゃんと起きているときに遭遇した、唯一の怪異。
…
何故、新潟で白◯隊?と思われるかもしれないけど、私より上の世代の新潟市民はだいたい修学旅行で会津の鶴ヶ城に行っている。一家に一本「白◯隊」の木刀があると言われていた。(我が家は兄2人がそれぞれ買ってきたので2本ある)。案外身近な存在なのだ。
27年目にしてふと気付いた。鉄砲で撃ったから、刀で仕返しされたのかも!