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恋をしないような気がした

いつかは私も、恋に落ちるんだろうか?

そんなことを思いながら生きてきたし、
恋だか憧れだかわからない感情に
恋、と名前をつけて飼ってみたりもした。

「こんな素敵な人に恋をしてみたいな」
そうやって、恋に恋い焦がれたこともあった。

とはいえ定期的にやってくる違和感にぐるぐるしながら、会社員になったらめっきり同世代との出会いがなくなった。社会人のコミュニティにも所属したりしたけれど、恋をしたいと思う相手すらいなかった。

私はこのまんま恋せずに生きてくのかもな、と思うことはしばしばで、だからどうとかはなかったけれど、周りに既婚者が増えてくると寂しさは残った。
みんな、誰かにとっての『特別』になっていくのに、私は誰の特別にもならないことが不安だった。20歳のときアセクシャルを知ったときに調べてみたけど、なんか違った。

学生の頃に、当時1番仲良かった友人に彼氏が出来たときに、ふと「私とその子の彼氏が2人とも崖から落ちそうになったとしたら、その子は彼氏を優先して私は死ぬんだろうな」なんて極端な妄想が浮かびあがり、ひどく悲しい気持ちになった。

私には恋人ができることがよくわからず、素直に喜んであげることができないことが、後ろめたかった。友達なのに喜べないなんて、とまた悲しくなったのをよく覚えている。

そんな私が、「恋せぬふたり」に出会った。

恋せぬふたりはタイトルの通り、恋をしない「アロマンティックアセクシャル」というセクシャリティの2人が出会い、モヤモヤしたりしながら『恋愛を抜きにした家族』になろうとする話。

周りの当たり前にモヤモヤしたり、理解されなかったり、理解しようとしたりするNHKのドラマ。作成側の自己満にならないように、たくさん調べて、考慮して、丁寧に作られた素敵なドラマ。
とても良い作品なので、まだ見てない人はぜひ見てみてほしい。

この作品はとても共感するところが多くて、私もアロマンティックなのかもしれないなと思ったし、アロマという選択肢が私の中に現れたことは私にとって救いだった。
頑張って恋しようとしていたし、恋人のいない私は人としての魅力がないのだろうと思っていたので、アロマかどうかを断定するのはひとまず置いても、別に恋しない人もいるし、そんなこと気にしなくていいんだなって思うと安心できた。ストン、と心の中になにかが落ちた気がした。…前に、進める気がした。

主要登場人物の1人である、高橋の綴るブログに以下の書き込みがある。

『恋愛にまつわるあるある』職場でお見合いをすすめられる。断ったら「もったいない。 選り好みできる立場ではないだろ」と言われた。その発言で人のこと見下してるって一発で分かる。恋愛してないだけでなぜ これだけ舐められる。「一人が好きなんですね」と言われる。僕はそうじゃないから困ってる。

羽色キャベツのアロマ日記より

恋人をつくらないのは、ひとりが好きだからではない。ひとり旅などを自由気ままにするのは好きだけれど、同時に私はとても寂しがりやなので、先述したように「誰かの特別になれない」ことは悲しいし、友人たちに「最優先する相手」が出来ていくことはひどく焦燥する。『そうじゃないから困る』という表現に、いいねを百回押した。

そして思った。
たしかに、なんで恋愛できない人は1人で生きていかなければいけないと思ってしまうんだろう。

ただ一方で、どんなに気のおけない友人と住んだところで、相手がいつか好きな人ができて同棲したり結婚したりしたいと思うだろうし、その可能性がある限り、気を使わせていないかな?と気を揉んでしまうな気がするので、
恋しない人たちか集えるゲイバーの恋しない人たちバージョンがあればいいな〜。仰々しいLGBTsイベントじゃなくってさ。

ちなみにこれを読んだ友人が「恋バナ振ってて傷つけちゃってたかも」と思うのは嫌なので補足すると、恋バナは好きだし、今だって誰かに恋したいなと思ってる。
「きっとこれが恋?」と言い聞かせながら、その相手のためになりたくて試行錯誤してた時間も好きだった。キスもセックスもしたくない私が告白したら我慢させるしな〜と思ったり、幸せにする自信も勇気も覚悟もなかったし、そもそも劣等感の塊すぎて引け目を感じてたから、告白に至ったことはなかったけどね。

そして当時恋かもと思っていた片思いの相手たちは、今も引き続き私の「推し」として大好きです笑。

「もしかしたら、恋しないセクシャリティなのかも」と、最近会った友人に恋バナを振られたタイミングで、今の気持ちを伝えてみたことが何度かある。まだ、断定は出来ないし、するつもりもないけど、と。

その反応が様々で、けっこう面白いと思った。

「そんな悲しいこと言うなよ、恋できるよ」と嘆いてくれる男友達。「恋で苦しむことがないのは羨ましい」と感じたことを言ってくれるバイセクシュアルの女友達。「なるほど、そういう選択肢もあるよね」と、私の恋バナが聞けないのを残念がる女友達。「俺も今は仕事一筋だからな〜」と特にリアクションのない男子友達。とても、多種多様。
どの言葉も、とても愛おしく尊敬できる友人たちの言葉だ。

…とまぁ、色々たらたら書いてたけど、別にストンとしたからと言って何かを変えるわけじゃないし、そもそも特に無理もしてなかったし、悲しいときは引き続き悲しいし、友人に特別ができてしまうのは寂しいし、嬉しくもあるけど恋がよくわらないから、少しだけ遠い世界の出来事な感じはするし、子どもができた友人の子供への愛情に「愛すげ〜」と感嘆するし、そもそも愛し愛される相手と出会い、家族になりたいと思って家族になるって奇跡だな〜と思い続けるし、何かしらの形で私も「運命の人」と呼べるような人と出会えたらいいなと願いながら、のんびり自分のペースで生きていきます。

セクシャル的な話は孫を見たがってる親にはまだ伝えられないけどね。

最後に、恋せぬふたりの住んでた部屋の画像を置いて、このnoteを終わりたいと思います。
この世界観好きすぎるし、ドラマのインテリア担当する美術さんまじ天才的だと思う。素晴らしすぎ。

ここまで読んでくれてありがと
ぜひドラマ見てね!


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