No more Spiritual(3)−見える世界と見えない世界のはざまで−
(前回のあらすじ)不信感でいっぱいの「ヒーラー」との時間。突如現れた、私の過去世「殉教師おじさん」が癒されるのを目撃し、うろたえる私であった。
3. 見えない世界への傾倒
殉教師おじさんの一件で、私はがぜんスピリチュアルの世界に興味を持ち始めました。その後、自分に大きな変化は起こらなかったものの、「あの声と涙は何だったのか」という疑問と好奇心は大きくふくらんでいきます。
すると不思議なもので、スピリチュアルに関する情報がたくさん入るようになりました。
ある日は、「天使(エンジェル)」が見える、という人がサロンにきて、小さなエンジェルが私の頭上に飛んでいる、と言うのです。妊娠を切望していた私には、それが「もうすぐ子供ができる」に聞こえます。
またある日は、広告を一切出していない「見える人」を口コミで教えてもらいました。今後も海外勤務がある夫との不安定な生活に、不満を抱いていた私に「夫と私は、過去に一緒に世界中を航海していた相棒だった。だから、海外に行くのは定めなのだ」と言うのです。
そんなこんなで、私は見えない世界の話を、もう以前のように心の中で茶化すことはなくなっていました。むしろ、言われたことを丸ごと信じるようになっていたのです。
そのうちに、
「目に見えない力」は自分でも習得できるのだろうか?
そんなふうに考え始めました。
そして、殉教師おじさんを癒してくれた方が「シータヒーリング」を学んだと知ったのです。
私は早速、都内の「シータヒーリング講座」に通いました。数人のグループで、セッションの練習をしました。教えてもらったやり方で、頭に浮かぶ言葉を口にしていきます。
数日間の講座は修了。
先生に「あなたはヒーラーに向いている」というお墨付きもいただいて、私は「ヒーラー」と名乗れるようになりました。
オーナーに頼んで、私はサロンの部屋が空いている時間に、「ヒーリング」を提供し始めます。悩みを持った人に対し、ヒーリングのやり方にそって聞こえてくる言葉を伝えました。
すると、ある人は納得したような表情になり、ある人は、矢継ぎ早に次の質問の答えを求めてきます。そのうちに、何度も「言葉」を求めてやってくる人も出てきました。
その時、私はこう思ったのです。
「エステより、スピリチュアルの方が、人は簡単に来るんだな」
第4回 見えない世界に対する嫌悪 に続く
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