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シニアから若手まで、受講者の笑顔と自信を引き出す:楽しく学べる環境を大切にするベテラン研修講師の思いとストーリー(前編)

今回は、ライフシフト社チーフインストラクターの大隅さんにインタビューしてみたいと思います。

現在68歳の大隅さんは、「人生100年・80歳現役時代」と言われている中、まさに現役でいきいきと仕事をしている姿をいつも見せてくれてますが、これまで色々なご苦労や悩みもあったことでしょう。

自身のこの先のキャリアや人生に何となく不安感を抱いているミドルシニアの皆さんへのヒントとなるように、本日は普段あまり聞いたことのない具体的な経験談やエピソードをたっぷり聞かせてください。

 

まずは、前職の日産自動車時代のお話から教えてください。

私は、1978年に新卒で日産自動車に入社し、30年ほど商品企画とマーケティングの仕事をしていました。

キャリアの転機が訪れたのは51歳のときです。人事部に異動し、キャリアコーチという役職で次世代経営リーダー候補の発掘・育成を担当することになったのです。正直びっくりしましたが、想像以上にダイナミックでやりがいのある仕事でした。

 

そのキャリアコーチの仕事は自分から希望したのですか?

いい質問ですねぇ。 正直に白状します!(笑)

普段キャリア研修の中で、「自分のキャリアを自律的・主体的に考えましょう!」などと言っている私ですが、実は50代後半までキャリアは完全に会社任せでした。もうじき58歳、そろそろキャリアコーチの仕事を終えるタイミングが近づいたところで、初めてこの先のキャリアのことを自分で考えたのです。普通に考えれば「古巣の商品企画・マーケティングに戻る」という選択肢が現実的なのですが、ここでちょっと気持ちがざわついたんですよね。「なんかやり残したことがあるような、ないような。」って感じで・・・。

日産では再雇用期間が65歳までですので、どう考えても次の仕事が日産でのラストキャリアになる訳です。「40年間世話になった会社に何かお恩返しができないかな?」と考えているうちに、自分がこれまで経験しながら学んできたことを後輩たちに伝える仕事はどうだろうとふと思いついたんです。7年間キャリアコーチをやっていて、「一握りのトップタレントの育成も大切だけど、会社は残り99%の一般社員のモチベーションアップや育成にももっと力を入れるべき」という気持ちも抱いていたことも背景にあったかもしれません。

結局、古巣には戻らず、人事部に残って研修チームで「インストラクター」になりました。58歳で役職定年になり、部長職からシニアスタッフの立場に変わりましたが、正直あまり寂しさは感じませんでした。ポジションや収入よりも、「自分のラストキャリアは、経験豊富なベテランだからこそできる研修インストラクターとして、ワクワクする仕事がしたい」という思いが強かったからかもしれませんね。

 

自分が本当にワクワクできる研修講師の仕事について、楽しそうに活躍している光景が目に浮かびます。

一方で苦労したことはなかったのですか?


そうですね。講師の仕事の合間にプロフェッショナル認定コーチやキャリアコンサルタントの資格をとったときは正直しんどかったです。
ほぼ還暦の年齢で、20代、30代の若い同級生と一緒に国家試験の過去問に取り組んだりしてました。シニアになってからの学びは、当然ですが気力も体力も記憶力もそして時間も限られます。だから若い頃のように「なんでもかんでもがむしゃらに」ではなく、自分自身が心から興味が沸くこと、そしてこの先役に立ちそうなことにフォーカスしながら学び続けるようにしていました。「この先こんな活躍をしたいので、今のうちにこの資格をとっておこう」というバックキャスト(逆算)思考ですね。最近「学び直し」、「リスキリング」、「アップデート」という言葉をよく耳にしますが、ミドルシニアの皆さんには「時間とエネルギーは有限のもの」という発想に立つことをお勧めします。

 

日産を退職後、ライフシフト社に転職された経緯についても聞かせてください。


実はそこには運命的なストーリーがあったんです。
日産人事部で研修インストラクターをやっていたある日、ライフシフト社CEOの徳岡さんとの偶然の出会いがありました。そこで「ライフシフト社がやっているミドルシニア向けキャリア研修の講師を手伝ってほしい」とのオファーをもらい、年に数回程度日産の外で講師の仕事をやってみました。いわゆる「副業・兼業経験」「越境体験」というやつです。

この経験をしたことで、「日産を退職した後も研修講師としてやっていけるかもしれない」という自分の市場価値に対する自信がもてたような気がします。

キャリア研修の中で「運命的な要素は必ずあるので、キャリアプランや人生設計図通りにはいかないことも多い。でも偶然のチャンスを自分の方に引き寄せることはできる。」という話をよくしていますが、もしあのとき徳岡さんからのオファーをお断りしていたら、今ここでこうしてインタビューを受けることもなかったでしょうし、とても運命的なものを感じます。

その後、65歳で日産自動車を退職するタイミングで、ライフシフト社から入社のオファーをいただき、現在に至っています。まさに「ゆるいつながりこそが自分に価値をもたらせてくれる」ということなんでしょうね。それを身をもって体感することができました。

 

次回、実際にどのような研修をしているのか、また研修への思い等をインタビューします!

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