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8月29日の殴り書き

今日と同じ日は絶対にやってこない。何もせずに堕落に耽ける日も、友達と美味い飯と酒を分かちあって笑い会う日々も、1度過ぎたものをもう一度掴むことは出来ない。全てが過ぎた現在になり、それを優しく見つめながら未来を暖かく出迎える。これに気づいたとき、人間に生まれてきてよかったと心の底から思った。勢いまじりのおおげさな言葉ではあるが、この行為を美しさに気づいたたった今、僕は人間に生まれたのだと思った。

人間のアイデンティティとはなんだろうか、圧倒的な数か、互いの衝突を避けるための感情か、それとも急速に発展していく文明やそれを生み出す知能か。それらもアイデンティティになり得るが、それはあくまで人間という種全体を見渡した現代の人類がもつ普遍性にすぎず、人類における本当の自己同一性とは、先程述べた個体それぞれの内側でおきる慈しみをもって過去と未来に立ち会い、力強く現在を視るやさしさだと私は思う。

過去を振り返るというのはとても辛いことだと思う。その純粋な記憶が眩しく映るほど、自分の持ち物が無邪気に照らされ、自身の空虚さに失望や後悔を覚える。これを人々は日常と呼ぶらしい。

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