大雪の日に手に入れた家
私は満員電車が苦手。
ランドセルをしょっていると、大人は私が見えずに隙間があると思って押してくる。
朝、父は遠方への通勤とやはりラッシュを避けるため、始発で通っていた。
父と一緒に家を出れば、母は車で駅まで送ってくれる。
朝早起きして、いつもお弁当を作ってくれた。
父は母のご飯が大好きで、荷物になってもたくさんの量をお弁当でもっていきたがった。
その日は朝から雪が降っていた。
始発にのって駅に着いたら、大雪だった。
学校までの道のりは足首まで雪に埋もれた。
正門についた。
小学校のキャンパスは奥の方。
守衛さんに止められた。
「今日は学校お休みで先生達、まだ誰もきていないよ」
え?
電話の連絡網がうちは最後だった。
すでに家には誰もいない。
みんな仕事だ。
そのうち、電車もすぐに止まってしまった。
ラジオを聴いていた守衛さんが、
中で一緒に待とう、昼間になれば動き出すよ、と言ってくれた。
ストーブの前で、濡れた靴下を乾かした。
暖かいほうじ茶がおいしかった。
おじさんとどんな話をしたかは覚えていないが、たわあもない話をして穏やかに過ごした。
お昼になって、電車が動き出した。
御礼を伝えて帰宅した。
電車は動いたけれど、腰まではまる大雪だった。
ランドセルの中まで雪がはいりこんだ。
リビングに新聞紙を広げて、ランドセルの中の教科書やノートを広げた。
先月まで通っていた学校では、ランドセルの整理なんて興味がなかった。
友達も、先生も、学校も、授業も
全てがつまらなかった。
給食も量が多くて食べきれなくて、いつも掃除の時間まで食べさせられた。
今は、学校が楽しい。
先生が毎日コメントをくれる日記。
必ずおはよう、また明日。
名前を読んで目を見て会話をしてくれる担任の先生。
学校がこんなに安全な場所だとは知らなかった。
もって帰ってきたお弁当を1人で食べた。お母さんのお弁当はとてもおいしい。
母親が帰ってくるまで、危なくて暖房はつけられない。
押入れの布団の中に潜り込んだ。
暖かい。
次の日学校にいくと、担任の先生が
「昨日は大丈夫だった?連絡が遅くなってごめんね?何回かけても連絡がつかなくて心配してたよ。」
と泣きそうになりながら謝ってくれた。
担任じゃない知らない先生達も、廊下ですれ違ったら声をかけてくるた。
先生って、謝るんだ😳
私のこと心配してくれたんだ。
先生って担任じゃなくても、私を覚えていてくれるんだ。
すごく驚いたし、嬉しかった。
2つ目の学校は、私の安全な家になった。
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