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祖父の炎のマジック

母に叱られて居場所がなくなると、祖父の部屋に逃げ込んだ。

祖父と母は親子。
祖父に対して、母はいつも怒っていて不機嫌だった。

私になんで泣いているかを祖父が聞く会話をすると、きき耳を立てている母が部屋に怒鳴り込んできて、祖父に当たり散らす。
祖父がいい返すと、母は暴言を吐き捨てて、大きな音をたてて襖をしめて出ていく。

祖父は、私が泣いて部屋に行くと
わざと大きめの声で、
オセロをしようとか
TVを一緒に見るかとか
明るく話してくれた。

私が泣きそうになると、
マジックをしてくれた。

紺色の大きなせとものの灰皿の上で、
ティッシュにライターで火をつける。
一瞬で炎🔥があがる。
それを、さっと手のひらで握り火を消す。
手を開くと、10円玉がでてくる。

私はそれを見て、不思議だし、
悲しい気持ちが落ちついた。

辛い時、笑いたくても笑えないとき
灰皿と炎、10円玉。

これが脳裏に浮かぶ。

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