つばきと見た花火 / つばきが見た花火 #灼熱つばき
皆様ご無沙汰しております。検索システムについてのコラムを書くといっておきながら筆不精が極まって2ヶ月近く放置してしまい申し訳ありません。一応テーマはあるので、まだ書く気ではおります...
それはそれとして一昨日、「つばきファクトリーの夏祭り2022〜灼熱〜」に行ってまいりました。私がずっと楽しみにしていたこの夏最大のイベントで、期待を裏切らず楽しかったです。
いやぁ本当に楽しかった。もう大変素晴らしく、とても良く、つまり素晴らしく良く、いやなんかこれはもうちょっと尋常ではなく良いんじゃないかと思ったので、今失ってしまった語彙力をかき集めて何故こんなに良かったのかについて、いくつかのポイントにフォーカスして書いてみたいと思います。
1.約束された勝利 / 新たなる目標
実をいえば今回のつばき夏祭り2022は幕が上る前から既に素晴らしいイベントになることが半分決定していました。その理由を語るには、少なくとも約3ヶ月前の武道館公演に遡ります。
2022年5月16日、初のホールコンサートツアーを周りながら、2度目の武道館に立ったつばきファクトリーは、ここでもキャリアハイと呼べそうな見事なステージを披露してくれました。
しかし、ここで終わらなかったのがつばきの運営チームの素晴らしかったところ。武道館公演では2つの大きな発表がありました。
1つ目はニューシングル、『アドレナリン・ダメ』のミュージックビデオ公開です。
終演後まもなく公開されたMVはシンプルでありながら鮮烈な印象を与え、これまでにないようなスピードで再生回数をぐんぐんと伸ばしていきました。CDの売上も過去最高を記録。グループ初のオリコンウィークリーチャート1位を獲得しました。
まさに今、つばきファクトリーが過去最高にキテる状況にあることがライブの成功に関わっているのは間違いないでしょう。
そして武道館でもう一つ発表されたのが、河口湖ステラシアターでの5周年記念ライブ、すなわち今回のつばき夏祭りの開催です。
アイドル戦国時代もだいぶ遠くなってしまった感がありますが、その当時上り調子だったグループも勢いにまかせて身の丈を超えるような大きな会場での公演をうってから逆に失速してしまうパターンがあったと聞きます。
「推しが武道館いってくれたら死ぬ」ではありませんが、武道館のような特別なステージに立つと、そこまでの過程や公演がドラマチックであるほどにオタクもアイドルも燃え尽きてしまいやすい。そのため、なるべく早くに次の目標、ゴールを打ち出すことがアイドルグループの求心力を保つ上で非常に重要になってきます。
つばきファクトリーはこの三ヶ月、先に書いた新曲のリリースを始め、夏ツアー、スカパーの冠番組、アイドルフェスへの出演など沢山の活動を行ってきました。どれも充実した内容ではありましたが、今回の夏祭りという明確な目標がつばきというグループを追っていく上でわかりやすい軸になっていて、私はとても応援しやすいグループだと感じていました。
2.プロセスの共有 / プロデュースの共有
明確な目標設定をしたことが良かったという話をしましたが、もちろん単に目標があれば良いというわけではありません。メンバーもオタクもワクワクするようなものでなくては意味がない。しかし武道館以上のキャパやインパクトのある会場を用意するのは現実的ではありませんし、変に路線を変更したりしてもオタク離れを起こすリスクが大きい。
その点、最初河口湖と聞いたときはピンと来なかったのですが、しばらくしてYoutubeの公式チャンネルで公開された作戦会議の動画を見たときに、これは非常に上手で魅力的な目標設定だなと感心しました。
この夏祭りがメンバーのセルフ・プロデュースによるイベントものだというのです。どこまで希望がとおるかはわかりませんが、衣装や演出セットリスト、会場の装飾などあらゆる点をメンバーの希望にそって手作りしていく。
浴衣を着たい!射的やりたい!水かけたい!花火あげたい!
本当にできるかはわかりませんが、ワクワクするじゃありませんか。
そもそもアイドルオタクは推しに武道館にいって欲しいと願うのか?それは推しがそう願うからです。
色々な種類のオタクがいると思いますが、好きな子が好きなことをしている姿をみたいという願望はかなり普遍的ではないでしょうか。例えば自分は電車に興味はなくても、電車が大好きな子が電車について熱く語っている姿というのは可愛いし、自分は爬虫類が苦手でも爬虫類が好きな子がワニを抱いて喜んでいる姿をみたら嬉しくなるものです。
メンバーが自分のしたいことを実現する、という企画は武道館とは違った方向でオタクをとてもワクワクさせてくれますし、メンバーのモチベーションを引き出す上でも最高だったと思います。
加えてこの作戦会議はライブ本番まで全12回毎週のようにアップされ、常にこのイベントの存在を意識させると共に、準備の過程をオタクと共有する効果もありました。ゴールと同じくらい大切なのがそこに至るプロセスです。ここを共に体験することがアイドルオタクの一つの醍醐味でもあります。
オタクに目標と過程、ゴールとプロセスの共有がなされ、メンバーにはプロデュースの共有もなされたことにより、皆がコミットできるまさにつばきのお祭りとしての体制が完璧に整っていたのです。
前日に12人揃って会場の下見をするメンバーの様子をみて私は明日の勝利を確信し、翌朝胸踊らせてバスに乗り込んだのでした。
3.ファクトリーの祭り / 卓偉祭り
当日ライブ始まる前にも色々と面白いことがあったのですが、既に長文になってしまっているので割愛します。全体の時系列に沿ったライブレポもBARKSさんが素早く記事をあげて下さったのでこちらにおまかせします。
私の方ではセットリストを軽く分析しながらもう少し踏み込んで今回のライブの素晴らしかった点を考えていきたいと思います。
ほぼMCなしの全21曲というボリュームたっぷりのライブ。このうち事前に作戦会議で予告していたように、メンバーをくじ引きで分けたユニット5組とグループ全体でのカバーを合わせて8曲がハロプロカバーでした。
こういった内容は例年なら毎年夏のハロコンや夏休みのファンクラブイベントで行われるのですが、今年はそれがなく春夏の単独ツアーでは12人全員でつばき曲を歌うことに集中していた分、新鮮に楽しめたと思います。
ここではソロで鬼気迫る「恋の呪縛」を披露した福田真琳ちゃんを筆頭に去年加入した4人、いわゆるリトルキャメリアンの歌唱力と成長をしっかり感じることができました。4人とも体力面やマイクコントロールが目に見えて向上し先輩メンバーと遜色ないパフォーマンスをみせてくれたと思います。
また、カバー8曲のうちBerryz工房とこぶしファクトリーが4,5曲入っていたというのも熱いポイントでした。作戦会議の中でも「こぶし曲を歌いたい!」という声があがっていた通り、2018年にこぶしファクトリーとの合同ライブ"KOBO"で披露した「サンバ! つばきジェネイロ(サンバ! こぶしジャネイロのカバー」を再びやってくれたのは多いに盛り上がりました。
ここではつばき12人の歌の迫力に驚かされました。人数が倍以上いるので当たり前かもしれませんが、押し寄せるような低音は後期こぶしのハロプロでも群を抜いて力強かったユニゾンにも引けをとっていなかったのではないでしょうか。つばきなりのカバーというよりは、同期グループとして良きライバルであり、戦友であったこぶしのロックスピリットをそのまま継承したようなパフォーマンスでした。
ファクトリーの名の由来であるBerryz工房のカバー曲も、かつてリリイベで披露したことがあります。これは単なるカバー曲ではなくまだ単独ツアーができず先輩のカバー曲を沢山歌っていた時代の歴史を表してもいました。単に盛り上がるだけでなく5周年記念の場に相応しい選曲だったと感じました。
他のカバー曲でもききピンクとさおピンクのレインボーピンクでのはちゃめちゃな茶番感にはBerryz工房のコミカルさを感じられたり、ライブ冒頭小野田紗栞の過剰なまでにドスの効いた煽りであったり、かつての悩める乙女のような可憐なイメージとは一味違う熱くて楽しいファクトリースピリット溢れるつばきファクトリーが見れたライブだったのではないでしょうか。
そして、セットリストから見えるもう一つの特徴は中島卓偉提供楽曲の多さです。このライブのために書き下ろされた新曲2曲を含む8曲もの卓偉曲が歌われる空前絶後の卓偉濃度、まさに卓偉祭り状態でした。
今のつばきの勢いを決定づけた「アドレナリン・ダメ」やつばきの代表曲の一つである「今夜だけ浮かれたかった」を始め、これまで多くの重要なつばき曲を提供してきたのでそれほど不自然ではありませんが、やはりつんく以外の特定の作家の楽曲の割合がこれほど多いライブというのは珍しい。
単に夏祭りという場にフィットしてただけでなく、つばきのプロデュースチームが卓偉×つばきに強い手応えを感じているのは間違いないでしょう。そして会場で湧いていたオタクの一人である私も勝手に強い手応えを感じました。
中島卓偉は難解なリズムや奇天烈な構成が話題になるつんく楽曲や、コード進行や名曲オマージュが非常にテクニカルな星部ショウ楽曲とは対照的に、ストレートで王道なロックンロールや、美しいメロディのバラードを得意としています。
そしてシンプルな構成やメロディだからこそ活きるのが卓偉の武器である超絶コーラスです。複数の声が重なった時の美しさ。ここに関しては卓偉楽曲はずば抜けています。
これこそが今の12人のつばきと卓偉がガッツリマッチしている要因なのではないかと思うのです。以前こぶしファクトリーに比べると歌はまだ全然追いつけてないとメンバー自身が語っていましたが、今のつばきの歌の力はハロプロ屈指のレベルにあると感じます。
リトキャメ4人のレベルの高さはもちろん、それに触発された先輩メンバーたちも一段と実力をあげ、誰にソロがまわっても一定のクオリティが保たれています。そして何よりユニゾンが美しく力強い。
新曲「君と僕の絆」は曲名からもうお察しのとおり、卓偉の終始直接的な歌詞が続くどストレートなバラード。個人的には好みではないのですが、12人の合唱曲のような美しいユニゾンにすっかり心打たれ、シチュエーションもあいまって涙してしまいました。
卓偉祭りはすなわち12人のつばきの歌の力は存分に感じることのできる、最高のつばきの夏祭りでした。
4.つばきと見た花火 / つばきが見た花火
セットリストも素晴らしかったことに加えて、会場の環境や演出もまた今回のライブに欠かすことのできない要素でした。富士山こそ見えなかったものの、ステージ後方には青々とした芝と樹々が広がり開放感は抜群。階段状になった客席はどこからもステージが近く感じられ、いつものライブとも違った非日常的な空間でした。
灼熱というタイトルには反しますが、気温も比較的すごしやすく雨も降らずライブに集中するのに理想的な環境が整っていたと思います。
昼公演の最後のハッピークラッカーでは瑠乃ちゃんがやりたいといっていたシャボン玉の演出がありました。柔らかな自然光に包まれていつもより更にかわいく見えるメンバーとすり鉢状の客席全体へと広がり、光を反射するシャボン玉はなんとも幻想的で素晴らしかったです。ハロメンさえいればセットも演出もなくても高いチケットを買ってしまうハロオタですが、良いパフォーマンスに良い演出があわさると更に良いという当たり前の事実を痛感しました。是非他のライブでも頑張っていただきたい。
夜公演ではアンコールでメンバー全員が浴衣で登場して「今夜だけ浮かれたかった」。これも最高に盛り上がる演出でした。更にハッピクラッカーも終わった後に打ち上がった花火はメンバーにもサプライズのようでした。
この花火、残念ながら私の席からは屋根に遮られて、隙間から花の下の方が見えるばかりでした。これは座席が前後したとしてもまぁ似たりよったりだったと思います。
しかし、開放されたステージ上のメンバーからはよく花火が見えていたようです。客席に背を向けて夜空に上がる花火を見上げるメンバーたち。ビジョンに映し出された花火の下半分と音を聴きながらその後ろ姿を眺めているとふと個人的な記憶が蘇ってきました。
高校3年生の文化祭。それは私だけでなく母校にとっても最後の文化祭でした。体育館で行われていた後夜祭が終わった後、校庭に集められました。それから私達と名前の無くなる学校のためだけの花火大会が始まりました。担任や保護者が動いてくれたらしく、花火師がきて何発も校庭に打ち上げ花火が上がりました。歓声をあげ、涙する女子生徒たちのように感情を表に出しはしなかったものの、教室の隅で暗い青春を送ってきた私も思いがけない出来事に心動かされ、長い間同じ場所から夜空を眺めていました。
つばきファクトリーのメンバーたちの殆どにはきっとそのような楽しい文化祭の思い出はなく、普通の青春とは異なった日々を過ごしています。だからこそ文化祭でクラスの出し物を決めるように楽しそうに話し合ったり、グッズを作る姿がとても愛おしく感じられていました。
またYoutubeやSNSなどで沢山その過程を見せてくれてはいましたが、我々にみえてないところでの苦労も葛藤もあったでしょう。1公演目のMCで山岸理子ちゃんが涙ながらに語ったように今日全員が出演できるかも、ライブ自体が開催できるかもギリギリの状況でした。
アイドルは見せるものすべてが商品として消費されてしまうような歪な構造の中で活動しています。だから私達にはなるべくキラキラした部分だけを見せようとしています。でもキラキラしたものをを作り上げようと頑張ってきた最後の最後、一番の景色は彼女たちだけのものだったというのが、私には何より美しい青春そのもののように感じられました。
そしてその後姿をみながら自分も一緒に空間を共有していることに、どこか恐れ多く申し訳ないような気持ちもありながら、少しだけ自分も青春時代に戻ったような気持ちになりました。
はっきりとはみえない花火の全体像と、それを見上げるつばきのみんなの表情や胸中を想像する時間は、アイドルをみるという行為をどこまでも純化したような美しい経験でした。
5.サンクユーベリーベリー
つばきファクトリーの夏祭り2022〜灼熱〜は、素晴らしい企画とパフォーマンスに予期しなかった要素も重なって忘れることのできない特別なライブになりました。
私は(まだ)つばきのメンバーではありませんが、この日のために準備を進めてきたつばきファクトリーの運営スタッフの皆さん、様々な企画を盛り上げてきた行くつばスタッフの皆さん、イベントを実現させるために奔走してくださった全ての方に深く感謝したいと思います。
そして、これだけの素晴らしいライブができるつばきファクトリーと愛と情熱に溢れたチームつばきが次にどんな目標に向かうのか、どんな青春の1ページを刻むのかを楽しみにしています。
また、今回は平日の地方開催ということもあり、血の涙を流しながら労働に勤しんでいたつばきオタクの方も多くいらっしゃいました。是非とも来年もステラシアターの戻ってきてほしいです。
最後に、秋山眞緒ちゃん。
髪型も衣装もめっちゃ可愛かった!!!
デコ出しまおぴん最強!!!
シャボン玉のダンスやばすぎん!?
めっちゃ楽しかった!!!
ありがとう!!!