4年目のポリシャス
緊急事態宣言が解除されたとはいえ、ここは神奈川県。まだパーッと遊びに行くわけにもいかないし、なんとなくステイホームが板についてしまい、この週末も、子どもの習い事の送迎とスーパーへ行ったくらいで、家の周りで過ごしている。
今年は湘南に海の家は立たないとのことだが、うちの近所のファミリービーチは、もともと人気が少ないこともあって、海の家が立ってもあまり賑わうことはない。そういえば、去年も海の家は立たなかった。今年も、いつも通り静かで、地元の子どもたちにとっては、過ごしやすいビーチになるだろう。このところ暑い日が続いたので、子どもたちはもう勝手に海開きをして楽しんでいた。
植物も「家に馴染む」までに時間がかかる
わが家は狭いので、あまり大きな観葉植物を置くことができない。小さな鉢をいくつか棚の上に置いたり、吊るしたりして楽しんでいる。そんな中、一番大きなのが、このポリシャスの鉢だ。
不思議な枝ぶりが、鳥や恐竜のようで、一目惚れしたポリシャス。横須賀のグリーン工房、グレナトレドで購入したものだが、家に来たばかりの3年前は、うまく育ってくれなかった。
初めはフサフサの濃い緑だった葉は、数ヶ月たったところで、ところどころ黄色くなり、どんどん枯れて落ちていった。水が足りないのか、水が多すぎるのか、よくわからず、1階に置いたり、2階に置いたり、移動させてみたりもしたけれど、復活しない。
このままでは枯らしてしまうと思い、グレナトレドを営む友人Nに泣きついた。彼女は都内でも活躍する多忙なグリーンコーディネーターだが、私のポリシャスを自宅のマンションに置いて、面倒をみてくれた。特に熱心にお世話をしてくれたのは、Nのご主人だという。
半年以上の入院を経て復活したポリシャスは、元どおり、いや、それ以上にフサフサした姿で、わが家に戻ってきた。
その後、何度か葉が落ちたりしたが、新芽がどんどんと出てきた。最初にお迎えした時とは違い、生命力を失うことはなく、安定して佇んでいる。
湿気の多い鎌倉の夏を乗り切り、冬も元気なまま、葉の勢いを保った。購入してから4年ほどになるが、一度入院したことなどまるでなかったかのようにフサフサしているこのポリシャスを眺めながら、なるほど、植物にも、環境に馴染む時間が必要なのかもしれないな、と思った。
人や動物が場所見知りをするように、植物にも、そういう面があるのではないだろうか。
その家ごとに、日当たり、風通し、湿度が異なるし、暮らす人のスケジュールによっても、植物への影響は違ってくるだろう。ポリシャスは、留守がちなわが家の環境にもしだいに馴染んだ。私自身も、観察の目が肥えてきたので、ケアが上手になってきたことも大きいかもしれない。
これは感覚的なものだけど、最初は私の恐怖心を感じ取っていたのかも、とも思う。枯れてしまうのではないか。枯らしてしまったらどうしよう。家に迎えたばかりの頃は、そんな風に不安を抱えてビクビク水をあげていた。その恐怖心が伝わって、葉を落としていたのかも…。
今は、このポリシャスを見ていると安心を感じる。きっと大丈夫、枯れることはない、と思う。
今も、ところどころから、若芽が出ている。ああ、嬉しい。
ちなみにポリシャスにも花言葉というものがあって、「大切な思い出」だそう。なるほど。ますます愛着を感じるなあ。
4年目のポリシャス。何年生きてくれるだろう。剪定や植え替えをしながら、大切に育てていこうと思う。