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紫陽花が咲かない年もある

紫陽花シーズンなのに……

紫陽花で有名な鎌倉。そろそろ最盛期も終わりに近づいている。わが家の庭の紫陽花は、今年はなぜか一つも花をつけなかった。調べてみたが、剪定の方法により、そういうこともあるらしい。

今年はコロナ禍の影響で、例えば北鎌倉の明月院が土日はクローズするなど、紫陽花シーズンに観光客を掻き入れていた地元のスポットには、いずれも暗い影が落ちている。

今、雑誌の仕事で、地元の店取材をして回っているのだけど、どこへ行ってもコロナ禍の話題。先日訪れたフレンチレストランでは、4月に従業員を全員解雇し、しばらくシェフ一人で1組限定、本物のシェフズテーブルを続けていた、という話を聞いた。それでも前を向いて店を続けていこうとする人たちを、応援したいと心から思う。せっせと外食しようと決めた。

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平日に立ち寄ってみた明月院には、「右側通行お願いします。密にならないようお願いします」と歩く人をさばく警備員がいて驚いた。

鶴岡八幡宮へ、蓮を見にいく

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「県跨ぎ」が許可された日、名古屋から、古いライター仲間Yちゃんが夫婦で遊びにきてくれた。一泊の弾丸だったが、わざわざ会いにきてくれたことが嬉しかった。目的は夜の宴会だけど、少しは観光を、と、佐助に暮らす友人の家に車を置かせてもらって、鎌倉駅周辺を散策した。

鎌倉散策をするなんて、何年ぶりだろう? 近くに住んでいても、最近はめっきり訪れることがなかった。観光客は戻りはじめていたが、それでも、いつものにぎわいに比べると少ないなあ、という印象。解放感に浮かれながら、楽しく歩いた。

鶴岡八幡宮の池に、蓮の花が咲く頃。丸い葉が鬱蒼と池の表面を覆い尽くしていたが、あまり花は見つけられなかった。ところどころに、白い花がぽつりぽつり。

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久しぶりに立ち寄った「ガーデンハウス」のオープン席で、クラフトビールを一杯だけ飲んで休憩した。運転担当だった友人のご主人は、アイスコーヒーを飲んで我慢。彼は自宅に戻ると、ビールのロング缶を一気飲みしていた。

名古屋のライターYちゃん

ライター仲間のYちゃんとは、もう20年以上の付き合いになる。

この仕事を始めたとき、私はプロダクション勤めの編集業だったが、Yちゃんはすでにフリーランスだった。今では名古屋のライターとして重鎮の存在で、たまにテレビでコメントしたりしている。

仕事の愚痴をこぼし合い、何か別の仕事で儲けたいものだと話し続けてきたが、結局二人とも、この仕事を続けている。

「他にできる仕事がない」

毎回同じことを話し、笑って、飲んで、久しぶりのゲストに、うちの家族も楽しそうだった。

Yちゃん夫妻は、翌朝みんなで海岸まで散歩して、朝ごはんを食べたら去って行った。今度はいつ来てくれるだろう。

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「この間は、いつ会ったんだっけ?」とか、 平穏な毎日の中では、小さな出来事の記憶は薄れがちなものだけど、今回のYちゃん夫妻の鎌倉来訪は、きっと忘れることはないだろう。

ああ、コロナのときだね、県跨ぎがOKになったときだった。うちに紫陽花が咲かなかったあの年に来てくれたんだよね。

と、すぐに思い出すことができるだろう。

紫陽花は、花をつけない年もある。今年はつくづく、いろんなことを学ぶ年だなあ。


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